組織に起こる海王星的トラブル
◇「トラサタ型経営のすすめ」では、組織運営を占星術の象徴体系を通して見たときにどのようなことを言えるか、考察を試みています。
土星型組織運営のおさらい
土星型組織運営のイメージはこんな感じでした。
土星型組織運営とは、組織の「管理」「継続」を第一義とする組織運営の仕方です。
管理職、経営者はもちろん、従業員も組織を「管理する」「継続させる」ことをゴールと設定し、組織内で起こることすべてを極力想定内、コントロール下においたら、組織運営は一定期間それなりにうまくいくでしょう。しかし、管理と継続がゴールとなることは、組織を変化させ、その先へ進化する力を削ぎ、その結果衰退することが考えられます。
そして先回、「元来、人も組織も、進化と成長のために太陽系の10天体の要素を人生に発現させようとする。しかし、内発的に天体の要素を発揮しようとしないと、その天体の要素が外発的、あるいは不本意なかたちで表れる」という話をしました。
では、トラサタ的要素を組織から排除しようとする土星型組織に起こる海王星的トラブルとはどのようなものか考えてみます。
海王星の象意
海王星の象意にはこんな感じのものがあります↓
境界線を溶かす/受容/許し/インスピレーション/芸術性/創造性/想像力/あいまいさ/夢などなど、ゆるやかでどこか浮世離れしていて、ファンタジックでクリエイティブな雰囲気を感じていただけるでしょうか。(創造性が2つある、すみません)
組織運営と親和性の高くなさそうな象意もかなりありますね。しかし、これらの海王星要素を組織からすべて排除すると、別のかたちで海王星要素が噴出するという不都合が起きると考えられます。占星術の考え方に則るならば、天体の要素を何らかのかたちで抑圧すると別のかたちで表出すると考えられるからです。
では、海王星の要素を組織運営から全て排除しようとすると、どのようなことが起こるか考えてみましょう。
組織から「海王星要素を排除する」とは
海王星の要素(混沌、ルーズさなど)を排除しようとして
・ミスをなくすよう努める
・混乱を避けるために管理機能を強くする
・理想より現実を見る
上記のようなことを心がける組織は多いのではないかと思います。これらは、多くのクライアントに安定したサービスを提供可能な、ミスがなく、正確で、パフォーマンスに揺らぎの少ない、秩序ある組織を目指すならある意味当然の心がけ。特に組織が大きくなればなるほど、これらのことを心がけるようになるでしょう。
組織はなぜ海王星要素を排除したいのか
組織がなるべく海王星要素を排除したい理由。それはミスを許し、ルールを守らないことにより起こる顧客へのパフォーマンスの低下、なあなあな雰囲気/ルーズさ、公私混同の横行、また組織にカオスが発生し管理不能に陥ることを避けるためだと考えられます。
たしかに図のようになってしまうとスムーズな組織運営は成り立ちません。クライアントへのサービスにも支障が出そうです。組織を組織として成り立たせるためには、ある程度海王星要素を排除し、土星的要素である秩序の構築、維持、管理は必要です。
海王星要素の排除が行き過ぎた組織
しかし、先に述べたように、海王星的な要素過多によるカオス状態を恐れ、海王星要素の排除が行き過ぎると、組織には別の不本意なかたちでの海王星要素が表出してくると考えられます。
例えば、組織が大きくなり、年数が経てば経つほど
・ミスを許さない
・混沌を嫌う
・境界線(部署の枠、職掌)を守りすぎて縦割り組織になりすぎる
・現実性を重んじるあまり、現状維持に偏りすぎる
・人の揺らぎを許容せず常に超ハイパフォーマンスを求める
というように、硬直し、どこか息苦しい雰囲気がはびこる場合もあるでしょう。
ミスが許されず、常にハイパフォーマンスを求める組織でだんだん起こってくるのは、
・ミスのごまかし、取りつくろい
です。ミスを許さず、ミスをすれば即個人の評価の下落につながるだけでその根本的な要因に目を向けない組織では、従業員はミスをごまかし取りつくろったほうが得だからです。問題の根本に目を向け是正する誠意のないトップに従業員が誠意をもって応える義理はない、そう従業員が思っても不思議ではありません。
