自分

神様編
お呼び
ここ数日、家内の体調が思わしくなく、身体が重いとか、頭痛いとか言う日が多く、病院に行って一応薬はもらってきたが、なかなか元気が戻らない感じであった。

 しばらく地元の大きな神社に行ってないから、そこに行って少しスッキリしてこようか、という話になり、その神社近くで有名な「嶽きみ」というとうもろこしを買って、やっと神社に着いたと思ったら、家内が突然頭痛い苦しいと言いだして、「ここから西の高野山まで何分くらいかかる?西の高野山で私を呼んでる」

 西の高野山というのは、弘法大師様や龍神、七福神等いろんな神様を祀ってるお寺で、おばあちゃん達の間では、知らない人はいないという地元では有名なお寺で、昔私達夫婦も長男の病気の事や言動があまりに常人とかけ離れていた事もあり、神頼み的に毎年来ていたお寺である。

 ここしばらく来てなかったのだが、そこのどなたかが私達を呼んだのだろう。
 その神社からは40分程の場所なので、鳥居を後にしてそこに直行という事になった途端、妻の頭や身体がフッと軽くなったという。

 お寺に近づくにつれ、昔は無かった大きな風力発電のプロペラが徐々に増え、何十、もしかしたら100基以上あるんじゃないかというくらい見えてきた。
 この辺は、海からの風が強く、周りもスイカやメロンの広大な畑ばかりで、風を遮る物もないから風力発電にはもってこいの環境なのだろう。
 自然エネルギーをこうやって増やしていけば、地球環境も良くなっていくのになぁと思いながら、お寺になんとか到着した。

 ちょうどお盆の時期という事もあり、提灯や飾り付けがいっぱいで、しかもアート展も開催していた。

 家内は、このお寺に呼ばれた意味をすぐに理解した。
 水子供養。
 私達夫婦には、次男の前に産まれて来れなかった水子がいる。
 妻が妊娠数ヶ月の頃、夢で「お母さん、さよなら」という女の子の声で目が覚めると、お腹に異常を感じて病院に行ったら、赤ちゃんが流産してると。
 産まれてきてたら女の子だったのだろうと、名前を「まな」と名付けて、地元のお寺に行って供養してもらった。

 また、次男も結婚して家も自分で建てて、何不自由なく生活しているのだが、奥さんが身体弱くて妊娠はしたがやはり流産した。
 その子も女の子だったらしく、名前が「ゆめ」。

 私の父の家系は、昔から男が多い家系で、産まれてくる10人中9人が男という家系。
 その血筋を引き継いでいるのか。

 お盆で、あちらの扉が開けられて、まなとゆめちゃんが来てくれたはいいが、お父さんもお母さんもちっとも気付いてくれないと、嘆いて家内にお知らせしに来たのだろう。

 正直、日頃の生活に追われてすっかり忘れていた。
 この世に産まれてきて亡くなる魂もあれば、産まれてさえこれなかった魂もあり、それはそれで何かの意味があっての事であり、せめて自分の家族の魂の事は、忘れてはいけないと気付かされた自分であった。

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