<水瓶座冥王星の覚書>冥王星の移動に寄せて~情報との距離を保ち、ほどよくつながり、人間のあるべき姿に立ち返る
今日(2024年11月20日 5:40ごろ)冥王星が水瓶座へ移動します。冥王星は公転周期が約248年と大変長い天体です。なので1つのサインに滞在する期間も大変長くなります。
ただ、公転軌道が楕円形なので、期間はサインによってまちまちです。ここ数十年はこんな感じでした。
獅子座:約19年(1939~1958年)
乙女座:約13年(1958~1972年)
天秤座:約12年(1972~1984年)
蠍座:約11年(1984~1995年)
射手座:約13年(1995~2008年)
山羊座:約16年(2008~2024年)
※サインの境目で逆行と順行を繰り返し行きつ戻りつするので、次のサインに移動しきったところからそのまた次のサインへ移動しきるまでの期間をカウントしています
で、今日いよいよ水瓶座に移動するのですが、水瓶座への滞在期間は2044年までの約20年とここ数十年の中ではかなり長めとなっています。ちなみに次の冥王星魚座期間は2044年から2068年の初めまでの約24年間、冥王星牡羊座期間は2068年から2097年の始めまでの29年間とどんどん長くなっていきます。
獅子座冥王星期の最中に第二次世界大戦が終わり、その後数十年の日本の世相の移り変わりは、
急激な経済成長とそれに伴う公害の発生(乙女座冥王星期)
日本経済の躍進と労働面での男女格差(天秤座冥王星期)
管理社会の確立と学校でのいじめ問題、カルト宗教の急伸(蠍座冥王星期)
インターネットの普及と国際化が進む一方、ネット発の冷笑文化が広がる(射手座冥王星期)
日本的企業文化の揺らぎと政治とカネの問題(山羊座冥王星期)
という感じで冥王星のサインとの関わりを見て取ることができます。
ある程度物質的な豊かさは担保されたものの、隠れた貧困と格差は広がりつつあり、世界中がインターネットでつながるようになり、AIが急速に進化している2024年の今、冥王星が水瓶座に移動するというのも興味深いですね。(とりあえず貧困の深刻化とインターネットによる格差の実感化とつながりやすさが悪魔合体したのが闇バイトの横行だと思いますが…)
水瓶座冥王星期には「情報との距離」と「ほどよいつながり」が鍵となりそうですね。今や多様な情報にアクセスできる時代です。ニュースも、メディアが発信するものだけでなくいろんな立場の人の生の声、体験談を含めて見ることができます。コンテンツも一生かけても見つくせないほどの量が日々生み出され続けています。
ただ、インターネットによって、無限に情報をインプットできるようになっているものの、インプットはそれ自体が自分の人生を動かすものではない。インプットを受けたあとに、頭と手足を動かして自分なりのアウトプットをしてこそ人生を動かしていける。けれども、ともすれば自分のリソース(時間、体力)をインターネット等からのインプットに費やしてしまい、アウトプットするリソースが残らない状況も起こり得るのが今の世の中でして。
自分の好きなコンテンツを見て情報を享受しているつもりでいたのに、貴重な自分の時間を知らないうちに吸い取られている、何ならインプットされる情報によって徐々に何らかの思想を刷り込まれていく、ということが往々にして起こるのが情報化社会の落とし穴だなと思います。流れてくるコンテンツをただ消費する側と相応の労力をかけて生み出す側の意識の差もかなり大きくなっていくのかな、とも思います。
情報のインプットを楽しむのも大事だけど、自分自身に何らかの実(じつ)を残したいなら、自分なりのアウトプットをできる状態をいかにキープするか、情報にほどよくつながりつつもつながりすぎない方法を考える必要があるのでしょうね。
自分なりのアウトプットをすることで、世界のどこかにいる自分と似た考えを持った誰かが見つけてくれる可能性、自分と志向性の似た誰かとつながる可能性、つながってまた新しい何かを生み出せる可能性も高まりますしね。
個人的には、ジャーナリングなどの自分と対話する時間、茶話会などの気兼ねなく自分のことを話せる時間を持つこと、瞑想や運動、手仕事など自分の思考以外のことに集中する時間を持つことが、情報にほどよくつながりつつもつながりすぎない状態をキープするのに有効だと思います。
あともう一つ「人間のあるべき姿に立ち返る」というのが水瓶座冥王星期のポイントだと思うので、先日お送りしたメルマガの追記を少々加筆修正してnoteに転載します。
・・・
11月20日に、いよいよ冥王星が水瓶座に移動しますね。
個人的に、水瓶座は種の存続のために普遍的なあるべき姿を追求するサインだと思うので、水瓶座冥王星期については、「人間のあるべき姿」を問い直される、人間のあるべき姿に立ち返るような動きが活発になるのではと考えています(来年は海王星と土星が牡羊座に移動することで、この傾向がより強まるのではないかと思います)。
以前、Xにこんな感じの投稿をしました。
”山羊座と水瓶座は(古典占星術では)どちらも土星が支配星のサインです。でも山羊座は持続のための効率性と構造化を、水瓶座はさらなる持続のための普遍性と脱構築を重んじるので、水瓶座冥王星期には行き過ぎた=持続に労力がかかりすぎるシステムには見直しが入るのでは。人の自然で持続的なあり方として消費をどこまで組み込むかにも調整が入るのではと思います”