そして、早い段階のミスであればリカバリーや改善のできるものを隠蔽した結果、のちのち大問題となるような
・不正
・虚偽
が発生します。
ここ1、2年の間だけでも大きな企業や官庁での不正や虚偽のニュースをいくつも思い出せるのではないでしょうか。
これらの不正や虚偽は、日頃から従業員のミスやパフォーマンスの揺らぎを過度に嫌い、許さなさすぎる風土から起こった、つまり海王星要素を過度に排した結果、不本意なかたちで表出したケースと考えられます。
トップが「隠れ海王星要素過多」である場合
不正や虚偽を生む風土には、ミスや揺らぎを過度に嫌い、許さなさすぎる以外に、おそらくもう1パターンあります。それは、経営陣や管理職が現実を無視して過度に高い売上や利益目標を設定する場合です。つまり、会社の現状や市場の現状を鑑みれば本来なら無理があるレベルに目標を設定してしまう場合ですね。
企業は純利益を過去から未来へ右肩上がりに設定することが常ですが、少し考えてみてください。そもそも毎年利益を増やすことを当たり前のように目標とするのは現実的でしょうか?
マーケットの縮小や競合の台頭、自社のリソース不足、開発への投資による経費の増大などなど、冷静に自社を取り巻く状況を見たなら毎年利益を増やすことが難しい、というか不可能な会社は実はたくさんあるのではと思います。市場が飽和し毎年利益を増やす目標設定が非現実となる分野も結構あるんではと思いますが、にもかかわらず純利益の目標を根拠なしに右肩上がりに設定する企業もあるのでは。
経営陣の現実を見ない目標設定を従業員の「気合」や「やる気」「がんばり」「超人的なパフォーマンス」「よく分かんないけど何かのミラクル」でどうにかできる、どうにかさせようと思っている。これはまさに「現実から目をそらす」「非現実な夢を見ている」「シビアな現状を壮大なビジョンでマスキングする(=欺瞞)」=海王星要素過多の状態と言えるでしょう。
そんな経営陣、そして経営陣の言うことに逆らえない管理職から従業員が非現実的な目標を押し付けられた結果生じるのが、売り上げの水増しや正当でない手段の利益獲得などの「不正」「虚偽」「詐称」だと考えられます。
ある意味海王星要素をもって海王星要素を制しているわけですね。
海王星要素を排除しすぎても、そもそも過多でも海王星的トラブルが発生してしまう
まとめると、海王星要素を排除しすぎても、そもそも過多でも、結局海王星的なトラブルが発生してしまうと考えられます。
海王星の「揺らぎ」や「あいまいさ」などの要素を極度に排除しようとした結果、海王星のポジティブな側面である「許す」「受容」「リラックス」という要素まで排除してしまい、少しのミスも許されず、緊張感で張りつめた風土の組織でミスのごまかし、不正、虚偽が起こるケース。
このケースのバリエーションには境界線を守ろうとするあまり過度の縦割り組織に陥り、部門を超えた協力、協働が難しくなり、結果組織の求心力が下がるという事態も考えられます。
そして、もう1つが大元の経営陣の目標設定が非現実的であるという海王星要素を多分に含んでいて、その結果従業員が非現実的な目標を現実のものとしようとして不正、虚偽など法に触れるような行為をしてしまうことにつながるケースです。
また、これら2つが両方とも起こっているケース(従業員にはミスを許さない、非現実的な目標を設定する)もありそうです。
企業組織との食い合わせがよくなさそうな海王星的側面。でも組織から全ての海王星的な要素を排除しようとしてしまうと、むしろ一番不本意なかたちで海王星的な側面が表れてしまうのでは、というお話でした。
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随分前に書いた「組織に起こる海王星的トラブル」に加筆してみました。
年内には「組織で起こる冥王星的トラブル」にたどり着きたいです。
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