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磐船街道で河内国へ(E-M5 Mark II / Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO)

 河内国と大和国への往来は、今は大半を近鉄電車に牛耳られていて関銭を払って電動駕籠で渡るようになってますけれども、別に歩いて国境を越えて悪いわけでもないのです。
 以前暗越奈良街道を歩いて越えてみたんですが、今度は別ルート、磐船街道からいってみましょう。大体国道168号で、生駒市から四條畷市を経て交野市の方に出ます。

 なお、さすがにMFのレフレックス300mmF6.3一本で歩くのは地獄すぎるので、LUMIX G VARIO 14-45mmF3.5-5.6も持っていった。というか大半はそっちで撮影。
 4月3日はフォーサーズの日、その週末ということでフォーサーズウィークエンドということにして今日は久々のE-M5II持ち出し。

白庭台

 けいはんな線の白庭台駅で降りて、北東方面に歩いていきましょう。

 駅からちょっと北東、「みのりの里しらにわ」という農産物直売所の裏手あたりのため池に沿って、長髄彦本拠という碑が立っている。
 このあたりは古事記・日本書紀にかなり描かれてるところで、神武天皇(神倭伊波礼毘古命)がはるばる九州から上ってきたとき、古来から饒速日が収めていたのが大和。
 饒速日の配下の将として、浪速に船でやってきた神倭伊波礼毘古命をまず迎撃したのが長髄彦で、そのときに神倭伊波礼毘古命の兄・五瀬命に矢傷を負わせ、軍勢を撤退させた。
 結局神倭伊波礼毘古命は、はるばる熊野にまで回り込んで東から攻め込むぞ、と遠征軍にしては異様なルートで大和に攻め込み、宇陀までまわりこんでから桜井あたりへと侵攻。
 結局桜井の兄磯城・弟磯城が敗れたところで、饒速日が降伏することになって、神倭伊波礼毘古命は畝傍に橿原宮を建てて天皇に即位した、と。

 その後も、長髄彦は降伏せずにひとり戦い続けたのだけど、結局神武天皇に討ち果たされる、あるいは停戦は無理だと諦めた饒速日に殺されたとも。
 この東、学研北生駒駅の近くに鵄山という小山があって、そこに「金鵄発祥の地」という碑が立ってる。
 神武天皇と長髄彦の戦いの中、金色の鳶が神武天皇の弓に止まったところ、まばゆく輝いて長髄彦の軍勢の目がくらみ、そこに襲いかかった天皇が勝利した、というところであるらしい。
 今でこそブルジョア住宅街な雰囲気出してる白庭台だけれど、侵略に堂々と立ち向かう誇り高き人たちの土地であるのだ。

 近くに地蔵堂があり、その脇には江戸時代に作られた磨崖仏がある。

 笠行者像、というのだけど、笠ってこんなでかいのか。どうやってこんなの250年も固定してるんだろう……。

清滝街道~磐船街道

 西の方に歩いてきて、天野川を西に渡って少し行くと、清滝街道が南北に伸びている。川沿いの国道168号が清滝街道のルートだともいうのだが、こっちの道にも道沿いに清滝街道の道標がある。うーん?

 実は天野川を渡るともう大阪府で四條畷市になる。どうもここはまだ奈良盆地ではないかと思えるのだが、なんか大阪府が侵食している。馬のゼッケンも四條畷市の市章だ。

 もう少し北で国道163号と交差するが、それを西に行くのが清滝街道で、そのまま四條畷に抜ける。まっすぐ北へ行けば磐船街道。今回は北へ。

 北へどんどん歩いていって、天野川に流れ込む支流を渡ると、小さなお地蔵さんと、耳無地蔵尊が北に一丁いったらあるという道しるべがあった。

 一丁は800mほどらしいが、大体それくらいで、確かに耳のないお地蔵さんがいた。道標まで建ててるけれど、耳無し地蔵尊には特に案内などもない。地元の方の間でだけ伝承が把握されてればよし、なのだろうか。

 ……と思ったんだけど、途中の法元寺というお寺にその地蔵尊があったらしい。

 ふらっとよそ者が立ち寄る寺院とは思えなかったから遠慮したけど、写真は撮ってあった。

 もっと北へ行くと、道が国道168号に合流する。
 どうも国道168号は路側帯すらないところが多くて、歩くのはだいぶ嫌な感じ。天野川の左岸側にも、歩行者が行ける道があったから、こっち歩くほうがよさそう。

 163号は途中でトンネルに入るが、天野川もトンネルに入る。
 かつてはこのあたりが道も狭くなって渋滞がひどく、天野川も狭くなって急流だったから磐船神社も巻き込まれ、と難所だったらしいけど、1997にようやくトンネルができて安全になった。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 やっと本日の主役たる300mmレフレックスに付け替えたんだけど、まーこのレンズ、使うのがむずい。
 F6.3なら、と思いきや、まー全然被写界深度が浅い。かなり遠くても厳しい。ピーキングもあんまり出てくれない。以前PENTAX Auto110のレンズを使ってたときの設定じゃ合わないらしい。
 画角狭すぎてファインダーは手ブレしまくり、手ぶれ補正効かせても止まらない。シャッタースピードも1/500sくらいにはしておかないと手ぶれ補正あったってブレる。
 私が使うと、成功率2割ありゃいいとこだなあ。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 天野川トンネルの入口の上の方に上がれるところがあるので、川を正面から見ることもできる。

