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ちび太とお別れ


 読者の方々とは既にお馴染みの、雄猫のちび太が、7月25日の深夜、星空の彼方へと旅立った。

 ロンドンで庭園建築の仕事をしている娘にとって、ちび太はもはや猫ではない。 最愛の息子であり、なくてはならぬパートナーだった。

 彼女がロンドンで仕事をしている間、母親の私は、病気持ちで、やんちゃで、 自己主張が強いけれども、相手の心の中を巧みに読み分けるこの利発な、愛すべき男の仔を預かって、共に生活した2年間に、貴重な孫育ての経験をした。

 23年生きたおとなしい雌猫のニャンコより、2年間の付き合いでしかなかったちび太との方が、手がかかって触れ合う時間の長さのゆえか、言葉を使わない濃密な心の交流があったように思う。

 宝物を失った娘の嘆きは、簡単には癒されないかもしれないが、ちび太がいつまでも彼女の心の中に、友として生き続けていてくれることを切に願うのみである。

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