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THINK_87/ゲスト:鈴木諭さん(loopwheeler代表)2018年3月16日

今回は,2018年の3月に行われた87回目のTHINKをダイジェストでお伝えします.穏やかな物腰と静かな語り口の鈴木さんの持つ大人な雰囲気に包まれながら,しかしその服作りへの情熱が3月の冷えきった空間を温めるような,そんな夜になったようです.

当時の告知資料より

87回目のTHINKは「世界一、正統なスウェットシャツ」をコンセプトに良質なスウェットウェアを発信するブランド、LOOPWHEELERの創業者、鈴木諭さんにお越し頂きます。
自ら「スウェットを世界一長時間着ている」と称する鈴木さん。彼のつくるスウェットは、今では世界でほとんど見ることの出来ない「吊り編み機」という機械で編まれています。一般に使われる高速機の20分の1というゆっくりとしたスピードで編まれる生地は、とても肌触りのやさしい独特の風合いで、着る人を虜にしています。
そのルーツは、鈴木さんが子供の頃に着ていた「VAN JACKET」のスウェットだそう。大人になったある時に、吊り編み機で編まれたスウェットを着て、その温かみのある質感に子供の頃の記憶がよみがえったそうです。そして、90年代、大量生産に押され、どんどんと吊り編み機が減っていくなかで、吊り編み機を残すため、「吊り編みのよさを多くの人たちに伝えて、次の世代にバトンを渡していきたい」との想いで、LOOPWHEELERを立ち上げられました。
大量生産できないけれど、大切に着ていけるもの。今回のTHINKでは、その技術をつなぎたいと語る鈴木さんに、そのものづくりの信念についてお伺いしてみようと思います。皆さま、ぜひお越しください。

THINK_87
日時:2018年3月16日(金)
   開場 19:00〜 開演19:30〜21:30 

Guest_鈴木諭 / Satoshi Suzuki
現存する吊り編み機で編まれた生地のみを使用したスウェットブランド「LOOPWHEELER」の代表兼デザイナー。
吊り編み機で編まれたスウェットに惚れ込み、高度経済成長と共に消えゆく吊り編み機をなんとか残したいという強い想いから、吊り編み機で編まれた生地しか使わないスウェットブランド「LOOPWHEELER」を1999年に立ち上げる。2000年、ロンドンのセルフリッジズ(Selfridges)を皮切りに、パリのコレット(colette)、ニューヨークのジャック・スペードと海外での取り扱いがスタートし、2002年に初の店舗を東京 中目黒にオープン。2005年に千駄ヶ谷へ移転し、片山正通氏のデザインによる現在のループウィラー旗艦店が誕生した。
その後、福岡店、大阪店をオープンし、2015年には千駄ヶ谷店2階部分にアーカイブを揃えたストア「LOOPWHEELER VINTAGE SERVICE」をオープン。NIKE、BEAMS、吉田カバン/PORTER、MHL、スタジオジブリ、NF、Graphpaper、LOWERCASE、FREEMANS SPORTING CLUB、N.HOOLYWOOD、MEDICOM TOY、MONOCLE、SCYE、PERMANENT UNION、WHIZ LIMITED、NEXUSVII など、多くのブランドとのコラボレーションも数多く発表し、着心地のよい、世界一正統なスウェットシャツを発信し続けている。
LOOPWHEELER:http://www.loopwheeler.co.jp/

ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載していくので,よろしければ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけになれば幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)

メインストリームではないよね,僕らは.

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ーー会場はスウェットシャツやパーカーを着た人が多い!それもそのはず,この日のゲストは「世界一、正統なスウェットシャツ」をコンセプトに良質なスウェットウェアを発信するブランド、LOOPWHEELERの創業者、鈴木諭さん.広島に直営店は無く,卸もしないという方針のブランドである.

谷尻誠さん(以下,谷尻):
今日何回目だったっけ?(スタッフに尋ねる)

鈴木諭さん(以下,鈴木):
87回って言ってたよ.

谷尻:
すいません,ゲストの鈴木さんに教えてもらって(笑)

鈴木:
でもすごいね,もう87回もやってるんだ.
今日は僕が質問してゲストとホストが逆転するようにしようか? そもそもどうしてこういうイベントを始めたんですか?

