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音の世界に生きる

 このタイトルをご覧になると、大演奏家の日常を描いたエッセイを期待される方が居られるかもしれないが、左にあらず。
 シニアに多いラジオ人間が、昔の世界を懐かしみ、ラジオをかけがえのない友とする日常が語られるだけ。

 テレビが今ほど普及する前は、人々の情報源や娯楽にとって、ラジオは貴重な存在だった。

  ラジオの便利さは、耳さえ働かせていれば、目を取られることなしに、体を動かす仕事でも何でもできる。効率を貴ぶ"ながら族"にとっては、これほど便利なものはない。

 縫うことが大好きな私は、戦後の着るものが不自由だった娘時代に.ラジオを聴きながらせっせと家族のためにミシンを踏んでいた。

 私が学生時代に仕入れたクラシック音楽の知識は、NHKラジオFMの番組に負うところが大きい。

 目も耳も衰えたこの頃は、いつも手元にあって"らじるらじる"の聴けるスマホに頼っている。
 枕元にはカセットデッキもあるし、"Alexa!"と声をかければ、いつでも何でも聴きたい曲が聴けるこの頃なのに、やはり昔からの習慣なのか、番組から流れる音楽に親しみを感じるのは致し方ないようだ。

 1週間以内なら、聞き逃しで、大抵の番組を後からでも聞くことが出来るのは、ありがたい。お気に入りは深夜放送の4時台やカルチャーラジオなど、沢山あって、暇なのに聞きたい番組がない時など、どれを聞こうかと、スマホの画面をまさぐる指先が忙しい。

 日曜日の朝8時5分。
 堀内敬三氏以来、クラシックの名曲を、丁寧な解説と共に聞かせてくれる長寿番組「音楽の泉」を、毎週休日の朝のまどろみの中で楽しんでいる。

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