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写真の撮れる筒(SONY Cybershot DSC-QX10)

 別に最近入手したもんじゃなくて、前から持ってたんですが。
 といって新品で買ったわけでもなく、なんか忘れられた頃にふっと出てきて、こんなのあったなーって買った感じ。多分2019年とかに買ったかな。

 発売は2013年。
 見ての通り、レンズとセンサーに通信機能だけ積んで液晶など省略しちゃったブツ。スマホにWiFiで接続すると、ファインダーになり操作もでき、そして写真データもすぐ転送できる。
 本体背面側に、スマホを挟み込んで固定できるクランプがついてて、うまいこと一体化してくれます。
 ノーファインダーでよければ単体でも撮れます。

 同時のスマホというと、Xperia Z1とかZ Ultraとかの頃ですね。iPhoneは5S。まだ望遠カメラとかない。
 でもコンパクトデジカメは急速にスマホに食われて市場を縮小していっているようなタイミングですね。

 時代が終わる頃って、流れに抵抗しようと工夫をこらして変なもの出るんですよね。
 ガラケーの終わり際も面白かったな。私は富士通F-07C(Windows 7が動く超小型ノートPCとガラケーが合体した稀代の変態携帯)持ってましたけど、シャープSH-06Cもプロジェクター内蔵っていうのでかなりほしかった。

 コンデジ時代の終わりには、何かを追加じゃなくて、何もかも引いたものが出たのでした。
 スマホに敵対するのではなく、スマホを拡張するモジュールとして生きよう、という敗北主義、いやコペルニクス展開をしたのがこのソニーQXシリーズでした。

セットアップ

 こういうスマホ併用前提のアイテムって、アプリのほうが古くなって今のスマホで動かなくなったりするんですが、そこはSONYが偉いところで、多数のSONYのカメラとスマホを接続できるImaging Edge Mobileで使えます。
 最新のαでもQX10でもちゃんと繋げる。

 実際に、繋いでみましょ。
 Imaging Edgeをスマホに落としてインストール。利用許諾とかはOKしておく。
 DSC-QX10と初回接続するときは、まずQX10の電源を入れて、スマホ側でNFC接続を選択。QX10のNFCマークに併せて接続。
 そうするとスマホにWiFi接続先選択画面が出る。なんで?と思われそうだけど、単にQX10が出してる電波にスマホがWiFiで接続すれば、それでカメラと接続になる。NFCで行けばパスワードなんかも勝手に入る。

 じゃあ普段使い始めるときはどうするか。
 QX10の電源を入れる。
 そしてスマホとQX10をWiFiで接続する。ここ自動にするかはスマホの設定次第。
 Imaging Edgeを起動すると、リストにQX10が出てきてるので、タップして選択するとファインダーが立ち上がる。

 うん……。
 書き出したらどうってことなさそうだけど、けっこうめんどくさい。QX10の電源入れたらアプリ立ち上がってくる、くらいだったら便利なんだけど。
 私の環境だと繋ぐ前に別の設定変更も要るところがあったりで、なかなか起動できないのが正直なとこだな。
 前に使ってたスマホを専用機にするなら、だいぶ手順は省略できそうではあるけれど。

実写

 とりあえずノーファインダーで撮ってみる……けど、私に向いたやり方じゃないな。うーむ。
 一瞬の機会とか偶然の面白さとか、時間的な切り取りが好きな人だと、とにかく向けてシャッター押す、それが楽しめそう。私はあんまり。

 私がすぐ思いつくのはこういう、咲き誇ってる花に突っ込むやつ。
 カメラとファインダーが別体なことを活かして、自由自在なアングルと位置で撮影できるので、そこは活かしていきたい。

 上坂部西公園、というところに来てみると、尼崎市都市緑化植物園という施設になっていた。
 植物園はちょうどいいな、ということで、Imaging Edgeを起動してファインダーを使えるようにして撮影開始。

 オルレアの花。これ系のアングルは頻発します。

 温室があるので入ってみよう。

 まあこういうギリギリに寄せる構図はコンデジならどれでもできるっちゃできるんだけど、ファインダーとシャッターが別なのは圧倒的に楽。

 手作り感あふれるウツボカズラ型ヒューマノイド。

 サボテンにも寄る。

 ハナキリンにも寄る。

 さっきからワイド端で寄りまくる写真ばっかでしたが、これ90mmくらいのとこです。
 えー、QX10のレンズが、換算25-250mmF3.3-5.9という10倍ズームレンズなのはいいんですが、ちょっとテレにズームしたらびっくりするほど寄れなくなって。テレ端最短1.5m。
 せっかくアングルと撮影位置が自由自在なカメラだというのに、最短が遠すぎる時点でものすごくスポイルされちゃう。なので、自由が保たれるワイドを使ってしまう。
 位置とアングルを決めて、そこから望遠で背景を整理する、まではまともにできない。

 普通にこういう引きの写真を撮ると……水平出せないぞこれ。本体が筒だから、カメラ自体が水平線を出してくれんというか。水準器は入ってるべきだったな。QX10はローエンド機だから、もっと上のにはあったかな。

 露出補正は基本めんどくさいからあまりやらないですが、まあまあいい感じにまとめてくれますね。
 多分スマホでタッチAFで手前の花にピントあわせたやつですが、もしかするとピント合わせたとこに露出決定の比重を上げたりしてるのかな。

 ベゴニアなんか下から撮りたいですね。そしてもうちょっと画角狭くして背景を整理させてほしい……。

 4.45mmという実焦点距離のワイド端だと、寄ったところで背景が溶けるほどはボケない。背景はよほど上手くまとめないといけないな。
 ただ、そのかわりピントにシビアではなくなるから、姿勢に自由が効く分だけ不安定な撮影になりがちでも、ピントがずれて台無しなんてことは少なくなる。
 だからボケじゃなくて画角で画面整理をさせてほしいのに……。

 もうひとつ気になるのは、逆光にめちゃくちゃ弱いなこのレンズ。サイバーショットは昔からその傾向があるが、

 ジャボチカバという、南米ではよく実を食べられてる植物。

 独特だけどたまに熱帯植物のとこでは見かけるネオレゲリア。
 撮りやすいとこにあったやつに関係ない枯れ葉が落ちていた……。

 温室から出ると、外にはバラ園。そしてまたこのアングル。

 通りすがりの工場前に積んであった、これは旋盤の切屑かな。

まとめ

 アングルもポジションも自由なのに、レンズの撮影距離に自由度が足りないのが残念すぎたなあ。望遠にすると近接撮影能力が消失するようなレンズは合ってない。
 これのカメラ部が、オリンパスSH系(25-600mmF3.0-6.9、ワイド最短10cm・テレ最短40cm、スーパーマクロモード最短3cm)か、リコーCX系(換算28-300mmF3.5-5.6、マクロモードワイド最短1cm・テレ最短28cm)のレンズだったらどんな楽しいかっていう。

 となると、ILCE-QX1(Eマウント)とかOLYMPUS AIR A01(マイクロフォーサーズ)でマクロレンズを、と考えちゃうけど、大きくなるのが気になる。変な体勢で撮るからには小型軽量も大事で。
 保持も安定しにくいから、センサー小さくてピント深いのがピンボケ予防になる面もあるしなあ。

 楽しいことは楽しいんだけど、テレマクロが効くコンデジがベース機だったらなあ。ほんとに惜しい。

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