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超個人的「罠モンスターの歴史」

この記事は「罠モンスターのすすめ」という動画を作成しようとして台本を書いていたら、歴史部分だけで結構長くなってしまったので、その部分だけを抽出したものになります。(なので基本的に話し言葉で書いています。)

「罠モンスター」という言葉

そもそも遊戯王OCGにおいて「罠モンスター」という用語はありません。
しかし、原作漫画やアニメ、公式サイトやゲーム、雑誌の紹介文等で当たり前のように使われるため「半公式用語」と言っても過言ではないでしょう。


1.罠モンスターの開祖「アポピスの化神」

そんな「罠モンスター」の開祖は「アポピスの化神」。

原作漫画やアニメでモンスターカードが極端に少ないデッキを使うリシドが対戦相手の城之内に
「てめえのデッキはおそらく全部が、トラップとマジックカードで構築されている。つまりモンスターカードは1枚も入ってない。だから、たとえどんなトラップを張ろうがそれを打ち消すことが出来れば、モンスターが1匹もいないがら空き状態のお前からライフを削るのは簡単なこったぜ」

と言われ、
「お前の言う通り、私のデッキは大半がトラップとマジックカードで占められている。だがモンスターカードの役割を補うトラップカードが存在しているとしたらどうなる」
(前後の台詞を多少カットしています。)
と発言し発動したのがこの「アポピスの化神」になります。

リシドの台詞通り、罠カードでありながらモンスターカードとして使える「罠モンスター」は、相手ターンや特定のアクションに対してカウンターで新たなモンスターを召喚するという決闘展開にスパイスを加える要素として城之内vsマリク戦以降も遊戯vs闇マリク戦で「メタルリフレクトスライム」、表遊戯vs闇バクラ戦で「死霊ゾーマ」、遊戯vsアテム戦で「機動砦 ストロング・ホールド」が登場するなど、原作者である高橋和希先生もお気に入りのギミックだったのではないでしょうか。

2.OCGにおける最初期の罠モンスター

アニメや原作では活躍していた「罠モンスター」ですが、OCGでは主に相手の攻撃を防いだり、生贄召喚の生贄に使ったりする目的で使われていました。ただ、特段目立つようなカード群という訳でもなく、遊戯王アニメ2作目である遊戯王GX:83話においてヘルカイザー亮vsマスター鮫島戦で使用された「サイバー・シャドー・ガードナー」が2006年発売の「サイバーダーク・インパクト」に収録されて以降暫くは新たな「罠モンスター」がカード化される事はありませんでした。(この時点で5種)尖った言い方をすれば「変わったトークン生成カード」と言える程の存在だったのです。

3.罠モンスターというジャンルの立役者「ソウル・オブ・スタチュー」&「カース・オブ・スタチュー」

そんな「変わったトークン生成カード」が「罠モンスター」として一定の土台を確立したのは「サイバー・シャドー・ガードナー」発売から約3年後の2009年発売「アブソリュート・パワーフォース」収録の「機械王-B.C.3000」……から更に1年後2010年発売「ストーム・オブ・ラグナロク」に収録された2枚の罠モンスター、「ソウル・オブ・スタチュー」「カース・オブ・スタチュー」が始まりだと言えるでしょう。この2枚は「モンスター扱いとした罠カード」をサポートするカードであり、この2枚の誕生から「罠モンスター」を中心としたデッキ構築や戦術を思考する意義が生まれました。

4.新召喚方法「エクシーズ召喚」と罠モンスター

また、この1年後に2011年に遊戯王アニメ4作目「遊戯王ゼアル」及びそれに伴った商品展開が開始され新召喚方法「エクシーズ召喚」が登場しました。当時の罠モンスターは1枚を除いて☆4モンスターであり、猛プッシュされていたランク4を使用可能とエクシーズ召喚の恩恵をかなり受けていました。アニメでもエクシーズ召喚をサポートする新規罠モンスターが登場していましたね。更にチューナーを持つ「シェイプシスター」が登場し海外ではURに昇格される等もありました。

5.9期初期の3つの革命

遊戯王の転換期「9期」そんな9期初期では罠モンスターに3つの革命が起きました。

5-1.一つ目の革命「影依の原核」

一つ目の革命は「影依の原核」の登場。このカードはシャドールというテーマに所属し、テーマサポートを受ける事が可能です。それ以前の罠モンスターはほぼ独立したカード群であり、テーマカードであるストロングホールドでさえサポートを受ける事は不可能でした。しかし影依の原核の登場以降テーマに所属しサポートも受ける事が可能な罠モンスターが増え、そのテーマを中心に罠モンスターギミックを添えるといった構築が可能になったのです。

