めぐりあいコシナ (J limited 01 / COSINA 19-35mmF3.5-4.5 AF)
PENTAXの、しかもK-1系を使うとなると、選択肢が少なくて困るのが超広角。DFA21mm LimitedやDFA15-30mmを買える資金力と使える筋力があればいいんですけれども。
FA20-35mmF4がありますが、他にないから需要が高くて5万円くらいしますね。修理が効く時代のものならまだしも、ちと厳しい値付け。
FA J18-35mmF4-5.6は、やっぱり数出てないし、プラマウントの廉価品。私の手元のも曇ってますし、これ持病だったら、発売20年を過ぎた今となっては生存個体も限られるか。
サードパーティまで含めればまだ選択肢はありますが、いずれもやはり数が出てるとは思えない。28-80mmなんかとは違いますからね。
ところが、縁というのはあるもので、よく行く店を覗いてみたら、「状態良好」と書かれたコシナAF19-35mmF3.5-4.5が出てきた。2800円。
コシナの古いレンズは絞りが粘ってたりすることがありますが、それも大丈夫そう。外装も光学系も見た限りきれい。
昔のコシナのこと
コシナというと、最近はフォクトレンダーやカールツァイスのブランドで高画質レンズを作って売り出してますけれど、古くからレンズもボディも自在に作って、各社にOEM提供も多数という技術力あるメーカーでした。
ただ何しろブランド力がないので、コシナのOEM製品がニコンFM10と名付けられたら信頼できる入門機になり、コシナCT-1 Superだと「なにそれ怪しい」といわれてしまうメーカーなのでした。
そんなメーカーだったコシナが、自社ブランドで出していた製品は、実力を知る少数のユーザーから高い評価を受けていた……というような印象はあんまりないですね……。
私リアルタイムには、コシナという自社名ブランドで商売してた時代のごく末期しか知らんのですが、正直激安もの以上のイメージはなかったですね。
コシナブランドで高価なもの作っても売れるはずがないから、実売1万円の無茶苦茶安いレンズとか、ニッチな値段なりの製品を売ってた感じで。
その頃からBESSAとかマニア向けの製品も作ってましたが、私はそのへんの客になるのはまだ早かった。
その頃に、COSINA MF 20mmF3.8 MC MACROを新品9800円で買って、今でも持ってるんです。
APS-Cじゃ使う意味がないから半ば死蔵してたんですが、せっかくだからJ limited 01で使ってみるかと持ち出してみたんですが。
手ぶれ補正の焦点距離設定を間違えてるので、微ブレが出てるかもしれず、ピントあってるところのシャープさはおいときますが、縮小サイズでも隅が流れてるのが見えてますね。F8でこれ。
他にもまあ、かなりいろいろアラのあるレンズです。
もちろん超広角を1万円でというレンズを、3600万画素フルサイズセンサーに対して性能が足りないと責めるのは無茶なんですけど。
コシナは、20mmを1万円で売って利益を出せる製品を作れる一方で、今は高価格帯でマニアを唸らせるレンズを作ってるんだから、開発力の柔軟性が異常なほど高い、といえるとは思いますが。
AF19-35mmF3.5-4.5 実写
で、AF19-35mmF3.5-4.5ですが、私が見た21世紀初頭だと20mm単焦点よりはもう少し高い値付けだった覚えがあります。いうても19800円とかだったと思いますが。
単焦点の方に、1万円の20mm・24mm・28mmがあって、コシナ三姉妹と呼ばれて一部好事家に愛されてたんですよね。その影に隠れて、ズームはあまり話題に出なかった。
APS-Cデジタルが主流になると、キットレンズの影に隠れてますます目立たない存在になっていきましたし。
なんにせよ、安レンズには違いなく、コシナ製品としてはSUPER WIDE-HELIARよりも20mmF3.8に近い側の製品だろう、と思うんですが。
