べあー杯振り返り 前編
はじめに
5/14に開催されたべあー杯の振り返りをしたいと思います。beatmania IIDXをプレーしてきて今までで一番考えて、練習をして、協力をした1か月でした…
~開催告知
第三回べあー杯の開催告知で開催目的として書かれていた通り、実は第二回の方にエントリーさせて頂いておりました。当初のメンバーは
・HITA*
・YAKAN
・ZAKURO
の三名でした。僕が第一回を見てべあー杯に出たいと思い、東工大の音ゲーサークルBEATECHの先輩OBであるやかんさんを誘わせていただいた後に二人の補完としては最強格であるざくろさんをお誘いして組ませていただいたチームでした。
ちなみにチーム名の「gradation」ですが、実は三人の運指を元にして僕が命名させていただきました。ざくろさんは完全小指皿、僕が小指皿と手首皿のハイブリッド、そしてやかんさんが完全手首皿と運指が色のグラデーション見たいな感じだったので面白いと思ってました。
残念ながら第二回には落選してしまったんですが、その後にべあーさんから連絡を頂き、第三回に出場させていただくことになりました。
しかしここで、メンバーのざくろさんが多忙ということで抜けることに…(その後で判明したTAITO Tradzのアドバイザー就任、本当におめでとうございます。)
その後紆余曲折あってKRAG20(以下からあげ)くんが快く引き受けてくれ、無事新生gradationが誕生しました。
改めてチームメンバーの紹介をさせていただきます。
YAKAN(やかん)選手…とにかく12の密度が濃い譜面が上手い、特にPrim曲のような縦に密度が濃い譜面が非常に高いです(キャトられ3801、宇宙戦争3532など)。また、完全手首皿ですが皿曲のスコア力も非常に高くPran 8AAA+82、天下一品AAA+78など…かなりスキがなくなってきているお方です。
練習期間に突然発表されてチームメンバー2人も驚きましたが、TAITO Tradzのデータアナリストに就任されました。後述しますが練習期間でも遺憾なくスキルを発揮していただいたおかげでかなり色々と助かりました。
KRAG20(からあげ)選手…一言でいうなら音ゲーがめちゃくちゃ上手です。実はIIDXの他にもSDVX、ポップンなどの実力も高く、それを活かした打鍵力の高さが特色かなと思います。
かなり幅広いジャンルの譜面が対応でき、SAMURAI-SCRAMBLE97個、Linus25個、FAXXAAA+102など…本当にどのカードに行っても安定感のあるスコアを出してくれそうなプレーヤーで本当に助かりました…。
HITA*(ひたらぎ)…12の中速曲に関してはかなり練習を積んできたこともあって高い水準のスコアが出せていると思っています(TIEFSEE52個、Broken65個など…)
また、ソフランに対しての対策を考えてするタイプで、New Castle LegionsAAA+145やGRADIUS-FULL SPEED-65個などといったところで対策でアドバンテージをとれるのかなと考えています。
以降、そこから2週間でどのような対策を行ったかを書かせて頂きます。
チーム発表~対戦カード発表
5チーム全員やばい。以上。
で終わらせるのはアレなのでもう少し書くと、「15人、なんなら自チームの他2人含めた17人に対してのスコアが30%以上勝ってる人がいない」って感じでした。本当にちょっと頭を抱えてしまった。
ただし、その勝敗さをひっくり返せる力があります。それは根暗力です。今回僕自身が自選無敗で終えられた理由の半分はそこにありました。
告知配信の15分後までには相手チーム全員のIIDX IDを特定し、自分たちが一番実力を発揮できなおかつ勝率が高いであろうカードに入ろうと考えていました。
ちなみに後から聞いたら基本的には同じ方針を取ってたチームが多かったみたいですね、現代IIDXには陰湿パワーも必要だったみたいです。
