2019.7.17

運ばれそびれた心臓が、アスファルトに伸びきって乾いている

安っぽい艶めきにこそ郷愁を擽られ出し抜けに拾いたくなる なんて 馬鹿馬鹿しい。合成樹脂の桃色が通す太陽光を覗いて貴方の捨ててきた思い出を私が一つ残らず拾い漁る朝、煩わしい寝息をはじめて忘れられました。規則正しく動く胸を何時迄も眺める気抜けた日々に、黴の生えたママレエドだけが輝いていた。

千鳥足のモンシロチョウが、辛うじて渡った春を摘んで、咳き込む。膝裏に滲む汗がどこまでもどこまでも広がって、広がって、もう動けない様な気になって、夏の間呼吸をするのは辞めにしようと、馬鹿なことを考えてみる。



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