コシナレンズでもAFだから当然ちゃんとROMチップは機能して、焦点距離もF値もちゃんと出て、デジタルでばっちりフルに使えます。
うーむ。20mmF3.8と違って、縮小サイズでわかるような流れはない。
というか原寸で確認してもそこまで悪くもないですね。
この通りで、色ズレはだいぶ出て甘くもなってるんですが、19mmの、しかもズームでこれだったら十分許容範囲だ。角以外は普通に写ってるとしか言いようがない。
重量は実測してみると307gでした。かなり軽い。
鏡筒は太めで、さらに先端が膨らんでてフィルター径は77mmですが、長さは控えめで威圧感は出ない程度のサイズ。スナップでも使いやすい。
ただ、下手に分厚いC-PLとかつけるとケラレが出そうなのと、フォーカシングで前玉が回ります。
使い始めのしばらくの間、深めに絞ると露出が明るめに出る感じで、もしかして若干絞り粘り気味かなあ、と不安を覚えたんですが、使ってたら落ち着いたっぽい。
PENTAX純正レンズの絞り粘りってほとんど見たことないですけど、過去に2度ほど手にした中古コシナレンズは、開放しか使えないレベルで粘ってました。
でも今回のも、新品で買って20年経った20mmF3.8も大丈夫なんですが、どこからくる差だろう? たまには使うかどうかかな。
逆光に関しては、PENTAX純正の感覚だとサードパーティは弱いと思えることが多いですけど、まあ、この程度のゴーストだったら味にもなるか。
ファインダーでは、逆光の弱さが気になったりはしなかったんですが、あとから見ると一枚だけすんごいカットが。なんだこれ。太陽の向きとはけっこう離れた角度だったと思うけど……。
あと画質的弱点としてはこの見事な陣笠歪み。
ちょろっと試した限り、DCU5だと補正バランス-9・補正率-20前後くらいかなあ。でもズーム動かせば変わるし、こんなんプロファイル無しでちゃんと補正できないぞ……。
開放からは1.3段くらい絞ってるF5.6でも、かなり周辺光量が落ちてるのも見える。これもまあ広角だからしかたないか。
最短が50cmなのはカバーのしようがない弱点で、今日みたいに遠景ばっかり撮ってたらいいけど、室内使用とかだと困るシーンも出るかも。料理とかだいぶ辛そう。
まあ歪曲も、建物真正面から撮るとかでなければさほど気になるわけでもなし、ぜんぜんいけるなあ。
正直、単焦点の20mmF3.8よりもさらに落ちるくらいの写りが出てくるもんだと思ってたから、これだけ普通に写るものが出てくるなんて思わず。
もしかするとF11でもなお周辺光量落ちが少し残ってるのかな。そうでもないかな。どうだろう。
私は周辺光量は落ちたら落ちたで特に悪いと思わない方なんで、私はどっちでもいいや。
そもそも超広角を期待してるので、別にこれで28mmや35mmを撮るつもりがあるわけじゃないのだけど、一応一枚。
絞り開放で意地悪に撮ってるので、原寸で見ると全体的にちょっとほわっとした感じしてるかな。まあ絞ったらましになるだろうし、周辺も特に乱れないし光量も落ちてない。
まとめ
私の感覚だと十分実用できるレンズ。
まあ私は画質が欲しいときは単焦点レンズを持ち出すので、ズームには相当要求が甘くなってるとは思う。単焦点は画質良いと嬉しいけど、ズームだと画質が酷くなければ嬉しいくらいになってる。
J limited 01ならAPS-Cの頃より周辺の悪化が気になるようになる、かと思いきや、1000円で買えるsmc PENTAX-F 35-80mmF4-5.6で「いける」と思ってしまうくらい甘かった。
超広角ズームもコシナ19-35mmで使えると判断しちゃうとなると、またもお笑い配合の採用になってしまうな。
そうなると望遠ズームもなにかチープなのを狙いたいとこだけど、さて。
タムロンやシグマの75-300mmなんかじゃ面白くないけど、トキナーEMZ130 II(100-300mmF5.6-6.7)あたりどうかな。これが意外とよければお笑い大三元だ。