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まさかの良玉かも(smc PENTAX-FA J28-80mmF3.5-5.6)

 21世紀に入ってすぐの、PENTAXが最後に出したフィルム一眼レフだった*istには、新しいFA Jシリーズのレンズが3本用意されました。
 超広角の18-35mm、標準の28-80mm、望遠の75-300mmの、いずれもF値が暗い、プラマウントの廉価レンズでした。
 そんなに開発力に余裕が大きいはずもないPENTAXが、超広角ズームまで用意してたのは意外なとこですが、*ist Dも発売したのでそのキットズームとして作ったようです。

 *istは時代もあってそれほどたくさん売れたカメラでもなさそうで、標準ズームだったFA J28-80mmF3.5-5.6も意外と見かけないレンズのひとつ。
 もともと廉価だし、欲しがるような理由もなく、中古屋にちゃんとした扱いで売られることも今となってはまずないようなレンズになっちゃったのでした。
 それで、稲毛のハードオフでジャンクコーナーにあったので、おやっと思って救出してきたのでした。550円で。

 正直私もぜんぜん期待なんてしてなかったんですけどね。
 90年代のFA廉価標準ズームって、まー、あんまり良いと思えたレンズはないし。もっと古いF35-80mmF4-5.6がいいレンズなんですが、それに比べると見劣る感じで。
 また、FA Jだと75-300mmも、これはちょっとなあ、って写りでしたし。

実写

45mm F4 1/90s ISO100

 以前行った入江泰吉旧居で、11月末から12月頭くらいが紅葉が見頃になって素晴らしいよ、と職員の方に教わって、じゃあ行ってみるかと向かった奈良。まず吉城園に立ち寄ったんですが。
 まさかのこんなバブルボケが発生してる。おやおや。

80mm F5.6 1/125s ISO100

 ちょっとピントの位置が甘い写真ですが。
 ボケがバブルっぽいけどかなり乱れた感じになっちゃって、テレ端だとこうなっちゃうかな。いい感じなのはズーム中間か。
 最短撮影距離40cmで撮影倍率0.25倍までいけるので、80年代ズームほど寄れなくて困るってことはないですね。

45mm F4 1/60s ISO100

 まあ古い廉価レンズなんで、写りはよくはない。これうっかり開放で撮っちゃってますが、周辺にいくほど目に見えて甘くなってはいます。
 でもまあ、思ったよりはだいぶマシ。

80mm F5.6 1/350s ISO100

 ボケの感じも不快ではなくて、わりと扱いやすそう。

80mm F5.6 1/350s ISO100

 なにしろ紅葉の撮影は彩度をバキバキに上げまくって華やかにするのが基本(諸説あります)なんで、私もだいぶ派手目に現像してますが、このレンズはカスタムイメージがナチュラルだと、かなりあっさりした色合いに見えることが多かった。

68mm F6.7 1/45s ISO200

 ちょっと絞れば写りの安定感も増す雰囲気。

53mm F9.5 1/500s ISO100

 深めに絞れるなら十分写りますね。文句いうほどではない。
 ここから吉城園の隣の依水園。吉城園は無料だけど依水園は1200円(寧楽美術館も込み)。安いとはいわないけれど値打ちはあるぞ。

45mm F8 1/30s ISO200

 これは古くて波打った窓ガラスに写る景色が良かったので。流石にレンズどうこういうカットじゃありません。

80mm F8 1/60s ISO200

 もうひとつ。

80mm F8 1/250s ISO100

 これはほぼいじらず撮って出し。

28mm F8 1/30s ISO100

 F8でも広角端は隅っこがちょっと甘いですね。パープルフリンジも藤の枝に出てる。まあでも廉価かつ超軽量180gのレンズですし。

 依水園も1200円は高くない……と示せるカットがないじゃないか、と私も思いますが、この日は同時にレンズ2本試し撮りしてて。

80mm F6.7 1/45s ISO100

 ここから入江泰吉旧居へ。
 なんとなく影もモミジの木っぽい。気がする。本当にそうだったかは微妙。

28mm F9.5 1/20s ISO200

 流石入江だけあって、写真になる家に住んでるなあ。
 今年の紅葉は、11月にはまだ全然だったらしく、でも12月6日だと少々遅かったくらい。惜しいけど先週は別件があったのだ。

50mm F9.5 1/45s ISO100

 期待値低かったレンズなのはありますけど、使っててダメって感じは受けませんでしたね。軽いし、8群8枚だからファインダーの見えとかは抜けがよく見えてたとかかな。
 現像して「ああ……」ってなるかと思ったらなってないしなあ。

80mm F5.6 1/45s ISO1600

 超軽いというメリットを考慮すれば、これくらい写れば十分いい。

50mm F9.5 1/30s ISO200

 もうちょいフレーミングは左に寄せるべきだったな。

28mm F9.5 1/125s ISO100

 PENTAXならポップチューンを使うことで、彩度MAXを超えて限界をぶっちぎることも容易……!

80mm F9.5 1/60s ISO1600

 近接域でも絞るとしゃんとする。手ぶれは……感度で耐えよう。

80mm F5.6 1/45s ISO400

 開放だとソフトみが出る。まあまあそれはそれで。

80mm F9.5 1/60s ISO400

 入江泰吉旧居にきて足元の落ち葉ばかり見てたおじさん。

FA J28-80mmF3.5-5.6ALについて

 古い安物といっても2003年発売、ほぼDA時代に近い頃の製品だけあって、90年代の廉価ラインとは思った以上に基準が違う感じですね。
 2001年のFA 28-90mmF3.5-5.6が良いとは言い難いレンズだったから、たった2年後にこれだけ良くなったものがでてくるとは。
 一回試して終わりになるかと思ったけど、超軽い180gを考えると持ち出すタイミングあるかもしれないな……。

 私はJ limited 01で使ってますが、APS-Cでもいいかもしれない。50mmくらいのバブルボケを使うのも、フルサイズより扱いやすくなりそう。

 惜しいのは、ピントリングが本当に先っぽだけ。
 バヨネットフードがつくんですけど、多分フード付けたらピントリングに指かからなくなるような造り。
 でも大丈夫、AFにつられてピントリングもフードも回っちゃう造りだから、フード付けたらフードを回せばOKです。だからフードも花形じゃなくて筒っぽのやつ。

 結構逆光厳しいシーンも撮ってて、それほど問題も感じなかったので、フードはなくてもまあいいかな。
 PH-RBE58なんか今探して見つかるもんでもないし、28mm用の長さで80mmまで対応しなきゃならんフードにそれほど効果があるとも……


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