チームで話し合った結果、第一希望F、第二希望Aブロックで出すことに。個人的にはBブロックにプリキュア、上野動物園、パワーあたりは来るのでは(各チーム12が有り得ないくらい上手い人がいるので)と思ってたので競合覚悟でした。
しかし蓋を開けてみれば競合なしでチームF枠に入れることに。これは予想外でしたが一番都合が良いかな~とは思っていました。
オーダー決め
各試合に対して誰が出るかという話です。まず、メンバー決定には以下の制約がありました。
・各選手の所持コストは50
・消費コストは先鋒10、中堅20、大将30
要はファーストステージ2試合通して大将はNG、後は自由という感じです。
色々人によって決め方はあると思いますが、こういうステップを踏んで決めていきました。
自分たちが出ない第四試合のオーダーを予想する
予想したオーダーで大将枠にいた人が大将にならない想定で相手オーダーを予想
相手オーダーに対して勝てる可能性の一番高いカードを予想する
![](https://assets.st-note.com/img/1652589474163-x12I47ibDU.png?width=1200)
当日のアーカイブを見ていただいたら分かるんですけどドンピシャだったので良かったなあって感じでした。
以下、オーダーの具体的な目的についてですが…
・第五試合(vs上野動物園)
実は2パターンありました
①先鋒:からあげ 中堅:やかん 大将:ひたらぎ
僕がくまりょーさんにNew Castle LegionsかFire Beatを投げる(中速乱打+ソフランの合わせ技)ことによって1vs1を狙うというプランなんですけどやかんさんがRINさんに自選をさせるかがちょっと不安要素(というかRINさんが満遍なさすぎた)
②先鋒:ひたらぎ 中堅:からあげ 大将:やかん
本決定ver、やかんさんとくまりょーさんで物量の大怪獣バトルをしてもらうって感じですね。第六試合のことを考えるとこれが最善手でした。
・第六試合(vsパワー)
第五試合でやかんさんを大将に起用してしまったため第六試合ではやかんさんを大将にすることができません。おそらく相手の大将はREGARDさんでほぼ確定だったため地力がある人を持っていくことができないのは非常に痛い…
先鋒にからあげくんを持ってきてZEXXさんを2タテしてもらって、後やかんさんと俺で1-1で耐えて勝つというのが一番可能性が高いと思ったため上のオーダーになりました。
選曲対策
vs WOOLさん(Level 8-10 NOTES)
対戦相手のWOOLさんですが、BPL SEASON 2のドラフト候補でマジで強いという印象が鮮明にありました。
さてLevel 8-10のNOTES曲、バカ曲が多いです。
![](https://assets.st-note.com/img/1652596647530-WEs6jZLS1x.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1652596663293-AqV9G86I4T.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1652596688651-iuGkiWyi4l.png)
しかも曲によってBPMが速い遅いがあるのはもちろん
![](https://assets.st-note.com/img/1652596927315-dSTjuvr2jS.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1652597227218-ZzLX0k2b3s.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1652597315990-1cp2cvCDYl.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1652597393559-AwlO3sEqpP.png?width=1200)
とこのように他ジャンルにある曲の要素を十分に含んだ曲がたくさんあります(ちなみに上の曲何かわかりますか?)
