2019.8.34

お月様が人を綺麗に化かしてくれる夜、お日様は人を最悪にする支度をしている。朝起きて、剥がれ落ちたのが薄いタオルケットだけならどんなに良かったか。あなたにどうでもいい嘘を吐いて、どうでもいい夜を作って、本当に欲しかった朝を犠牲にした。そんなことばかり繰り返して頓狂な言葉狩りの連続。半笑いで痛い痛いと言う。心も体もあー痛い痛い。遺体。相対。あなたのせいです。ずっと夢の中を歩いているのはあなたか、わたしか、分からないけれど、1次元ズレた世界を眺めたまま振り下ろしたあなたの右腕がまた1次元ズレた世界のわたしの胸まで届いて痛いんです。どこを見てるの、知らない女の子へ差し上げるためのリンゴに見えているのでしょう。そう信じて私は、じっと息を止めて、腐り果てる時を待っている。殺してやろう、リンゴのままで殺してやろう、王子様が口付けるなら、わたしはリンゴのままで殺してやろうと思います。知らないお姫様もわたしの愛した王子様もわたしのお話の中で仲良く殺してやろう。天国で、お幸せに。わたしは、わたしは、それでもわたしは、わたしのお話を孤独にするわけにはいかないので、また一人ここに残って、良い人なのか悪い人なのかも曖昧なまま、ずっとここでニセモノの愛のお話を撫でています。

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