磐船神社

 天野川トンネルからすぐに、磐船神社がある。

 旧天野川らしいのも水が残っている。しかも下りれるようになっていた。
 あいにく、見えている磐船神社の橋より向こうは通行止めだったけれど。

 カエルが置かれた岩がある。
 しかしもともとは、こんな大岩がゴロゴロしたところに流れ込んでたのか。そりゃ荒れもするなあ。

 上に戻ると入口。
 国道168号はバイパスも2車線でそんな広くもないけれど、この前の旧道はちょっと大きい車が来たら一発で詰まるような道幅。難所だ。

 岩に、伴林光平という幕末の国学者の辞世が刻まれている。
 勤王に走って天誅組に入って記録方になって、「南山踏雲録」という回想記を残したひと。

 せまい敷地に岩だらけ、左手には磨崖仏。不動明王かな。
 右手に倒れてきそうな……というか、船みたいな形で天野川を横切るようにでんと停泊している天の磐船。その前に拝殿。

 で、奥に向かうと、岩窟を巡る入口があるんだけれど、勝手にいくのは危ないからNGで、社務所に申し込んで有料……というか行として着るものなど借りて行く形になるみたい。ひとりは危ないから二人以上、とのことで、いずれにせよ私は行けないな。

 ちょっと北に離れたところ、星田園地向けの分かれ道のところに、滝行の場があった。白龍大神とか不動明王やら色々祀られている。

 滝のサイズが滝行に現実的というか、これぐらいだと寒さその他で修行にはなっても滝壺に飲まれて死ぬような危険もなさそうで、こういう滝でやるものなんだろな。
 Googleの画像検索で「滝行」って検索したら、大瀑布で空中浮揚気味に滝に打たれてるへったくそな合成写真がいっぱい出るので、結構イメージと現実が違うんじゃなかろうか。

 で、ここからは、星田園地に入っていくのが正解だった。
 私は168号を通って磐船峡とか鮎返しの滝とか見に行こうとしたんだけれど、うーん。

 天野川がトンネルを出てきた。

 しかしこの先、上流の方と違って168号に歩道がないところが多い。路側帯すらない。
 どうにか歩いていって「名勝 磐船峡」と教育委員会の碑が立ってるところまで来ても、どう見ても民家っぽいサイズ感のログハウスへ向けて未舗装路が伸びていて、私有地にしか見えない。入っていっていいか迷う。
 今思えば、そんな碑まで立ててれば別にいいのかもしれないが。
 ちょっと先に行ったらまた脇道があり、そっちはことさら進入禁止の看板を地主が立てている。じゃあやっぱり入って行くべきじゃなかったか、と思ったんだけど、こっちをことさら禁止するならあっちはよかったのかな。うーん?

 結局あきらめたけど、引き続き168号は歩くには危険な道で、近くの星田園地向けの橋は通行禁止にしか見えない。まあ後から地図を見ると、別に入ってすぐ管理事務所だし、車止めてるだけで歩行者はいいかなって感じだったけれど。
 最終的に、星田園地の駐車場のところまで、ひたすら車に気を使いながら長々歩くしかなかった。

 道端で見かけたよく育ったクサイチゴの花。

星田園地かわぞいの道

 星田園地の駐車場から先には、園地内の天野川沿いに通路作ってあるので、そこを歩く。
 川の景色は、まあ天野川は都市に流れる川だから護岸がきっちり施されてあまり見栄えもしない。もっぱら道端の植物を見て歩いていた。

 ツチアケビという看板が立っていた近くに、なんか変な芽?が出ていた。
 葉緑素を持たない植物で、色が緑でない。葉も出ない。だからこれがそうだと思うんだけれど。
 これから1m近く成長して、夏にランの形だけど茎と同じような色の花をつけた後、バナナ型の真っ赤な果実を秋につけるそう。

 スミレの花は人里から山間部までずっとそこらじゅうにあったので、ちょっと見場の良さそうなところに咲いてたやつを撮ったら、どうもこれはシハイスミレというちょっと違うやつっぽい。普通のスミレとは葉の形が違うって、先が尖ってる。

 しかし、最近Google画像検索はずいぶん性能がよくなったみたいで、この画像からしっかり区別してシハイスミレっていってきたぞ。私がこれ肉眼で図鑑引いても区別できんかったと思う。

 これはアオキの花か。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 鳥が見えたのでレンズを300mmレフレックスに替えてみたけど、顔を上げたらもうどっか行っていた。他の鳥は、声はすれど姿は見えず。
 仕方なく足元を見ると、オオイヌノフグリ?っぽいけどなんか感じが違うのがいて撮ってみると、これはフラサバソウというらしい。

 このレンズは、換算焦点距離600mmもある超望遠のくせして、最短0.8mのハーフマクロという結構ものすごいスペックしたレンズなんですけれども、遠景ですら難しいレンズでこんなマクロが成功するなんて奇跡みたいなもんであった。

 フラサバソウという妙な名前、日本でこれを見つけたのがフランス人のフランシェとサバティエという人で、それを連名で発表してたからだそうな。
 特に意識してなかったけど、最近はわりとどこでも見かける植物らしい。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 ムラサキケマンも咲いていた。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 かなり古そうなオオシマザクラが一本だけ立っていてよく目立った。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 ヤブツバキも終わり際だけどまだ少し残っていた。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 これなんだろう。川沿いに赤いのが見えて、反射が見本みたいなリングボケになったのだけど、肝心の植物のほうがよくわからない。チョウジタデでいいんだろうか。

Tokina Reflex 300mmF6.3 MF MACRO

 私市駅近くまで下りてきて、川沿いの水辺プラザというところに植えられているソメイヨシノが満開。一枚くらい撮っとこう。


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