保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(僕を見て)

*名前は仮名です。

ソウタ君は年中の男の子。自閉症スペクトラムと診断を受けています。小柄で身のこなしが素早く、追いかけるのはもちろん、目で追うのもなかなか大変なところがあります。時々、他の子を押したり、叩いたりするので目が離せません。担任の先生が必ず1対1でついて見守っていました。

ある日、私はソウタ君のクラスにフォローとして入る機会がありました。担任が1人お休みで、日ごろ関わりの少ない私がいることで変化を感じたようすのソウタ君、少し表情がこわばっているように感じました。
『ソウタ君、おはよう』と、声をかけるとソウタ君はドアの資格支援表を指して、ホールに行きたいと伝えてきました。一緒に行こうとしたところ、何故か隣のクラスのリカ先生にしがみつき、『あー、あー』と言いました。『そうか、リカ先生と行きたいんだね』そしてソウタ君はリカ先生とホールに行きました。
その後、外で遊んでいると、ソウタ君の動きに一つ共通の思いが想像できる場面が続きました。

・自転車に乗っているけど、決まった場所で自転車から降りて地面に寝て園庭の様子を見ている
・他の子の水筒を持ってきて、保育士に見つかるとその子の名前が書いてあるところを指す
・片方だけ靴を脱いで、見つかる場所へそっと置いて様子を見る

これはもしかすると…と思い、療育終了後にリカ先生に聞いてみました。『ソウタ君、もしかすると関わりを求めているのかな?』
するとリカ先生は、そうだと答えました。靴を脱ぐことについてはリカ先生の目の前に置くこともあるそうです。『『遊んで』って言うんだよ…と伝えているけどね、』それで推測できました。ソウタ君はリカ先生が好きなのです。朝、しがみついたのも靴を置くのも、水筒を持ってくるのもリカ先生への気持ちのアピールなのかな。高い確率でこの予想は当たっているかもと思いました。

ソウタ君は、行動で気持ちを表す経験を積んでいて、ことばで表現するのが慣れていない(難しい)かもしれない。…ならば、落ち着いて遊べる1対1の時間の中で、ことばでのやり取りの成功体験を積み重ねていくことが大切なのではないかなぁと感じました。

ソウタ君は、リカ先生のことが好きで、関わって欲しいと思っているのではないか、リカ先生と他の子どもが一緒にいると、その子を外そうと引っ張ったり押したりするのではないか、時間の許す限り、『ソウタ君、見てるよ〜』というサインを送るといいかもねと感想を話してきました。

#ジブン株式会社マガジン

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