谷尻:
もともとは,事務所を移転させる時に広くて安いところを探したんですけど,破格に安いのに広すぎたのがこの場所だったんです.それなら上の階は空っぽにしていろんな用途に使えるほうが良いなと思って.会議室にもなるし,食堂にもなるし,ギャラリーにもなるし,ライブハイスにもなるような.行為が空間に名前を付けるっていうことで,(空間デザインとして)作らなくても(そのための場所を)作ることが出来るというのを意識して日々のデザインに向き合うことが大切な気がして.

鈴木:
なるほど.

谷尻:
例えば洋服屋をデザインしてくださいって言われて,洋服屋っぽいものから始めようとしてしまいがちじゃないですか.足し算のデザインになりがちなんですよね.でも,極端な話,ハンガーパイプさえあれば洋服や出来るでしょって,そういう感覚を持っていたほうが良いと思うんですよね.それで,この場所を使って,僕が出会った面白い人を呼んで,このTHINKというイベントを始めたんです.

鈴木:
今日来てくださっている皆さんはだいたい毎回来られているような方なんですかね?

谷尻:
始めて来た人はどれくらいいらっしゃいますか?(会場の反応を見ながら)半分以上はリピーターのようですね.

鈴木:
谷尻人気だね.

谷尻:
いえいえ,ゲストの方が魅力的だから皆さん集まってもらえてるんだと思います.実際,元気のあるというか,一緒に居て楽しいと思える人しか呼ばないですから.

鈴木:
なるほどね,そうでしょうね.

谷尻:
普通ならいつもボスばっかり面白い人に会って刺激を受けるんだけど,それを事務所のスタッフにも還元したいと,それなら街の人にもおすそ分けしようと.

鈴木:
新しいですね,そんな風に開いている感覚がね.

谷尻:
そうですかね?ありがとうございます.
確かに,いま逆転してますね,聞き手と話し手が(笑)

鈴木:
はい,あの,申し遅れましたけど,私,loopwheeler(ループウィーラー)というブランドをやっている鈴木諭と言います.先ほどの話にもありましたけど,せっかく今日はこれだけたくさんの皆さんに来ていただいているので,僕がいつも考えていることなんですけど,何か昨日より今日,1㎜でもいいから前に進めるような人生を送れると良いな,毎日にこにこ笑顔で,できれば一生懸命に過ごせたらいいな,という思いに共感してもらえると嬉しいなと思います.よろしくお願いします.

(会場拍手)

谷尻:
いつもゲストの方とも特に段取りなしで来てもらうんですけど.準備しないんですよ.準備すると予想外のことが起きたときにそれが失敗になっちゃう.いつもそういう言い訳をしてるんですけど.

鈴木:
僕もだいたい予想外の人生を歩いてきてるんですけど.

谷尻:
それをそのまま話していただければ!

鈴木:
はい,実は谷尻さんとは以前に食事をする機会があって.その時に何か面白いと思ってくれて声をかけてもらえたのかなと思います.じつは僕もまだそれほど谷尻さんについて詳しく知らないというのもあって,でも,何となく共通点があるのは理解していて.人がやらないことをするとか,お互いメインストリームではないというか.みんながやりたがらなかったことに手を出しちゃうというか.

谷尻:
そうですね,僕は褒められたいんですよ(笑)だから,例えば肥沃な土地で野菜を育てても当たり前じゃないですか.もし砂漠で野菜が育てられたらスゴイじゃないですか.だからそういうことをやっている感覚はありますね.そのほうが考えないといけないことも多いし,その状態が好きなんですよね.それで鈴木さんと焼肉を食べながら loopwheeler が出来るまでの話とかを聞いて,もうTHINKに来てもらいたいと.

鈴木:
ありがとうございます.特に準備はしていないんですけど,ちょうど1年くらい前に録った自己紹介的なビデオを用意してるのでそれを見てもらいましょうか.これはサカナクションの山口一郎くんが主催している夜の勉強会的なイベントの時に作ってもらったモノです.ここに僕がだいたいいつも話すことが詰まっていると思います.

ーーこんな感じで,穏やかにトークが始まった.

年齢は関係ない.目の前のことを一生懸命改善する.

鈴木:
ちなみに,いまうちの商品を着ていただいている方ってどれくらいいらっしゃいますか?

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