もしPENTAXIANでなかったら
PENTAXファン……というか、熱狂的ファンというか、信者というか、シェア1%以下だけど声が100倍大きいからPENTAXがニコンやキヤノンと拮抗してるように見せてる人たちのことを、いつしかPENTAXIANと呼ぶようになりました。
日本で使うようになったのはここ数年と思いますが、海外では結構古くからある単語のようで、2008年にこんなTシャツが作られていました。
「私はペンタキシアン。信者だ。そして頑固だ。どこに行くにもK1000を身につけていた。時々シャワーを浴びる時以外は下ろさなかった。子どもたちを寝かしつけるときには、かつて売れまくったこのカメラが『ザ・ペンタックス』と呼ばれるようになるまでの日々を、前のめりに語って聞かせた。私は、ピクセル等倍で写真を眺めてうだうだ時間を無駄にすることはなかった。ただ、撮った。私は魅惑されていたんだろう。時々、エレベーターで乗り合わせた人に、『AF一眼レフ用レンズの中で、PENTAXの31mm F1.8以上のものはないね』と語りかけたりもした。が、本当に、カメラについて語るよりも、写真を撮りたかった。PENTAXは理解している。カメラが写真を撮るんじゃない、使う人が撮るのだ、と。PENTAXの新型デジタル一眼は、PENTAXIANの意見をよく聞いた結果、真の写真愛好家のための制作ツールとなった。これらのカメラは、すでに多くの信者を生み出している。疑問もあるだろう。『最近PENTAX使い始めた人でも、ペンタ信者の一員だと思っていいの?』と。そう、我々はPENTAXIAN。マニア気取りの連中とは違う。ようこそ、我々の仲間へ」
なんというか、2008年時点ですでにこーゆー人たちだとよく分かる感じの文言でありますな。
ちなみにK1000は、日本では地味な機種なんですけど、海外ではめっちゃ売れて通算300万台を超えました。シンプルで安くて壊れないと。
Kマウントが登場した時に廉価モデルとして発売したKMから、さらにセルフタイマーとかいろいろ省略した最廉価モデルとして、1976年に海外のみで販売。日本ではMEが出た頃ですね。
それがあちらでよく売れ、日本でも「全機械式で電池がなくても撮れるから天体撮影とかに便利」といったことで、1986年(もうすぐAFのSFXが出る頃)に日本に逆上陸。
そして1997年(MZ-3が出る年)まで製造が続けられました。
本題~PENTAXIANでなければなんだったか?
で、本題なんですよ。
本題は、「私がPENTAXIANでなければ、どのメーカーのカメラを使っていたか?」ではなくて、PENTAXファンの呼称がPENTAXIANでなければどうなったか?
-ian、という形でファンの呼称が作られるのは、有名なところではシャーロック・ホームズファンのシャーロキアン(Sherlockian)でしょう。ちなみにこれアメリカ英語らしくて、英国だとホームジアン(Holmesian)だそうです。
ハリポタファンもポッタリアン(Potterian)ともいいますね。
スタートレックの熱狂的ファンをトレッキー(Trekkie)って呼ぶのに合わせてペンタッキーになったらかっこ悪いな。パチもんくさい。
まあ、英語で書いたらPentaxieだと思うので、ペンタキシーと読みそうですが。
で、トレッキーというのはちょっと、迷惑な人も含めて指してるような否定的ニュアンスがあるそうです。鉄道ファンを鉄ちゃんと呼んだら嫌がる人もいる、みたいな感じですかね。
うぃきぺによると、別称でない呼び名で、かつファン同士の交流をする人はトレッカー(Trekker)、ひとりでやるタイプはトレッキスト(Trekkist)、それからディープに詳しい人とトレッキアン(Trekkian)と呼ぶそうです。諸説あります、ってやつですが。
そうすると、ペンタクサー(Pentaxer)というのもありえる。なんか響き悪いな……。
ペンタキシスト(Pentaxist)も当然ありえる。
こういう造語、他にどんなのがありえるか。
アルコール中毒をAlcoholism、中毒者はAlcoholicと呼びますが……ってこれじゃ病気みたいだ。
チョコレートが極端に好きなことをChocoholism、チョコ好きすぎる人をChocoholicと呼ぶそうです。
