コニカミノルタ最後の年 DiMAGE Z5
21世紀になる頃、フィルム時代からのカメラメーカーから家電メーカー、一部玩具メーカーまでが続々とデジタルカメラに参入しました。
そして、多くのメーカーが撤退していきました。
中でも、戦前のフィルムじゃなく写真乾板の頃からの歴史がある老舗、二眼レフもライカマウントRF機も一眼レフも作り、そして実用AF一眼レフを完成させ一斉を風靡し、宇宙ステーションにも搭載されたカメラを作ってきたミノルタが、2003年にコニカと合併後、2006年にはカメラ事業から撤退していったのは、寂しいものでした。
コニカも、それこそ日本の写真工業の礎みたいな会社ですしねえ。
まあ、カメラ事業自体はソニーに受け継がれ、今やキヤノン・ニコンと肩を並べる存在になっちゃいるので、「喪われた」というような感じはないですけどね。
で、今回のオールドデジカメネタ、KONICA MINOLTA DiMAGE Z5。
このカメラが、コニカミノルタの最後のデジカメ……とWikipediaに書いてますけど、これ間違いですね。2005年2月18日発売のZ5は、最後から2番めのDiMAGEです。
最後のDiMAGEは、8月19日発売のDiMAGE X1です。その日には、同時にαSweet DIGITALも発売されてるので、この2機種が最後のコニカミノルタのデジタルカメラです。
ネオ一眼スタイルといっても、かなり有機的な曲線デザイン。Z1・Z2はここまでじゃなかったんですが、Z5はこれ。私は結構嫌いじゃないな。
ブラックといってもマットなのがなお良いな。
これが2005年2月に発売されて、コニカミノルタのカメラ事業撤退が2006年1月19日。
てっきり、このDiMAGE Z5がソニーにスライドしてリファインされ、DSC-H1 (2005年6月発売)になったんだ……と思ったら、時期的に違いますね。ソニーに写ったのはデジタル一眼レフ事業だけ。DiMAGEは、コニカミノルタ撤退と共に喪われました。
コニカミノルタのコンパクトデジカメは、一部にGTレンズと銘打ったものを使ってました。でも別にGTという銘に裏打ちするものはないような……。
コニカミノルタのロゴ、上から見るとズレてるように見えるんですけど、前からだとそんなことないのが不思議なバランス。
ストロボが手動で上げないと作動しない仕様。ある程度カメラ慣れしてる層にはこれがいい。オートポップアップするとなんか偉そうに見えたりもしますけれど。
ちなみに外付けストロボシューもあるんですが、汎用じゃなくて昔のミノルタ用ですね。
背面は、まあ普通っちゃ普通……いや、そこに電源ボタンあるの?
ミノルタのカメラのインターフェース、特に電源ボタンが不思議な配置なのはなんだろな。αSweet Digitalも左肩に電源スイッチがあるし。
それ以外はすっきりした配置。
十字キー左右が露出補正で、上下はAvモードの絞りなどの操作になる、わかってる人が喜ぶ仕様。
ちなみにバッテリーは専用ではなく、単三電池四本。
P/A/S/Mのモードダイヤルがあるとおり、なんと露出フルモード。
なぜか人差し指ポジションにマクロモードとストロボモードボタンを置いちゃう。マクロはわりとよく切り替えますが、ストロボモードなんかそんなしょっちゅう触るかな……?
