見出し画像

電話でのコミュニケーションは難しいと思ったイランでの出来事

イランに住んでいた時に、娘の同級生の保護者から電話がありました。
でも、その電話で私が知らない単語(ペルシャ語)が出てきたことで話が進まず、まだ話している最中だったのに相手からいきなり電話を切られた事があるんです。とてもショックを受けました。

どんな内容だったのかは覚えていないのですが、電話をかけてきた保護者(娘の同級生のお母さん)、初めは明るい声で普通だったのです。

「サラ―ム!(سلام)、私はあなたの娘さんと同じクラスのDの母です。元気ですか?」

「サラ―ム!ありがとう。元気です。あなたは元気ですか?」

ちなみにサラ―ム(سلام)と言う単語なのですが、この単語は朝、昼、晩を問わず、人に会った時に必ず初めにあいさつする言葉です。

さて、こんなふうに、まずは決まり文句のような挨拶をお互いに交わした後、クラスの連絡事項の話になったのですが、、、。

話している途中で、聞いたことがないペルシャ語の単語が出てきたんです!
私は、すぐに聞き返しました。

「すみません、何て言っているのかよく分らないのですが、、、」

すると、相手は早口だから分からないのだろうと思い込み、今度はゆっくりとした口調でその単語を話してきました。

でも、分からない、、、。

だって、単語事態を知らないのだから。

私は、相手にもう一度言いました。
「すみません。私は外国人なので、何て言っているのかがよく分らないのです。今言った〇〇という単語の意味が、分からないんです」

そしたら、相手は今度はその単語だけではなく、文章全体をゆっくりと話し始めた、、、。

どうしよう。
ゆっくり話してくれても、その単語が分からなければ何を言いたいのか分からないのに。

そこで私は、その単語をもっと簡単な単語に言い換えてもらおうと思い、相手に言いました。

「すみませんが、その単語の意味は、、、」
こんな風に相手に話しかけている最中に、突然ガチャン!と受話器を切る音がしたんです!!

「え!?切られた?」
私は、話している途中で突然電話を切られて呆気に取られてしまい、とてもショックを受けました。

なにも、いきなり電話切らなくてもいいのに、、、。

外国人になれていない場合、相手が自分の話を理解してくれなければ、戸惑う事は仕方がないことです。

普段、その国の人なら普通に使っている単語(言葉)を、別の言い方で表すことなんて、考えたことがないかも知れません。

ただ、「話が通じない!」と思った時にどんな対応をするのかが問題なのかなと思うんです。

相手は、せっかくゆっくり話しているのに、私が理解しないことに対してイライラしてしまったのかも知れません。

または、これ以上どう対応して良いか分からずに電話をいきなり切ってしまったのかも知れません。

いずれにしても、会って話すならともかく、顔が見えない電話でのコミュニケーションの難しさを痛感した出来事でした。

私が分からなかった単語が何だったのかは覚えていないのですが、例えば日本語で表すとこんな感じです。

〇学校に行く→学校に登校する
〇みんなで作る→みんなで作成する

このように、「作る」が分かっていても「作成」という別の言い方で言われると、意味が分からなくなる、という感じでした。

この電話での件があった日から、私は顔を知らないDのお母さんのことを、「いきなり電話を切った人」として覚えることになりました。

そして、イランで外国人として過ごしていた経験から、日本で暮らしている外国人の人が(日本語の)会話で困っていたら、別の言い方に変えてあげるなど、相手が何とか理解してくれるようにしたいと思うようになりました。

でも、実はこれって、外国人に限った話ではなく、小さい子供にも言えることなのです。

私は小学校の児童クラブで働いているのですが、高学年なら分かる言葉を、1年生は分からない事がよくあります。
そんな時には、分かりやすい言葉に言い換えてあげています。

いまはどうしているのか分からないDのお母さん。
今でも私の中では「いきなり電話を切った人」として思い出に残っているのです。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?