コニカDigital Revio KD-400Zを懐かしむ
昔愛用した、コニカKD-400Zで撮った写真を整理してました。
もっとあるはずなんだけどな。保存したBD-Rがどこかにあるはず……
これ、私が初めて新品で買ったデジカメだったんですよね。
情報を集めて「これ欲しい!」と思えるやつを見つけ、ビックカメラに行って現物を見て触り、バイトで貯めた5万円払って、新品を買ってきたときのあの緊張が懐かしい。
で、期待倒れに終わることなく、すごく気に入って愛用できるカメラとして、長いこと私の手元で何千枚とシャッターを切られました。
500万画素以下のカメラで、最も優れた一台と言われれば他のがあるでしょうけど、一番良いカメラだったら私はこれっていうと思います。
コニカのデジカメのこと
コニカといっても、今はもう若い人は知らない会社になりつつありますね。2003年にミノルタと合併してコニカミノルタになり、2006年に写真事業をソニーとDNPに譲渡。カメラの世界からコニカの名が消えて14年。
しかし非常に長い歴史がある会社で、1873年に写真関係用品を売り始めた小西屋六兵衛店が前身。
新宿中央公園に「写真工業発祥の地」という碑が建ってる、あそこに工場を置いて、国産の印画紙などを製造を始めたのがコニカでした。
その後日本を代表する写真用品メーカーとして、富士フイルム・コダックとともにコニカの「サクラカラー」フィルムがどこでも買えたものでした。
時は90年代後半、デジタルカメラという製品が勃興してきて、カメラ・電器メーカーが続々と参入していきました。
で、デジカメが売れるとフィルムが売れなくなるというジレンマがあるフィルムメーカーもまた、変革を座視はできず、デジタルカメラに参入していました。
富士フイルムとコダックは、むしろ積極的にデジカメに突撃していたくらいなんですけど、コニカはかなり立ち遅れ感が。
一応96年という早期にQ-EZという機種で参入はしているものの、Intelが提唱したミニチュアカードっていうメモリーカードを採用しちゃって、まあ、あまり売れたわけではなかったようです。
その後、ぽつぽつと製品を出すものの、あまり話題になるようなものも出ませんでした。
そこで2002年夏、地味に発売されたDigital Revio KD-400Z。
CANONの大ヒット作IXY Digitalと同等サイズのコンパクトボディ。
外装はフルメタルで、銀色に輝く。デザインもぎゅっと詰まった感じの悪くない形。
しかも小型機なのに、高級機で使う1/1.8型400万画素センサーと3倍ズームレンズが入った。このサイズだと1/2.7型センサーとか、単焦点や2倍ズームレンズが多いのに。
一般的な客にもアピールできそうな上、さらに、画質がすごく良いぞ、という評判がマニア層に広がっていきました。
これがコニカ的にはヒットして、マイナーチェンジモデルがいくつか展開、KD-310Z・KD-500Z・KD-410Z・KD-510Zとリリースされました。
コニカのDigital Revioここにありと存在感を示し始めたところで、コニカはミノルタと合併。
一応コニカミノルタからも、なんとなくコニカ系っぽいDiMAGE Gシリーズが出てましたが、それを最後に写真事業撤退。
「コニカのデジカメ」といえば、KD-400Z系が代表作となるでしょう。
画質がいい!
で、KD-400Z、画質良かったんです。
CCDセンサーは1/1.8型400万画素で、これは大型高級機にも使うやつ。PowerShotのGシリーズでも、この頃なら1/1.8型でした。
センサーは上級、じゃあレンズはというと、それほど明るいわけでもない一見平凡なやつ。
が、コニカ伝統のレンズブランドHEXANONをつけました。コニカのこれ以前のデジカメはKONICA LENSだったんですけど、HEXANONと名付けたのはこれが初めて。
何が良いって、色がよかった。特にこのこってりした緑の出方。
今時のカメラとかスマホだと、これ以上に記憶色というか印象色みたいな色になったりしますが、2003年頃って、あんまりここまで色鮮やかじゃありませんでした。
まだまだ黎明期で、CCDセンサーの色情報をうまくJPEG画像に落とし込むノウハウがこなれてなかった。紫色がちゃんと出ないとか、赤がすぐ飽和するとか、なんか色の分離が悪いようなくすんだ色になったりも。
ホワイトバランスもまだまだ判断が怪しくて、よく転ぶ。
それがいきなり、正直あまりデジカメで期待されてなかったコニカから、こんな濃厚で鮮やかに色を出せるデジカメがポンと出てきて。
彩度やコントラストを高くして、でも破綻しないギリギリを狙ってる感じ。シャドー部なんかかなり潰れてるんですが、撮って出しで見栄えさせてる調整といいますか。
でもって、レンズの解像感もよかった。
ま、当時としては超小型というサイズだったんで、明るくないし、かなり歪曲収差が目立つ(1枚目の写真は波打ち際がひん曲がってますよね)といった難点もあるんですが。
これがねえ、絞った時のカリっとシャープな写りときたら。
まあ実は、開放絞りだと平凡な解像力なんですけどね。絞ってナンボ。
プログラムオート機(KD-510Zのみ絞り操作可)だから明るくないと絞られない。CCDの感度もISO100で実質固定だから、増感して絞るとかもないです。
とにかく晴れててナンボのカメラでした。
この時代、ISO100固定で手ブレ補正もないのはどこのカメラでも当たり前で、暗いとキツいのは何でもそうでしたけど、KD-400Zは晴れと曇りで画質に大差がついちゃうから非常にピーキー。
デジタルカメラ製品としては、色々難点・弱点もありました。
十字キーとか小さすぎて押しづらいし、露出補正もメニューの奥底に埋まってて使いづらいとか、フルオートで撮る以外の操作がめんどくさい。メニュー構成も正直めちゃくちゃだった。
オートフォーカスも中央1点のみ。キヤノンなんか一番安いのが3点AiAFだったりしてたのに。
速度もあまり早くなかった。精度が悪くはないんですが、全然合ってないのにシャッター切れちゃったりもしがち。
時代的に仕方ないですけど、液晶が1.5型だから大外ししてても見落としたり。
電池も持たなかったなあ。
ソニー製品以外では非常にレアな、SDカード・メモリースティックのデュアルスロットで、ストレージは余裕持たせやすかったんです。でも電池が先に終わっちゃう。
まあ、他社も電池もち悪いのが多かった時期ですけどね。
画質が良いカメラを持つと喜んでしまうのは、カメラオタクの宿業といいましょうか。
これ買った2003年頃なんて、仕事でカメラ触ることになって、勉強してたら面白くなって、まだ1年くらいの経験しかなかった頃。その時点で「これ画質いい!」って喜んでるんだから、宿業といわずしてなんと。
17年ほど過ぎてもまだ、こないだ買ったHD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limitedに「これ画質いい!」って喜んでるんだから。
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