自分

動物編
ミルク
ミルクは、二代目タロウの娘で、子犬の頃の貰われそびれで飼っていた2匹目の犬。
一緒に産まれたクロは、近所の家に貰われて、紅茶は、敷地で遊んでる所に母親の車が発進して、無惨にもタロウの目の前で轢き殺され、残ったのが白のミルクだった。

タロウは、コーギー犬のミックスだが、白、黒、茶の三毛で、まつ毛も長くて目がパッチリで、見るからに可愛い。
そして、年柄年中どこからともなくオス犬がやってきて、子孫繁栄をしていく。
最後の最後までそれが続いた。

ミルクはその正反対で、オス犬と散歩中出会っても、牙を剥かれて吠えられる。
どんな犬に出会っても吠えられる。
そんなミルクを見て、不憫でしょうがなかった。
男っ気の無い娘を持つ父親の気持ちって、こうなのかなと思ったりもした。

ある日、いつも通りミルクの散歩をしていた時の事、バカみたいに吠える柴犬2匹飼ってる家があって、その家の前を通ろうとしたら、毎度の事ながらキチガイのように2匹共吠えている。
足早に通り過ぎようとしたら、吠えて暴れてるうちに鎖かロープが切れたらしく、2匹がこっちに向かって走ってきた。

これはマズイ!
あの勢いだと間違いなく噛み付いてくる。
棒っ切れも何もない。
娘を守らなければ!
2匹がこっちに走って近付くタイミングを見計らって、サッカーボール蹴る感じで思いっきり蹴り上げたら、2匹が直前でストップしたから、股が裂ける程空振りした。

くっそ〜、やるなお前ら。
でもミルクには肉球1個たりとも触れさせんぞ。
すっかり娘を守る父親の気持ちであった。

2匹は警戒しながら、タイミングを見て飛びかかってきた。
今度こそキック!
これは命中したが、あまり効いていない。
次のもう1匹も横から攻めてきて、それもキック!
「キャイン!」
悪く思うな、娘を守る為だ。

何分くらい格闘が続いたか、2匹はあきらめて自分達の犬小屋に帰っていった。
無事にミルクは帰宅出来た。

何故これだけオス犬に嫌われるのか、不思議でならなかったのだが、そんなミルクにもたった一度春のような出来事があった。

ミルクは同じ外飼いでも、2m四方くらいの檻みたいなゲージに入って生活していたのだが、ある朝、どっかのデッカイオス犬が、ミルクの檻に首を突っ込んだまま首が抜けなくなってもがいていた。

タロウならまだしも、ミルクを目掛けてオス犬が来た喜びと、首が抜けなくなってる姿でとても驚いた。

飼い主が判明し、そこの高校生くらいのお嬢さんが引き取りに来て、「何やってるのもー!恥ずかしいんだからー!」て言いながら、無理矢理犬の首を引っこ抜いていった。

ミルクは避妊手術をしなくても一度も子犬を産んだ事は無いが、タロウ同様私にとってとても可愛い娘であった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?