医師とのコミュニケーション 〜在宅診療編〜
急性期病院の役割りとは、急患や重症な病気に対する治療や手術を24時間体制で行います。
対して、在宅診療では、回復の見込みは少ないものの、生活の質=Quality of Lifeを重視し苦痛を取り除く治療を中心に行います。
両医療は、目的や目指すゴールや役割りが大きく異なるのです。
一般的に患者は、急性期病院で治療をした後、必要に応じて回復期病院でリハビリテーションを行い、日常生活を問題なく送れるような訓練を受けて退院するという経過をたどります。
回復期に全ての人が回復できるわけではなく、今回のうちの父のように回復の兆しが乏しく、リハビリの成果が現れる前に本人の体力が回復しないなど状態が悪化して亡くなるケースもあります。
それぞれの段階でその道の専門の医師が診てくださるわけですが、時には病院側とのコミュニケーションが上手く行かないこともありました。
ありがたいことに、我が家は急性期病院と在宅診療の医師には特に恵まれ、それはやはり双方のコミュニケーションがよくとれていたからだと感じています。
在宅診療の医師は、「看取る」というゴールに向かっていかに患者と家族が後悔をしないように過ごせるか、みたいな観点で診てくださいました。そのスタンスはとてもわかりやすく、すぐにパニックに陥りがちな女たち(母と私)の絶対的な安心感に繋がったのは言うまでもありません。
父の場合は“老衰“という経過だったので、進行性の病気を患っている方よりずっとずっと在宅診療のハードルは低かったのだと思います。
それでも未知の世界だったことや、医師やソーシャルワーカーやケアマネ全員がオススメできなかった我が家の在宅診療がここまでスムーズに完璧ともいえる形で終えられたのは、何でも話して介護者の不安を取り除く環境を医療従事者の方々が整えてくださったからだと思います。
あおぞら診療所の星野院長をはじめ、みのり訪問看護ステーションの天野看護師、落合看護師、関看護師、中村看護師、各事業所の介護ヘルパーの皆さまに改めて深く感謝申し上げます。