OSAWA MC 70-210mmF4-5 MACROというよくわからないレンズ
少し前に、堂島のカメラのナニワを覗いたら、1500円くらいの捨て値のジャンク扱いで、タイトルのOSAWAレンズが転がってたんですね。
ジャンク品だというものの、なんだか不思議にきれい。ほとんど傷もなく、使用感もない。しかしデッドストックにしては箱もなにもない裸。なんなんだろう?
K-70に取り付けてみるとこれくらいのサイズで、それほど大きくない。
しかし直進式ズームレンズで、望遠側に伸ばすとこんなに。
レンズの先にもビルトインフードがあって、ちょこっと引き出せます。
OSAWAはサードパーティレンズだったので、当時のカメラ各社用に違うマウントのものがあると思いますが、今回のはPENTAX Kマウント。
絞りリングにA位置がない、PENTAXでいうところのMシリーズ以前の仕様です。もちろんAFじゃなくてMF。
レトロな直進式ズーム、絞りA位置もない、となると、仕様から見ると70年代っぽい。
しかしそんな世代のレンズにしては、最短撮影距離0.9mと、ずいぶん寄れる。AF時代の70-200mmなどなら1m前後まで寄れて当然ですが、70年代の望遠レンズなんて、単焦点でも寄れないのが当たり前。例えば、SMC PENTAX-M 200mmF4は最短2m。
「MACRO」と銘打ってあるのもうなずけます。
また、開放F値もF4-5と変動が小さい。
重量はかなりずっしりしているものの、サイズはコンパクト。フィルター系もΦ52mmに抑えてあります。
さすがにレンズフードは少しガタがあるものの、筐体はしっかり精度良くつくられた金属製、ピントリングもなめらか。ズームはちょっと重い感じですが、自重で伸びたりしないようにかな。
古いものだと金属製なのは当然ですけど、あまり安物っぽくはない気がします。
で、用事のついでにK-70に取り付けて撮影してみました。
広角端。F8くらいに絞ってます。
これがなかなかよく写ってるんですよ。古いサードパーティのズームレンズとなれば、ものすごい酷い写りという可能性もあるんですけれど。
特に歪曲収差なども目立たないし、解像度もピクセル等倍で見られるくらい。
これは望遠端210mm。絞りは忘れちゃったけど、多分F8かなあ。
ピントの合った真ん中の鳩、なかなかきっちり写ってる。
白い彼岸花に出くわしたので、望遠端でマクロ撮影も。
マクロで描写が悪くなってもいないし、なかなか素直なボケ。1/3倍の撮影倍率もあるし、花撮りもバッチリこなせる。
もう一枚テレ端でマクロ。
使っていてちょっと不思議に感じるのは、なんかピントが薄い感じがする。ちょっとピントから外れるとすぐボケちゃうような。
広角端で。ざわっとした木の葉もいい感じに描写する。確かF11かな。
なぜか鳩が木の上に集まっていた。
「1500円で転がってた、OSAWA MC 70-210mm F4-5 MACRO」というレンズが、写りが良いとは誰も思わないと思いますけど、写りいいですね。
重いのはともかくサイズはコンパクト、最短撮影距離が短くてマクロ撮影もこなせる、その便利さに加えて、テレ端でもワイド端でもシャープで歪曲も少ない良好な写りをしている。
なんか、名前からくる予想に対して、モノが良すぎる。もしかして「大沢商会が力を入れて作った高級路線のレンズだった」という可能性もあるのかも。
強いて悪い点を見つけるとすれば、このカットが全体的に白っぽい。南向きにレンズを向けてたので、逆光といえば逆光。多分フレアが出てるんでしょう。
しっかし、このレンズは、ネットを検索してもあんまり情報がないんですよね。
Googleにヒットはするけど、実物を手にした人の記事はなぜか2015年以降のものばかり。
またWikipediaの「大沢商会のカメラ製品一覧」にも載ってません。
70-210mmの焦点距離はありふれたものですが、F4-5という焦点距離は特徴的……なんだけど、検索してもそれっぽいのは他にヒットしない。
うーん、ほんと、どういうレンズなんだろう?
大沢商会は1984年くらいに倒産して、会社は一応セゾングループの商社として存続してるらしいけど、カメラ事業はなくなった。
レンズの仕様から見ると70年代くさいので、会社が生きていた頃に設計されたものではあるっぽい。
しかし、この出来だったら「オオサワの隠れた名作」とか言われててもおかしくない気がするんだけど、そんな話が全然見つからない……。