13 研究費はもういらない
みんな自分の研究に役立つ手足がほしい。だから目下の者を研究費獲得のチームに入れる。
これまで私も多くの声をかけていただき、ありがたいと思っていた。
しかしやってみて気づくのだ。
みんな手を動かさない。発表しない。論文書かない。
偉い先生ほど忙しいので仕方ないところもある。
そうすると下っ端の自分にお鉢が回ってくる。一応お金もらってやりましたよというアリバイめいた仕事のため大した業績にならない。本当にやりたい研究はどんどん後回しになる。
必要な研究費は自分で取れている。枯木も山の賑わい的な業績は不要になってきた。そうなると、こういう仕事は時間を奪われるだけと感じるようになった。
リアルでは言えないが、一時は有り余る研究費をどうやって使い切るかに苦心していた。まだ自分が抱えている院生やアシスタントは少ないし、今している研究に金はそれほど必要ない。研究費に付随して余計な事務も増えるし仕事も増えてしまう。
ちょうど更新のタイミングが来たのでいくつかの分担を降りたいと連絡した。
・グループA
「また機会があったら一緒にやりましょう」。ありがたい。
・グループB
「忙しいのはわかったから名前だけ貸して」。何度も引き止められる。
・グループC
「研究費を最少にして名義を残した方があなたのためになる」。本気で言ってる?
「名義だけ」って言う側はどう考えているのだろうか。なんで辞めるのがこんなに大変なのか。胃が痛い。