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平群歩き (J limited 01 / smc PENTAX-A 35-70mmF4)
AI画像生成に熱中していても、やはり土日はしっかりウォーキングで体を動かすのだ。
どこへ行こうかとGoogleマップを眺めていたら、龍田川唯一の渓流という馬鍬淵というところが目に入りましたね。
場所は平群町ですね。
35年ほど前、荒っぽい気風の泉佐野の小学校に余所者として入学した私は、ぜんぜん馴染めずいじめられてたんですが、同じ余所者で大人しくて勉強のできるタイプのH君が、同じクラスで唯一の友達でした。
しかし親の仕事の都合で、H君は2年に上がるときに引っ越し。その転居先が平群町。当時は平群町と聞いてもどこだかわからなかったけど。
そういうわけで、近鉄生駒線に揺られて東山駅へ。
馬鍬淵
東山駅を出て、目の前の国道168号を南に歩いていく。
途中でコメリを過ぎたところで、右手に通行止めの脇道があるんですが、別に歩行者は止められてないのでそこから入っていけば近かった。
私はわからんかったので、一旦平群北公園まで行ってから、裏手の道から向かいました。
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整備はされてるんですが、かなり鬱蒼としたところを通る。
こっちからだと結構アップダウンあるとこ歩きますね。
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で、ぱっと視界が開けると、川が90度折れたようになっているところに、岩場から滝が落ちている。
ただまあなんだ、ちょっと水が綺麗でないというか、ゴミが流れ着いてここで溜まってしまうようで、上の写真すぐ右の水面にはゴミ溜まり。フレームアウトさせるとちと構図が限られちゃうな。
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前日に雨が降ったのもあってか、水量が多いみたいでドドドと音を立てて水が落ちていた。
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滝の出口にちょっと脇道ができちゃっていて、一部の水が分流している。
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滝が落ちた後には、また穏やかな龍田川に戻る。
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上にも岩場を流れる渓流らしいところがあるんですが、どうも写真にさっぱりまとまらなかったので滝だけ。
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一応一枚だけ。下から撮ったものだけど。
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手すりに小さなクモがいた。ワカバグモというのに似てるけど、小さかった。子供かな。
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目の前で止まった蝶がいたので緊急ポートレート撮影会。
コジャノメかヒメジャノメか、迷ったけど5月に出るやつで目が小さいのはコジャノメみたい。しかしコジャノメは若干紫色みがあるらしいけど、それが見えないな……。
千光寺
駅前にハイキングマップがあり、紹介されているこの近くのコースが、山の上の千光寺へのルート。
時間もあるし行ってみるか……と、軽々しく決定。
信貴フラワーロードという道を歩いていく。
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道沿いにぽつんと現れた水田とリフレクション。
しかし車で走りやすそうな二車線舗装路、ゆえにあんまり歩いて面白い道でもない感じもちょっと。うーむ。かなり歩いたけどあんまり写真はなく。
道端で時々カサっと音がする。何度目かで、ニホントカゲらしいのが突っ走って逃げていくのを目視できた。
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わかりやすく千光寺方面へと案内が出ているのに従って歩いていく。
なぜか道端にパレット積んであった。
ここから、鳴川という川沿いに千光寺まで集落が続いて民家が並ぶ。
役行者が修行に来るような山深いところで、現代感覚でもそうとう不便そうなところだけど、千光寺がもっと勢力あった頃には人も集まるところだったのかなあ。
鳴川石仏
途中の脇道に、鳴川石仏という案内板があった。
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ますます鬱蒼としている。
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清滝石仏群、という案内板はあるのだが、なかなか険しい岩壁はあるものの、どれが石仏なのかわからない。
どうも苔むしていて見えないっぽい。どれか石仏ではあったようだ。
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元々ここに清滝が流れ落ちていたのが、ここ数年の間に枯れちゃったらしい。平群町の観光情報だとここに滝が落ちてるのだが。
で、かなり傷んだ太鼓橋がかかっていたのだけど、ロープかかっていたし、私の体重で乗ったら折れて落ちそうな気がする。
小学校の頃にボーイスカウトに行かされてたんだけど、そこの隊長が強圧的に命令する人で。活動で山歩きしてて、見るからにボロボロの丸木橋に、わざわざ一番大柄な私に「渡れ」と脅すみたいに命令して、嫌々行ったらやっぱり折れて、沢に転落したことあんの。
だから今でも、この橋はちょっと行こうと思えない。
今回小学生時代の話が多いな。
でまあ脱線はさておき、その太鼓橋を渡った向こうに、もっとはっきり彫り込まれた石仏群があったらしい。まあ仕方ない。またの機会。
さらにいえば、千光寺への旧参道が麓からここへと続いていたようで、明らかに車用の道を歩いてくるより面白かったかもしれない。
が、雨の直後で道もぬかるんでいて、ワークマンの履き古した安いスニーカーでは事故るまでありそうで、帰りに通ってみるのも控えた。
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よく見ると石仏の口元が見えてた。
鳴川山 千光寺
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ますます急坂になる道をようやく上がって、千光寺の惣門が見えた。
略縁起があったので、以下にざっくり現代語訳。
天智天皇の時代、役小角が宇佐八幡と生駒明神の神勅でこの山に入ると、高貴な老僧(地蔵菩薩の化身という)と出会い、教えを受けた。そして現在本堂があるところで、千手千眼観世音菩薩が光を放って出現したのを見、感動してその像を彫って、草堂を結んで安置した。
白鳳12年(672年)、天武天皇が命を下してここに伽藍を建立して千光寺と名付け、500石の寺領を与えた。
天文年間に兵火にかかって行者堂だけ残してことごとく燃えてしまった。
どうにか復興を進めてようやく以前の姿が戻った、と思ったら天正年間に松永久秀に寺領を没収され、伽藍も退廃していった。
役小角は後に、この山から遠くに見た大峰山を修行に相応しい場所だと認め、そちらに大峯山寺を開いたため、こちらは「元山上」と呼ばれるようになった。
天文時代に平群の寺院が焼かれるような戦というとなんだろう。時代的には三好長慶がらみ、太平寺の戦いあたりに巻き込まれたかな。ちと場所がずれてるけれど。
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表門。門の向こうにいるのは平群町のゆるキャラ「左近くん」。
平群町は島左近の出身地といわれていて、居城の椿井城も跡地が残ってる。今度こっちもいこう。
千光寺はユースホステルもやってるので、安く宿泊もできる。
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三十六童子池。いずれも最近奉納されたものみたい。
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境内にこの像が多数奉納されて並んでいる。役行者像だと思うけど、なんだか仏像らしくはなくって不思議な雰囲気を出している。
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観音堂、つまりこのお寺の場合は本堂。十一面千手観音像を祀ってある。
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そして一番上には役行者を祀る行者堂。
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なぜか縁結びの御利益があるお寺になってるようで、男性は鉄錫杖を3回持ち上げれば、女性は鉄下駄を履いて3歩歩けば良縁に恵まれる、という。
しかし、鉄錫杖はちょっと、持ち上げる姿勢を取りづらい置かれ方してるのもあり、私がやっても全く上がらなかった。男はまず鍛えろといわれてるのかもしれない。
と、唐突に行ったわりにハードに歩いちゃったけれど、やっぱり奈良はいきなり歩いても受け入れてくれる懐の深さがあるな。どこ行ってもなにかある。