読むTHINK_THINK76:ゲスト山田崇さん/塩尻市役所(2017年4月28日開催)
今回は2017年の4月に開催された第76回目のTHINKのアーカイブからダイジェストをお届けします。今回のゲストは山田崇さん。元ナンパ師の公務員として、そして、最近は自ら「日本一おかしな公務員」という呼び方をして、行政から市民活動や地域活動を支援する試みを続けていらっしゃる方です。
ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載します.ぜひ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけにしていただければ幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)
当時の告知資料より
ある日、谷尻が「とっても面白い公務員さんと出会った!」と事務所に帰ってくるなり、とてもワクワクしていました。その方が今回のゲスト、塩尻市のプロモーションの為に、年間100回近く講演を行なう長野県塩尻市職員の山田崇さんです。
山田さんは昔、渋谷や新宿で4年間欠かさず、ナンパをして来られました。「これくらいの小さいペンギン知りませんか?」これが決まり文句です。元ナンパ師で市職員がゲスト?と思われるかもしれませんが、今では、すごく真面目でナンパな「地域活性化」の取り組みをされており、とっても素敵で面白い活動をされているのです。
その活動の1つ、2012年4月から始まった【空き家プロジェクト-nanoda】地元商店街の復興を考えようと始まった取り組みに、実際に住んでみないと現状の課題は分からないと、1件の空き店舗を借りたのが始まりです。まずは、ずっと閉まっていたシャッターを毎朝開けてみよう。そこからたくさんの活動を始められました。
「朝食なのだ」「お掃除なのだ」「100mしか届かないFM放送局なのだ」
その活動は、地域の事をみんなで一緒に楽しもうという精神に溢れていて、新しい繋がりを生み、若い人たちが集まる元気な商店街になって来ています。
行政の職員として、ひとりを救う経験を仕組み化するのが行政だと、隣りのおじいちゃんと真剣に向き合い、地元の方達をナンパし続けている山田さん。谷尻が感じたワクワクした気持ちを、是非皆さんにも感じて頂けたらと思います。
「これくらいの小さいペンギン知りませんか?」
皆さん、是非お越し下さいね!
THINK_76
日時:4月 28日(金)(2017年)
開場 19:00〜
開演19:30〜21:30
会場:広島市中区舟入本町15-1 サポーズデザインオフィス3階
Guest_山田 崇(やまだ たかし)
1975年塩尻市生まれ。千葉大学工学部卒業。
塩尻市役所企画政策部 地方創生推進課シティプロモーション係 係長。
空き家プロジェクトnanoda代表。
「地域の課題を想像でとらえるのではなく、実際に現場に身を置いてみないと商店街の現状・課題はわからない」と空き家を活用したプロジェクト「nanoda(なのだ)」を2012年4月より開始。2014年「地域に飛び出す公務員アウォード2013」大賞を受賞。TEDx Sakuでのトーク「元ナンパ師の市職員が挑戦する、すごく真面目でナンパな『地域活性化』の取組み」が話題に。2016年1月からは「MICHIKARA〜地方創生協働リーダーシッププログラム」を、首都圏のプロ人材との協働による官民連携プロジェクトをスタート。地方の課題解決を民間企業のプロフェッショナル人材との協働実施するプログラムの全国展開を目指す。グッドデザイン賞2016受賞。2016年5月から内閣府 地域活性化伝道師に。
ーー
実は何にも知らないんですよ、谷尻誠さんのこと
谷尻誠さん(以下,谷尻):
実は山田さんと会うのは今日で2回目なんですよね.これってTHINKでは珍しいパターンで.というのは,普段は企業したり独立してやってる人を呼ぶんですけど,山田さんは公務員なのにクリエイティブに仕事されていて,面白いと思った.世の中にはそういう人が圧倒的に多いと思うし,その仕事ぶりが知りたくて,THINKに呼んでみたら面白いと思って,それで,さすがにどういう人か会って話してみないとと思ってFACEBOOKでメッセージして代官山で食事して.それで,THINKにきてくださいって口説いた初めてのケースなんですよね.
いつも講演の時は会場に合わせて話されるということなんで,今日はもうおまかせで,僕は時々合いの手を入れますので,良いように話してください.
山田崇さん(以下,山田):
すごいドキドキしてます,代官山でお話しした時には特に何を話すとか全然話してないですもんね.ただ,お名前は知っていて,おお,有名人って思って.でも未だに本当によく知らないんですよ谷尻さんのこと.
(会場爆笑)
ただ,FACEBOOKで今日はTHINKに行きます,って言ったら反響が多かったんですよね.いや,でも会場の皆さんの視線がすごいですね.昨日も4時間とある企業の新人研修で話したんですけど,それに比較して視線がすごい.
谷尻:
その人たちはどんな視線だったんですか?
山田:
彼らは4週間,そのとある企業で新人研修をやってきて,マシンにさせられるようなですね(笑),それで,その最後に,対話の場づくりのワークショップをやってくれって言われて,それをやったんですけどね.それでは今日はどういう話をしたら良いのかな,まあ普段のプレゼンをベースにまずちょっとやってみましょうか.
プレゼンを一応作ってきてて,500枚あるんですけど.ゆっくり話せる時は8秒に1枚くらいで,急ぐときは2.5秒に1枚くらいで.
谷尻:
すごい(笑)
山田:
僕がいつも適当に考えたことを話したりやったりすると,他の人がうまく形式知にしてくれるという感じがあって,谷尻さんと話した時も,「山田さんのナンパの動画見ました」って話で「あれは対象物を他者化してるんですよね」って言われて.
谷尻:
そんなこと言いましたっけ?
山田:
「本当は女の子がナンパの対象なのに,ペンギンを探すということで,ペンギンをその女の子と一緒の対象物にすり替えてるんですよねって.」
谷尻:
あ,思い出しました.そうですね.
山田:
で,それって後から調べてみると,先人たちも同じことを言ってるんですよね.
ーー
山田さんは,どうしようかなー,何を喋ろうかなーと時々口に出しながら,その膨大なスライドから適宜思いついたようにピックアップしてそれにまつわることを喋り始めた.それは,何か大きな物語を順番に説得するように話す「講演」的なものというよりは,むしろ,話しているとそこで浮かんできたいろんなトピックスに飛び火するようなライブ感で,ナンパ師のテクニックから,自分が影響を受けた本や人の紹介,また,これまで手がけてきた活動へとどんどん話題が移っていく.
ーー
5年前までは公務員舐めてました.
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「THINK BOOK」は、サポーズデザインオフィスが企画する、THINKをテーマにしたプロジェクトを文字と写真でとどけるメディアです。 …
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