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親の視点から考えた兵役義務
毎日、心を痛める映像やニュースを見ていたら、イランの徴兵制度について思い出しました。私はそれほど兵役義務について詳しいわけではありませんが、もし、国の決まりで兵役に付いている最中に、自分の子どもが突然戦争に参加させられてしまったとしたら、親はどう思うのでしょうか。
なぜ、親の視点から見た子どもの戦争参加について記事を書こうと思ったのかと言うと、ウクライナに侵攻した際のロシア兵の行動をネットのニュースなどで見たからです。
それは、ウクライナ住民からパンと紅茶を受け取り、涙を流すロシア兵の記事。
もちろん、全てのロシア兵士がこのような行動をとったのではないにしろ、こういう兵士がいるという事実も考えなければいけないと思いました。
ここからは、イランの兵役義務についてです。
イランでは、18歳以上の男性は1年半~2年間ほど、兵役義務があります。
大学に進学した場合は、在学中は兵役を延期されますが、いずれにせよ行かなければいけません。
兵役を免除されるケースは、精神疾患がある、病気を患っているなどいくつかあります。(ひとり息子である、親が年老いている、などもあったかもしれません)
イランの場合、もし兵役に行かなければ国から出ることは出来ません。ただ、18歳になる前にイランから出国すれば兵役は免れますが、それはもうイランには戻らないということにもなりかねません。
余談ですが、私がテヘラン市内で通っていたペルシャ語の学校のクラスメイトに、父親がイラン人で母親がドイツ人の男性がいました。
以前、別の記事にも書きましたが、イランは父系血統主義なので彼はイラン国籍も所有していました。
その為、彼は数ヶ月間しかイランには滞在できないと言っていました。
ある一定の期間を過ぎてイランに滞在してしまうと、兵役の義務によりイランから出国できなくなるからだそうです。
あの時は、本当にびっくりしました。
では、18歳を過ぎて兵役に行かなかったイラン人男性は、どうやって海外に行くのでしょうか?
旦那のお姉さんの場合、まだ兵役を終えていない息子さんを一時的に海外に行かせる為に、自分の分譲マンションの権利書を担保にして、無事に息子さんは海外に行く事が出来ました。
その後、息子さんは兵役についています。
旦那のお兄さんの息子さんは、少し体が弱いのですが、だからと言って兵役を免除はされていません。このまま、兵役には行かないつもりのようです。
という事は、彼はこの先、法律が変わらなければ海外に行くことも出来ないし、(財産を担保にすれば短期間で行ける可能性はあるけれど、)結婚することも出来ないのです。
「ええ!!結婚も出来ないの!?」
、、、と、私はショックを受けましたが、これはイランだけなのでしょうか?他国の兵役は、どうなんでしょう?
さて、ここからは私がイランに住んでいた頃の日本人の奥さんたちの子どもの話になります。
私には子供が二人いますが、どちらも女の子。
だから子どもの兵役について考えたことは無かったけれど、男の子のママである友人、知人達は、日頃から「息子が18歳になる前にイランから出国させる」と言っていました。
ここで誤解しないでほしいのは、イランという国が嫌で出国させたいわけではないということ。
兵役に行っている最中に、突然戦争になるかも知れない場合を想定している、という事なんです。
イランの情勢が平和なら、普通に息子さんを兵役に行かせても良い、と言っていた知り合いもいました。
私がイランから日本に帰国したのは2012年の11月のこと。
この頃のイランは、少し前にペルシャ湾付近で戦争になるかも知れないと噂されていて、アメリカからの経済制裁もあったころです。
大型スーパーにシャンプーを買いに行ったら、「あれ!?いつもの場所に商品が全然無い!!そうか、輸入品だから海外から入ってこないんだ!」と、ため息が出る日々。
近所に牛乳を買いに行ったら、「今日も値上がりしている!確か先週も値上がりしたばかりだったのに、、。また値上がり!!」
そのうち、お義母さんは「薬も入ってこなくなる」と言うし、旦那は仕事から帰ってくると、「ガソリンが高くなっている!」「ナンがすごく値上がりしている!」「卵の値段知ってる?こんなのどうかしてるよ!」と怒る毎日。
戦争になるかも知れない不安を抱えて、経済制裁に対するストレスが増していく毎日。
このような状況だということもあり、私の日本人の友人、知人たちは、18歳に近い息子さん達をいつの間にかイランから出国させていました。
単身で。
ある知り合いは、日本で海外からの学生を多く受け入れている、寮がある高校へ息子さんを行かせました。
また、ある友人は、自分の実家の両親にお願いして、その場所から息子さんを高校へ行かせる手続きをしました。
だって、このままイランにいたら、18歳になってしまう。
今のイラン情勢を考えたら、戦争が起きなくとも、子ども達が兵役に行く頃に、何かが起きないとも限らない。
私は、ある日旦那にこう言った事があります。
「もしイランが戦争になったら、娘達を連れて日本に帰る」
これは、逃げ道だ。イランの人達は、戦争が起きても、簡単に海外に避難出来ないかも知れないのに。
ここが危険なら、あっちに行けば良い、と言うような都合の良い選択は、私達日本人のようには出来ないのだから。
幸いにも、イランは戦争にはなりませんでした。
けれど、一言では語れない、複雑な心境を抱えながら、私はいろいろな想いを持ちながら、2012年の11月に、突発的に娘達を連れて日本に帰国しました。
旦那が日本に来たのは、その数ヶ月後です。
結果的には、あの時日本に帰国して本当に良かったと今でも思います。
最後に、旦那の兵役の話です。
イラン人の旦那が兵役に行ったのは、イラン・イラク戦争の最中でした。ママ(お義母さん)は、旦那を軍隊に送る際には、泣いたそうです。
長く続いた戦争が終決を迎える頃、旦那は戦争に行きました。でも、運良く戦争の最前線には行かなくてすみました。何故なら、相手国から毒薬や化学兵器を使用された際の手当ての仕方などの訓練を受けるように、上から命令されていたから。
最前線に行かなければならかった人達の多くは亡くなっています。
イラン・イラク戦争は、実はそれほど昔の話ではないのです。
最近、いろいろな事が心の底から楽しめない自分がいます。noteの記事も、なかなか書けなくて、今日になってしまった感じです。
とにかく、平和な世界を望みます!
世界中の子ども達の笑顔が消えることのないように。
まとまりのない文章になってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました😌