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そうか、スクエア大阪はもうなくなるのか (smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited)

 リコーイメージングスクエア大阪ができて(厳密には長堀橋に前からあったんだけど、小さくてもっぱらサービス窓口って感じで、規模が随分違ったの)、気がつけば4年半ほど過ぎていた。オープンは17年9月ね。
 それがついに、3月28日をもって営業終了になると。

 2000年ごろにカメラデビューして、初めて買ったフィルム一眼レフはリコーXR500、デジタル一眼は当然のようにPENTAX *ist DS2を選んで、K-x・K-01と使い継ぎ、Q10とQ-S1まで買い足して、そして2016年秋には出たばかりのK-70を買った、そこそこ歴のあるPENTAXIANの私だった。
 でもね、K-70って私、これがPENTAXのカメラを買う最後になるのかなあ、っと思いながら買って使ってたの。
 私じゃなくて、リコーイメージングのほうが「K-1も出したし、もうゴールしてもいいよね」って思ってるんだろうと。同時に用意された大三元ズームがOEMらしいと聞いて、完全にこのためにリソース使い切ってんじゃないのと……。
 まあね、私は2017年春ごろまで東京で暮らしていたんだけれども、雇われ先の社長が会社も事業も家庭も全てむちゃくちゃに破壊して逃亡するなんて事態に巻き込まれ、私のメンタルも懐具合も本当に悲惨な状態ではあったので、悲観的になってたとは思うけれど。
 それが、天満橋にスクエア大阪がオープンするという。えっ?
 どういうことだと見に行ってみたら、なんか広くて美しく作り込まれたショールームが。
 なんだ、リコーイメージングはまだまだPENTAXをやるんじゃないか、と思わせてくれたもんでした。

3月5日のスクエア大阪

 PENTAXってショールームを曲線で作るというか、東京のも新宿はともかく銀座の方はビルごと丸いのに沿って空間を使ってたと思う。
 よそのメーカーのショールームもそれぞれ行ってみたことはあるけれど、もっと四角い空間に四角いテーブルでオーソドックスにやるのが普通。
 オーソドックスが悪いはずもないけれど、やはり初めてこのスクエア大阪を見た時は強烈なインパクトがあったもんね。写真機は工業製品ではあってもアートを生むためのものでもあるから、センスを突きつけてくるメーカーの方が面白かろう。

名物男A氏が肘ついて怒られた受付は、今はJ-Limitedの定位置

 スクエア大阪ができてからの私は、社長が破壊した事業の後始末を生活ギリギリでやり続けてたり、困ってると相談したらそれにつけこんでタダ働きさせられたり、どうにか始めた別の仕事もゼロ時間雇用で酷い薄給で使われ、と、引き続き経済的にろくなことがなかった。
 なので、せっかくスクエア大阪があったのに、あんまり買い物もできなかったなあ。KP J-Limitedはもうちょっと所得が回復したら買いたいと思い続けたまま、とうとう受付中に頼めなかった。
 アウトレットのTHETA VTHETA STICK TM-2(これは新品)、Qの04 TOY LENS WIDE05 TOY LENS TELEPHOTOくらいだったか。HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limitedは新品で買ったよ。
 ファミリークラブに入ったりとか、写真スクールを受講したりもしたけれど、しかし我ながらあまりお金を落とせなかった客だったな。

DA Limitedレンズ群

 だから、最後にレンズ一本くらいは買おうと思ったわけですよ。
 幸い、昨秋から高給じゃないけど暮らせる程度のまともな収入がある仕事に就けていて、まあなんとか10万円くらいまでは出る。

 で、悩む。もちろんスクエア行く前からある程度考えてはいたけど、なかなか現地で決めかねる。
 *ist DS2を使ってた頃に買って、10年以上愛用した末に最近壊れてしまったDA21mmF3.2 Limitedを買い直すか。しかしK-70にしてから、あまり相性がよくないレンズに感じて使用頻度落ちてたレンズでもある。
 防水レンズ持ってないので、DA20-40mmF2.8-4 Limitedで現代的な性能と防水を得るか。しかし思ったより大きめなのと、DA17-70mmF4のレンジ内のを買い足して使いきれるかどうか。
 超広角は苦手とわかってるけど、挑戦すれば新たな世界があるかも、とDA15mmF4 Limitedなどと考えるも、頻繁に使える気がせず、ならばすでに持ってるDA12-24mmF4でいいかなっと。
 私のシステムで明らかに弱い大望遠を、もはや定番というほど高評価のDA55-300mmF4.5-6.3PLMで補う……。まあそれが手堅いけど、最近動物園とか行きづらくて、どうも出番が思い当たらない。
 シンプルに高画質を求めてDA☆55mmF1.4。でも写りが良いだけなら手元のFA MACRO 50mmF2.8も相当なものだし、せめて焦点距離違えばなあ。
 DA70mm Limitedの愛用ぶりから中望遠好きは明らかだから、DA☆50-135mmF2.8は……このでかさが難しい。

