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数字に潜む魔物

20代の頃、清涼飲料の会社に勤めていた。
大手の営業所。
女の子は事務職の二人だけ。
後は全部20人くらい、男性ばかりの職場。
夏の忙しい季節にはそれに学生アルバイトが入る。

女の子の一人は私の友達で、
私はもう一人の女の子が出産で辞めるからって
(事務職の女の子は臨時職員で産休はなかった。)
彼女に紹介してもらって簡単に雇ってもらった。
40年近く前のお話。

私は最初売掛金の担当となり、引き継いだ時、
訳が分からないほどぐちゃぐちゃ状態。
仕事がやりにくいから、言われたわけでもないのに整理した。

取引先の伝票をさかのぼって、
ソロバンではじきなおして、
取引内容を電話して確認した。
未集金を、暇そうな所長や副所長を捕まえて行ってもらった。
(気分は最高によかった。)
それからしばらくしたら、電子請求書導入となり
やっといてよかったと心底思った。

私はこの会社にいる時、結婚をした。
その時も売掛金の担当で、
請求書作成の大事な仕事があった。
だから結婚式の前日まで残業をし、
ハネムーンも近場で、休暇も少なめだった。
既婚者になってからの初出勤日も残業をした。

それから友達も出産で辞めることになり、
私は現金の担当に変わった。
自動販売機がどんどん増えてる頃で、
夏には物凄い硬貨を数えていた。
百円玉だけで当時の車が買えそうなほどだった。

現金担当はセールスの人の現金を集計して
銀行に預けるのだが、
一人一人のチェックは合ってるのに
トータルすると必ずっていいほど合わない。

数字には魔物が住んでる。
日々そう思いながら、
あの頃、仕事してたなぁと思い出す。

今、陶芸の会の会計の決算が合わない!
それでだろうか?あの頃のことを思い出した。

あの会社の男ばかりの職場はとっても楽だった。
私には浮いた話も全くなかったし。
そういえば、あの会社での社員旅行は
いつも温泉地だった。
宴会はキレイどころのお姉さんが来てたから、
女性だからってお酌に行かなくてよかった。
朝も朝食の時間に帰ってきてない人が多かった。
あの頃若くて不思議だったが、
今なら笑える。

そんなこと思い出しながら、にらめっこ。
数字には魔物が住んでる。
今日はいいお天気だから、
決算はすぐ放り投げてしまったけど、
ちゃんと合わせて片づけてしまわないと
落ち着かない。

数字には魔物が住んでるからなぁ~~。
でもさっさと片づけたい。



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