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『ペルセポリス(Persepolis)』から当時のイランを知る

こんにちは!今日はイランに住んでいたころに知人に紹介されて読んだ本について書こうと思います。その本とは、『ペルセポリス Ⅰ イランの少女マルジ』と言う題名でした。

後に全編フランス語で吹き替えのアニメーション映画にもなっています。
なぜペルシャ語でも英語でもなくフランス語なのか?
それは作者のマルジャン・サトラピがフランスに在住しているからのようでしたが、私個人としてはペルシャ語での吹き替えで聞いてみたかったです。

ただ、本国イランの情勢などの関係で、たぶん難しかったのでしょうね。

内容は、作者のマルジャン・サトラピ(مرجان ساتراپی)がまだ子供だった頃に起きたイラン革命や戦争、家族愛などについて書かれています。

日本では2巻までが翻訳されていて、『ペルセポリスⅡ マルジ、故郷に帰る』も出版されています。こちらは、マルジがイランを離れてウイーンに留学した時の話が中心に描かれています。

さて、マルジャン・サトラピなのですが、実は私とほぼ同年代なのです。そして、私のイラン人の夫も同年代なので、作者のマルジャン・サトラピが過ごしたイランでの出来事は、夫も別の角度から経験しているのです。

一般庶民の夫から聞いていた革命前や革命後の話、そしてイラン・イラク戦争の話をもとにしてみると、マルジャンが上流家庭で育った環境だったことが、この本の内容にあらわれていました。

実際に、革命後は政治、経済が良くなると思っていたのに、そこに宗教が根強く刻まれてしまい、人々の想いとは違った方向に進んでしまったイラン。

話は少しそれるのですが、私達(私とイラン人の夫、子ども達)が、イランの経済状況の悪化や、その他いろいろな事情によっていよいよ日本へと帰国が決まった時に、夫のお兄さんが私の娘(長女)に言った言葉が今でも強く心に残っています。

R、あなたは日本に行っても自分が誰なのか、忘れてはいけないよ。
あなたにはイランの血が流れている。イラン・イスラム共和国ではない。
「イラン」と言う国のことを言っているんだよ。「イラン」を忘れてはいけないよ。

正直、私はこの言葉を聞いて涙が出そうになりました。

ペルシャ民族としての誇りを強く持っているイランの人々。
陽気で親切でおしゃべりが大好きなイラン人。

イラン・イスラム共和国ではなく、イランを誇りに持ってほしいと願うお兄さん。

私は約10年間、イランの首都テヘランで暮らしてみて、イラン・イスラム共和国になってしまったけれど、その根底にある「イラン」と言う国の本質を見てきた気がします。

マルジャンが出版した「ペルセポリス」。
私にとっては、別の角度から当時のイラン革命について知ることが出来た興味深い本になりました。

彼女独自の視点やユーモアで描かれているので、あっという間に読み終えたのを覚えています。留学中の話も、「そうだよね、イランで育ったんだからヨーロッパの風習にはびっくりするよね」なんて、共感したりもしました。

もし、読んだことがない人は、上流家庭で育ったマルジャンの視点から見た当時のイラン革命について知ることができますよ。
興味を持たれた人がいたら、ぜひ読んでみて下さいね!


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