 で、迷いちらした末、アウトレットコーナーにあったsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedがですね。
 いや、最後の餞に買うんだっつってるのにアウトレットか、とは思ったんだけれど、予算や用途など諸々ぴったり来ちゃって。

ぺんT&トート

 さっきから載せてるスクエアの写真が、買って即K-70に装着して撮って回ったものです。
 フィルム用レンズとはいえAPS-Cでちょうど標準になる画角なので、使いやすいのはすぐわかる。

 ちなみに感謝セールって何出してきたのかなー、と色々見ましたけど、「どこから出してきたんそれ」っていうようなのも結構ありましたよ。
 いつものアウトレット棚もかなりいっぱいで、色々並んでました。私が買ったsmc FA31 Limitedもそこから。
 まあ、せっかくだから行って見てきてください。

 しかし、リコーイメージングが今後目指すという「工房的ものづくり」とかは何事なんだろうな、と思ってたら、突然のスクエア営業終了告知で。
 まあねー、大阪にはキヤノンニコンソニー富士もショールーム構えてるけど、シェアがずっと小さいはずのリコーイメージングが見劣らないようなのを抱えるのは苦しいとは思う。できたときから「こんな強気で攻めるのか!」と驚いたくらいだったし。
 スクエア大阪があってくれたおかげで、DA 70mmF2.4 Limitedなんて良いレンズも手にすることになったし、受講した米谷昌浩さんのフォトスクールで写真の腕が一気に上がった。そういえば、カスタムイメージをいじるほどちゃんとRAW現像やるようになったのすら、100周年記念イベントで話聞いてからだったぞ。
 スクエア大阪がなかったら、私は単なるユーザーのままで、今みたいな信者、PENTAXIANというような人間にはなってなかったと思うし、なんならオリンパスあたりに乗り換えてた気もする。
 もっと金のある信者だったらよかったけど。

 まあ、多分3月中にあと1~2回行っちゃうと思いますが、近畿圏のPENTAXIANは、最後に一度くらい顔だしましょうや。


 で、さっそく31mm Limitedを持って、毛馬桜之宮公園を歩いて行きました。

F5.6。なんだろう、このレンズは立体感が出る描写をするというけど、このコンクリート壁の小さなシワや壁面の歪みがぱっと見えてくる感じ、これがそうなのかな。
F4。そういやFA Limitedは収差補正や周辺減光補正が効いちゃうんだっけ。特に気にせずデフォルトの有効で使ってます。
開放。31mmで30cmまで寄れる。上手い具合に手前の傘のヘタのところにジャスピン。
F8。ただ地面に落ちた影がなんだかよく写る、気がする。
F11。暗い水面に映り込む影まで繊細なトーンで残ってる、ように思う。
F1.8。ネット情報で、開放近くでは距離によってやけにボケが荒れるシーンがあるとの話を聞いてましたが、このカットの右の方は若干それが出てるかも。今回は酷いってほどじゃないと思いますが。
F9.5。影撮っちゃう。
F8。APS-Cだと、別に28mmでも35mmでも標準のつもりで使えるんですが、31mm。大差ないだろと思いつつ、結構違うなあとも思えちゃう。
F4。別に深く絞らなくたって実に安定した写り。これも立体感あるなあ。
F5.6。

 なんだろう、ただ撮ったら勝手に良い写真になるようなレンズね。なぜそうなるのかを語る言葉を持たないんだけれど。
 スクエア大阪で撮った写真を見てると、強いライトの周辺に色がついちゃったり、前ボケに紫、後ボケに緑のフリンジが出ちゃうとか、光学的に完全無欠みたいなものではなさそうなんですが、でも現に結果がいい。

 でまた、私最近はフィルムでも結構撮ってますけど、APS-Cで標準になり、フィルムで使えば広角になる。古いAF一眼でもちゃんと駆動されるし、MFで使っても高品位な鏡筒のシルキーなピントリングで扱える。
 これはもう、壊れるまで使いつくす一本になりそう。


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