例えば日本では、高度経済成長時代に、効率のためにどんどん分業化が進み、自分の仕事や役割以外では消費者として存在するのが当たり前の世の中となっていった、と私は思っています。
この「人の分業化(機能分化)」が洗練されすぎた結果、人間一人一人が単機能化していき、社会全体の空気的に(誇張して言うと)「政治は政治家任せ、身体の不調は病院任せ、子どものことは学校任せ」…みたいに、自分は自分の持っている役割とか請け負った機能に専念し、それ以外の機能は外に出して消費者として他の人にやってもらうのが当たり前、という感じの認識が強まっていったのではないか、とも思っています。
おそらく、みんなが自分のお金を稼ぐのに一番効率のいいかたちとしてこのような機能分化が進んだのではないかと思うのですが、これはたくさんの人が集まって一つのシステムを作っていたからこそできたこと。
みんなで一つのシステムを回すには、自分のペースではなくシステムのペースに合わせる必要があり、それに合わせられない人は非常に生きづらい。というか大体の人にとっては何気にかなりの無理が生じていたはず。
なので日々ストレスがたまり、たまったストレスの分、不健全な憂さ晴らしをして過ごさないとやっていられなかった、という面もあったのでは、と思う。
人の機能を分化させすぎちゃうと社会全体としては効率良いんだけど、考えることも分化されすぎて自分の領分以外は「それは自分の役割じゃないから」と他人事感が出てきたりもする。
この感じって冥王星が山羊座に入る2008年ぐらいまでが一際強かった気がするんですが、でもそのころはまだ景気(というか実入りの実感)がここまで悪くなく、がんばりに稼ぎがそこそこ伴っていたから、一応それでも良かった。それに、企業という共同体だけでなく、地域という共同体もまだ機能していた。
その後冥王星が山羊座に入り、リーマンショックが起き、効率が良いはずだった既存の社会システムの限界が見えてきて、毎日めちゃくちゃがんばっているのに稼ぎが伴わなくなってきて、地域社会も密度がだんだん薄まって共助的な存在や頼れるところが少なくなってきて、全体的に余裕がなくなってきて「このシステム、誰得?」という雰囲気が強まってきているのが今なのでは、と思います。 がんばっても報われない空気があるから闇バイトがはびこる。
これまでの社会の分業化、人の機能分化、単機能化(ややもすると非人間化)傾向は、冥王星が水瓶座に入ると終わっていくと思います。大きな「その中にいればとりあえず稼げる」システムが終わっていき、それに伴って、自分の外に出していた役割の中で、自分でするべきことは自分の領分として取り戻していくようになるのでは。「誰かがやっといてくれたらいいじゃん」と置いておいた領域が「実は自分がやらないとやばいじゃん」になっていく感じ。
それって結構厳しいようにも思えるけど、でも先日の衆議院選の結果には、実は政治のことって回り回って自分の利益にめちゃめちゃに関わってるじゃん、自分なりに考えていかないとこれからもっと損するじゃん、という認識の変化が既に反映されているようにも思います。
もちろん政治の話は自分たちの損得だけで語るとおかしなことになるけど、でも直接的にこれは自分たちも考えていかないとやばい、と思える状況が生じたのは、長い目で見ると良いことだと思う。 持続可能な社会のために、政治でも地域活動でも社会貢献でも、そこまで背負いすぎる感じでもなく、できることを細々とでも良いから長くやる、という志向になっていくんじゃないかな(水瓶座は不動宮で長く続ける性質)。
自分の住んでいる社会について、自分にもこの社会を良くも悪くもできる力と責任の両方がある、という意識で当たり前のように地域活動に参加する、政治談議をカジュアルに行うようになる、少額の寄付をする…みたいな流れはすでにもう来つつあるし、水瓶座冥王星期として良い感じだし、今後ももっと来そうだな、と思います。
1996年以降の生まれの人たちは出生図に水瓶座天王星、水瓶座海王星を持っているし、これから生まれてくる人達は水瓶座冥王星を持っていて、あらかじめ水瓶座要素のある人がこの世にどんどん増えていくので。
水瓶座は種の存続のために普遍的なあるべき姿を追求するサインなので、人のあるべき姿として、仕事や家のことなど、自分にとって直接的な利害に関わること以外の、地域や社会や地球のことを考えて動くことを楽しむ人、社会人でも消費者でもない、この社会を作っていく一員としての顔を持つことでより生きやすくなる人は今後どんどん増えていくのではと思います。
それに、もう既に企業によっては多様な働き方を提示したり、人によっては住むところやライフスタイルを自分の心地よいように変えて多様な生き方を選択したりと諸々変化が出始めているから、それが法律や社会全体の枠組みにもっと反映されていくのが水瓶座冥王星期なのでは、とも思います。
喫緊の課題として、気候変動の問題は今生きている人間みんなで取り組んでいかないといけないですしね(個人的には、年々気候変動が深刻化してきていることについて、これが水瓶座的「みんなで取り組む課題」か…と感じてる)。
そうやって、より持続可能な社会のありかたをみんなで模索していくのが水瓶座冥王星期なのかな、と思ったりする今日この頃です。
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