これに倣えば、PENTAX中毒はペンタクサホリズム(Pentaxaholism)、中毒者はペンタクサホリック(Pentaxaholic)といったところでしょうか。また響きが悪いな……。
aじゃなくてoでつないでペンタクソホリック(Pentaxoholic)……いや響きがすでに侮蔑語だ、ペンタゾホリックと読むべきか。
xを飛ばしてペンタホリック(Pentaholic)だと伝わりやすい感じがしますが、これだと「5」中毒者って感じにも見えます。
本が異常に好きな人はBibliomaniaといいますね。
特に、本を買いまくって蔵書を積みまくり、稀覯本をあさりまくるタイプを指すようです。
PENTAXの珍しいカメラを集めまくるような人だと、ペンタゾマニア(Pentaxomania)としてもよいかも。なにぃSMC PENTAX REFLEX ZOOM 400-600mmF8-12の出物があっただと! とかいう感じの。
なお、-maniaという接尾語でできるのは、そういう状態を表す語で、そういう人ではないです。
ペンタゾマニアはレアなPENTAXレンズを求めて目を血走らせてる状態です。そうなってる人はペンタゾマニアック(Pentaxomaniac)ですね。
電話魔をTelephonitis、(車の)スピード狂をAcceleratoritisと呼びます。どう見てもいいニュアンスじゃないですけど。
PENTAX魔(?)だったら、ペンタキシティス(Pentaxitis)になりますか。普段は穏やかなのに、PENTAXのカメラを持ったら人の迷惑かえりみずにものすごい勢いでシャッター切りまくるんでしょう。
スピード狂だとSpeedsterともいいますが、-sterもいろいろありますね。Trickster、Rhymester、Youngsterなどなど。
じゃあペンタックスター(Pentaxster)も作れるか。-sterは悪い意味のものもあればフラットな意味のものもあり、Pentaxsterがどんなニュアンスなのかはちょっとわからなかった。
バロウズやギンズバーグなどの作家たちを指すビート・ジェネレーションのフォロアーは、ビートニク(Beatnik)と呼ばれてました。ロシア語の接尾辞-nikを使うのは、1957年にソ連が打ち上げた衛星スプートニクが由来。
その頃には、ジャズファンをJazznikと呼んだりもしたそうです。
PENTAXファンならペンタックスニク(Pentaxnik)とかですか。奇しくも、旭光学がASAHI PENTAXをリリースしたのが、スプートニクと同じ1957年。スクリューマウントの頃のPENTAXファンならこれが似合うかも。
熱狂的なバレエ愛好家はballetomaneと呼ぶそうで。
ペンタゾメイン(Pentaxomane)という語になる。-maneはフランス語由来らしいので、フランスのペンタックスマニアはこう呼ばれてるのかも(検索すると少しだけヒットします)。
気分や気質を表す語を作る-thymiaという接尾辞もあって、気分が高揚することをhyperthymiaといったりしますね。PENTAXにハマりやすい気質をペンタキシシミア(Pentaxithymia)と呼んだりとか。
コンピューターマニアをchiphead、『ニンジャスレイヤー』のファンをニンジャヘッズ(ninjaheads)と呼んだりしていますが、ペンタックスヘッド(Pentaxhead)と呼んでも……あんまり語としてしっくりこないな。
chipはあくまでコンピューターの主要構成要素なんだから、同じようにいくならペンタプリズムから取ってプリズムヘッド(Prismhead)とかにしたほうが格好いいな。ペンタミラーは認めないマンになりますが。
競馬マニアとか馬主はturfiteだそうです。
ペンタクサイト(Pentaxite)……って、そういう鉱石みたいに聞こえるな。ペンタプリズムからPrismiteにしたらますます鉱石。
やっぱりPENTAXといえばLimitedレンズということで、リミテダイト(Limitedite)なんてどうだろ。
と、長々と書いておいてなんですが、呼び名などどうでもよいのです。PENTAXのカメラを買って使えば、それはもうPENTAXIANなんです。
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