THINK44/ゲスト:幅允孝さん(BACH代表,ブック・ディレクター)
ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"を考える場所」として開催しているイベントTHINKを紹介するものとして,THINKに参加した人も参加できなかった人も,トークのエッセンスを追体験できるように読み物として再構成してまとめています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度掲載していきます.
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今回は,2014年9月の第44回目のTHINKをアーカイブから起こしてまとめています.
日時:2014年9月26日(金)19:30〜22:00
場所:サポーズ・デザイン・オフィス広島
今夜も広島にあるサポーズデザインオフィスの3階に,沢山の人が集まってきた.9月の金曜日.夏の暑さも幾分和らいで来たものの,まだ会場には熱気が漂っていた.
本日のゲストは,幅允孝さん/ブック・ディレクター.
BACH(バッハ)という会社の代表で,本を選んで届ける仕事を中心に,本のプロデュースや本にまつわる展示会のディレクションなどもされている.幅さんと谷尻さんが出会ったのは,谷尻さんが設計した結婚式場に置く本のセレクトを依頼したのがきっかけだという.その後,Design Tide などのデザインイベントでも親交を深め,今では多くの仕事で付き合いがある.谷尻さんの東京のオフィスに併設された”社食堂”の本も幅さんのセレクトだ.
幅さん:
でも今回こうやって初めて来たんですけど,
THINKは随分いろんな方がいらっしゃいますね.老若男女というか.
谷尻さん:
そうですね,
普通偏りがちなんですけど,僕らは設計事務所なんですけど,何かを設計するって,例えば図書館や本屋の設計のためには本のことを知らないといけないし,ライブハウスやホールを設計するには音楽のことを知らないといけないし,いろんな経験をしておかないと対応できないんですよね.
そのために,いろんなゲストを呼んで話をしていただいて,スタッフに聞かせるのと同時にみなさんにも楽しんでもらおうということで続けています.
幅さん:
そうなんですね,
今日の話が役に立つかどうか分かりませんが,いろんな話ができればと思います.
谷尻さん:
そうですね,
実は,僕と幅さんが仲が良いといっても,こうやってあらためて仕事の話を聞くのは初めてなんですよね.
幅さん:
でも今日は丸腰で,谷尻さんとビールでも飲みながらだらだら話すつもりで来たんですけど(笑)
谷尻さん:
それでも全然大丈夫です.
幅さん:
あ,でも,本に関係する仕事をしている人がいるかどうかは聞いておこうかな.書店とか出版社とか図書館にお勤めの方はいらっしゃいますか?
(会場の様子を見て)
あ,結構いらっしゃいますね.じゃあ,そのあたりの話も交えつつ...
谷尻さん:
そうですね.
幅さん:
あらためまして,こんばんは,幅允孝といいます.
ブック・ディレクターという肩書きで仕事はさせていただいているんですけど,ちょっと恥ずかしいので名刺には書いていないんですけど(笑)
というのも,2008年に,情熱大陸で紹介されたときに,プロデューサーの方に職業名がないと放送できないと言われて,当時はこれといった肩書きもなかったので,どうしましょうかね,と言ったら,そのプロデューサーの方から,こんなのでどうですか,と,ブック・ディレクターという肩書きを提案していただいたんですね.そうすると不思議と,そんな仕事が存在しているかのように思えたんですよね.
それ以来,この肩書きを使わせてもらっているんですけど.
でも,僕,元々は,書店の店員だったんですよ.
本屋に人が来ないなら,人の居るところに本を持っていけばいい
幅さん:
書店の店員として六本木の本屋で仕事をしていた頃「アメリカの通販の会社が,インターネットで本を売るらしいよ」という噂が出て,まだその頃はみんな本屋は呑気で,まだインターネットもダイヤルアップ接続の時代だったし,そんな通販で本が売れるわけないって,みんな完全にナメていたんですよね.でも,なんか,あれよあれよという間に,どんどん売り上げが減ったんですよ.もう,それはすごい勢いだったですね.どうしよう,って本屋がみんな騒ぎ出したけどその時にはもう本屋に来る人も目に見えて減っちゃって.
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「THINK BOOK」は、サポーズデザインオフィスが企画する、THINKをテーマにしたプロジェクトを文字と写真でとどけるメディアです。 …
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