実写
ミノルタのカメラは、ある程度レタッチされる前提でコントラスト低めにできるだけトーンを残すような、そのままだと地味めの発色をする……というのが当時の通説でした。
なので、カラーモードはビビッドにしました。
それから、画面右下(この縦カットだと右上)に、かなり目立つゴミが入っちゃってますね……。これはまあ仕方ない。
ズームをちょっとだけテレに寄せた、ライカ判換算78mmになるところ。私が中望遠が好きな体になってるから、これくらいの画角でばっか撮ってました。
絞りがF8なのもあって、なかなかシャープでソツのない写り。
梅が咲いてたので接写……と思ったら、いつもの癖でテレマクロしようとしたら、全然寄れないの。
マクロモードで最短撮影距離10cmとあるんですが、これは広角でも望遠でもそこまで寄れなくて、一番寄れるあたりを探してみると換算73mmのところでした。
テレ端の換算420mmだと、多分2mくらいでもダメな感じ。
スーパーマクロモードにすると、レンズ前1cmまで寄れるようになりますが、焦点距離は換算62mmに固定されます。実焦点距離は10.28mmで、開放F値はF3.2のようです。
まあ、一眼レフの標準マクロくらいなので、なかなか使いやすいところ。
ただ惜しむらくは、シャッター速度が1/1000までしか出ず、開放F3.2・1/1000秒・ISO50が上限。絞り開放で撮れる光量がEV12.3ってところですね。
このカットはまさにその絞り開放・1/1000秒・ISO50。冬場の空だからなんとかなってますが、もっと明るい夏場だと絞らざるを得なくなり、ボケが出せないとなりそうです。
あと、時々こんな、すんごい汚いボケが出ることが。さすがに12倍ズームレンズでは限界があるか……。
でも、ピント合ってるところの描写自体は開放でもなかなかシャープ。
背景が十分遠いのであれば、異様なボケも出ない。さすがに実焦点距離10mmだと完全に後ろが溶けるとはいきませんが。
めちゃくちゃでかく写り込むゴミ。
シャッタースピード上限が1/1000秒というのもあってか、プログラムオートだと積極的に絞っていっちゃう。F8・1/320秒・ISO50。
広角端ですが、強いていえば端っこの方のビルの明暗差が大きいところでパープルフリンジが見えるかな。
こんな奥行きのあるカットがパンフォーカスになるのは、小センサーのメリット。換算53mm・F8・1/250秒・ISO50。
テレ端420mm・F5.6・1/200秒・ISO50。なぜか小首をかしげてたハト。
コントラスト強めの被写体なのもあってか、かなりいろんなところにカラーフリンジが出ちゃってますね。そこがこのレンズの弱点か。
テレ端420mm・F6.3・1/200秒・ISO50。
まあ500万画素程度だから十分解像してはいますが、カリカリにシャープとまではいかない、ちょっと線が太めか。
でもまあ、12倍ズームレンズで、色々電子補正でごまかせるような時代でもない2005年のカメラとしては、十分頑張ってると思います。
広角端35mm・F5.6・1/200秒・ISO50。広角端でもやっぱりカラーフリンジがちょっと出る。
しかしISO50とはいえ、ダイナミックレンジはそこそこ取れてるか。十分扁額が読めるし、空も飛んでないし。
広角端35mm・F5.6・1/200秒・ISO50。
ぼたぼた落ちてた白椿。広角端35mm・F4.5・1/80秒・ISO50。マクロモード。
白椿を上から。換算74mm・F4・1/50秒・ISO50。
ちょっと手ブレが気になる焦点距離だけど、プログラムオート任せでも増感せず。手ブレ補正を当てにするプログラムラインなのかな。
ちなみに、電池が消耗してくると、撮影は可能だけど手ブレ補正が有効にできなくなる仕様。
手ブレ補正は常時有効にするか露光時のみ有効かを選べますが、テレ端で露光時のみ有効にすると、ファインダーとかなりズレた構図で撮影されたりします。CCDシフト式なんで当たり前っちゃそうなんですが。
これは間違えて最高感度のISO320で撮ったものですが、やはり2005年の1/2.5型センサーだと高感度は苦しくて、かなりカラーノイズが出ちゃってます。
使用感まとめ
さほど大きくないのに明るい12倍ズーム、強力なマクロも使えるし、画質面でもワイドからテレまでそう大きな破綻がないレンズ。最近のやつでもレンズ性能には首をかしげるやつもありますから、なかなか優れものでは。
さすがに今となっては、ISO感度上限が320で画質も苦しいんですけど、2005年になら旅行用とかにすごく良かったでしょうね。電池も単三だし。
P/A/S/Mフルモードだったりもして、ある程度は絵作りできる範囲もあります。まあ1/2.5型ではボケのコントロールとかは無理ですが、逆にパンフォーカスを作ることならできそう。
AFも当時としてはかなり高速。中央1点しか使えませんが。
コニカミノルタ最末期の製品、時代なりによくできたものでした。