このような感じであまりにも曲が多いので、相手のコーナーケースとなるような曲を見つけ出すことができればスコア力で負けている相手にも一発勝負で勝つことは十分可能だと考えていました。
WOOLさんのスコアを拝見させて思ったのが「圧倒的精度」、特に下弦の月7個とか投げられたらまず負けるなあと思ってました。そもそも勝敗比較をしたときに大体勝率1割くらいだっため、まず正攻法で勝つことを考えてはいけないと思いました。
このような相手に勝つために、2つの方法を考えました。
①オプション勝ち
基本的に上手い人になると知らない曲はRANDOMをかけがちですが、曲群の中には正規系しか当たっていないものがあったりします。そもそも一発勝負ではRANDOMをかけることに対してちょっと危険になるんですよね…
![](https://assets.st-note.com/img/1652598135763-MhjxN35S2Q.png)
このようなことを防ぐために安定をとって正規系オプションで6~80点くらいの配置が来るものを自分だけ知っているとアドバンテージをとれることが多々あります。その中でも正規や鏡だと少しありきたりなのでR-RANDOM当たりのものを見つけておくとかなり幸せになります。とっさに投げられて相手が正規にしたら13トリル降ってきました~みたいなときに自分はR-RANDOMをかけて35トリルで押しやすくて勝てましたってことも想定可能なので日ごろから見つけておくことをおススメします。
②クセのある譜面の練習
ズレハネ、皿、ソフランといった上で紹介した譜面を練習しておくとこちらも咄嗟に投げられたときに相手は対策がない分対応できないといったことが容易に想像可能なので見つけて練習しておきましょう。
さて、自選候補は2つありました。
①Last Message
普段はネタ曲として扱われがちなこの曲ですが、実はオプションによって結構当たりハズレが大きいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1652598676512-JvAEm9p3Mj.png?width=1200)
この曲の特徴は
![](https://assets.st-note.com/img/1652598744341-ZkrAtszs4D.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1652598754312-8HSvVQe9jA.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1652598763132-M7IbVCUWB7.png)
このように随所に現れる縦連打、しかも4打以上と咄嗟に来ると全ピカで通すのは困難なものなのですが、実は開幕1打目の同時押しで最初と最後の連打の配置が予測可能です。
また、R-RANDOMにしておくと、例えばバスが3鍵で開幕の同時押しが23鍵(バスとその左隣の鍵盤が連打)だったとすると真ん中の連打が35(バスとその2つ右隣の鍵盤)にくるといった形でとても押しやすく予測が容易です。
![](https://assets.st-note.com/img/1652599148797-PPmA0LzlZp.png?width=1200)
かなり安定したスコアを出せるのですが、問題はそれ以外の部分がユーロビートの素直なリズムなのでWOOLさんがスコア力の部分で勝ってしまうのではないかという不安がありました。
②Frozen Ray
この曲の特徴はありえないほどのハネです。
![](https://assets.st-note.com/img/1652600854613-LcS99OwJ8d.png)
実はこの曲は対戦相手がWOOLさんに決まるまではNO PLAY(というかLevel8-10の曲ほとんどNO PLAYで、すみません)だったんですけど、INFINITASで対象曲を全埋めしてたら見つけました。
初見でプレーしてたら素直なBPM156のトランスだと思ってたんですけど後半何故か16分のリズムで丁寧に押しても光らなくて????となっていました。普段SUD+を下げてプレーしているので実はこういう微妙なズレ譜面を認識するのが難しいんですよね…。
その後S-RANDOMでプレーしてMAX-75くらいを出してズレの存在を確認した後RANDOMでMAX-40台にまですることができました。
出した後に譜面をTextageで眺めていたらR-RANDOMの有効性に気づき(跳ねトリルが割れやすいのとサビでバスとハネが別々の手に来やすいです)、ACで練習をしていたところ
このスコアを出すことができました。ライバルにWOOLさんを入れていたんですけどスコアをみても苦手そうだったのが感じ取れたので自選としてはほぼ決定でした。
他選対策に関しては上記の通り選曲幅が広すぎてあまりしてないです、INFINITASとACで埋めと推奨オプションの確認はしたくらいですね(ただ10は曲が多すぎてA-Dをやったあたりでモチベが尽きてしまいました…)
vs REGARDさん(Level 12 SOF-LAN)
突如としてTEAM SILKHATのデータアナリストになることが発表されたREGARDさん、RAG*さんとのVerflucht(L)のツインフルコンで知った方も多いのではないでしょうか。
上の動画の通り、圧倒的な地力が特徴のプレイヤーで対策で一時期ライバルにさせていただいていたのですが
![](https://assets.st-note.com/img/1652602050221-HCytbItJF9.png?width=1200)
もう対戦を放棄したくなってました。
さて本題に話を移すのですが実はREGARDさん、5/2の時点で課題曲をほとんどプレーしていませんでした。その結果自分としては具体的な対策ができず物量が上手いという漠然とした印象をもって対策をせざるを得ないという状況でした。
まず、課題曲を分類しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1652602171284-b889iy1Ajn.png?width=1200)
・負け確
二人ノ廃城幽踊宴(ソフラン対策の前にディレイが無理)
Concertino in Blue(本当に苦手、AAA+50出たら嬉しい)
DAY DREAM(ソフラン以外の部分が地力が足りない)
ruin of opals(二人ノ廃城幽踊宴と同じ理由)
ピアノ協奏曲第1番”蠍火”(どうしてあなたはソフランなの?)