5-2.二つ目の革命「苦紋様の土像」

二つ目の革命は「苦紋様の土像」の登場。このカードは影依の原核のようにテーマに所属する訳ではなく、既存の罠モンスターと同じ独立したカードなのですが、注目すべきはその性能。高い守備力に他の罠モンスターがいれば対象耐性を獲得し、罠モンスターの特殊召喚に応じてターン1無しで除去を行えるこのカードは、罠モンスターのエースカードとして現在でも罠モンスターデッキに多く採用されています。

5-3.三つ目の革命「幻影騎士団シャドーベイル」

三つ目の革命は「幻影騎士団シャドーベイル」の登場。このカードは今までの罠モンスターと全く違う罠モンスターであり、通常罠で罠カードとして扱わないという新機軸の罠モンスターとなっています。罠カードとして扱わない故に既存の罠モンスターサポートを受ける事は出来ませんが、後述する罠モンスターの弱点を克服した罠モンスターであり、既存の罠モンスターがリシドの台詞通り「モンスターカードの役割を補うトラップカード」であるならば、このカードは「モンスターカードとトラップカード、それぞれ独立した2種類の側面を持つカード」と言えるでしょう。また、「影依の原核」のように幻影騎士団というテーマに所属するカードでサポートを受ける事が可能なのも新時代罠モンスターの風を感じます。これ以降アポピスの化神のような罠カードとして扱うカードを「旧式罠モンスター」、シャドーベイルのような罠カードとして扱わないカードを勝手に「新式罠モンスター」と呼称する事にします。


6.韓国からの使者「バージェストマ」

少し時代が進み2016年。
韓国からの使者「バージェストマ」が日本に上陸します。このテーマはシャドーベイルのような罠カードとして扱わない新式罠モンスターで、なんとメインデッキのテーマカードが全て罠、しかも全て罠モンスターというとんでもないテーマです。影依の原核やシャドーベイルのような「テーマに所属する罠モンスター」ではなく「罠モンスターのテーマ」が遂に登場したのです。私は来日前からこのテーマを気に入り、来日後直ぐにデッキを組み店舗大会に持ち込んでいました。

また、この年に映画「遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS」が公開され映画に登場した罠モンスターが一気にカード化されました。

これ以降も決闘者が忘れた頃に少しずつ罠モンスターが追加されていきました。

7.新たな外部エース「クロノダイバー・リダン」

そんな中これまた海外から使者「クロノダイバー」が日本に上陸。後にテーマ内に罠モンスターを新規で貰える程に罠モンスターとの相性の良いエースモンスター、「クロノダイバーリダン」の登場で罠モンスターデッキは人知れず強化されました。

8.不死身の黄金集団「エルドリッチ」

そして、時代は現代遊戯王。マスタ―デュエル最初期にお世話になった人も多いだろうテーマ、「エルドリッチ」が登場します。このテーマはアンデッドモンスターを特殊召喚する「エルドリクシル」と旧式罠モンスター「黄金郷」が相互に供給する事ができ、エースであるエルドリッチが使いやすい効果と高打点と破壊耐性を持ち、競技環境でも使われる程強力なテーマでした。

9.罠モンスター全体のアッパー「マスタールール(2020年4月1日改訂版)」

そんなエルドリッチが登場した頃、罠モンスター界は更なる強化を受けました。それはマスタールール(2020年4月1日改訂版)の施行。この改訂は様々なルールが大きく変わりましたが、「発動後、モンスターゾーンに特殊召喚される効果を持つ永続罠カードについて」と名指しで罠モンスターに関するルールが変更され、今まで魔法罠ゾーンを圧迫していた旧式罠モンスターは発動後魔法罠ゾーンを解放するようになり使い勝手がかなり向上しました。

10.罠モンスターの新たな未来「ARG☆S」

そして、2024年度には罠モンスターを指定する罠モンスター以外のサポートカードの登場。また、「ARG☆S」という旧式罠モンスターとも新式罠モンスターとも違う新たなギミックを秘めた罠モンスターテーマが誕生しました。このテーマの罠モンスターは旧式罠モンスターのようにリバースして特殊召喚する訳ではなく、表側の状態で特定の条件を満たすと罠モンスターとして特殊召喚され、また好きなタイミングで永続罠として魔法罠ゾーンに戻せるという画期的なギミックを持っています。旧式罠モンスターが「モンスターカードの役割を補うトラップカード」新式罠モンスターが「モンスターカードとトラップカード、それぞれ独立した2種類の側面を持つカード」であったのに対して「ARG☆S」の罠モンスターは「モンスターカードとトラップカード、2種類の側面を任意に使い分ける事が出来るカード」であると言えるでしょう。

ざっくりと罠モンスターの歴史を振り返って見ましたがいかがでしょうか。

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