音楽(AAAは安定しているけれど…後半のジャリの部分が弱いので2700出ない)
聖人の塔(どうしてあなたはソフランなの?2)
Fascination MAXX(ミラー頑張ったけどできないです…S乱でAAA安定しない)
・ワンチャン勝てる…?
DropZ-Line-(実はちょっと自己ベスト高い)
JOMANDA(相手のAWESOMEを期待)
桜(最近ガチ押しを練習してAAA+70は出てた)
PARANOiA ~HADES~(中速はこっちのフィールドなので)
ワルツ第17番 ト短調”大犬のワルツ”(実は地力よりもBPMを掌握できるかの曲だと思ってる)
・勝てそう
POSSESSION(単発+後述するんですけど画期的な対策を思いつきました)
とこんな感じだったのでPOSSESSIONを練習しようと思って放置していました。
さて、5/11にスコアを収集していただいたのを見ていたんですけどREGARDさんが課題曲を全部埋めてました。
スコアを見ていたら当然のごとく全敗、だったけれどもやはりPOSSESSIONが一番自己ベストとの差が少なかった(2917 vs 2940)ので練習をしようと決意しました。
そこでめちゃくちゃPOSSESSIONと向き合った結果、革命的な対策法を思いつき、実践しました。
その結果が下の動画です。
はい。
POSSESSION、終わった・・・。
POSSESSIONのために10分Pフリー10本ノックとかやってたのでここで心が折れかけました。
ここでちょっと絶望しましたが、それ以外でふとプレーした曲が一気に伸びました。
![](https://assets.st-note.com/img/1652609207278-04Za3nz62M.png?width=1200)
はい、桜です。指ガチ押しを練習していた結果かなりBPM160のガチ押しも良い感じになってきてAveも2070くらいまで出せるようになったのでもうこれしかないと思いました。
一応他選対策もしたのでリザルトを供養します
![](https://assets.st-note.com/img/1652609591713-JrIZIJGSMq.png)
あとリザルトないんですけど
二人ノ廃城幽踊宴 3330→3343
大犬のワルツ 3004→3052
ruin in opals 2900→2961
PARANOiA~HADES~ 2566→2588
聖人の塔 2821→2824
みたいな感じで全体的に伸びはしたので自分としては満足かなと。全曲に対して自分なりにハイスピ対策をメモ帳にまとめて挑みました。
選曲以外の対策
オーダーが決まった時点でREGARDさんとWOOLさんをライバルに入れてプレーするようにしていました(ので、リザルト画面をTwitterに上げるときもライバルスコアの部分は隠したり、動画をアップロードしたときにもライバル欄は隠していました)
例えば↑のライバル欄、WOOLさんですw
また、自選がある程度凝り固まってきた5/5にチーム練習を行いました。
今からこの部屋、4時間貸し切ります pic.twitter.com/Rb8Wan2CV2
— ひたらぎ (@23k_h) May 5, 2022
ここでからあげくんとは初対面になったんですけどマジで中速やガチ押し上手くてびっくりしました。Jack MAX-23とか出されてたまげた。
練習の後半では模擬戦で1vs1でバトルを各マッチ想定で行いました。誰も自選曲で負ける事態はなかったのでかなり仕上がってると思いました。
上でも書きましたが、やかんさんが対戦相手の分析を行ってくださりチーム紹介でも言ってましたが「文字通り全て」のデータを収集してくださいました。流石データアナリストと思いましたし、やかんさんがいるTradzは本当に心強いだろうなと思いました。
あと忘れてはいけないのがこれ
![](https://assets.st-note.com/img/1652610627355-o0rRT6dKq9.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1652610641896-nJWpbaqxp4.png)
本番で着ていたTシャツですが楽天を漁ってたら見つかったのでチームメイトに提案して揃えることにしました。マジでエモかった。
といった感じで万全の対策をした状態で大会本番に挑めました。
後半に続く…。