マイナー良ゲーシリーズ:新桃太郎伝説
Sea of Starsをクリアした直後にRPG熱が再燃したので、昔懐かしのマイナーゲーを紹介するコーナーをやっていきます。ひょっとしたらこの記事を読んでやってくれる若い子が一人くらいいるかもしれない!そんな思いで筆をとろうじゃないか。
ハドソンの桃太郎と言えば100人中99人が桃太郎電鉄(桃電)を思い浮かべることでしょう。しかしコアなRPGファンは新桃太郎伝説(新桃)を連想するものなのです。ハンターハンターのキルアの言葉を借りれば「隠れだけゲー」です(そのハードでしかプレイできない隠れた名作の意)。
まず、スーパーファミコンで発売された新桃太郎伝説はファミコンの桃太郎伝説の続編なわけですが・・・まだRPGというジャンルが模索中だった時代に作られた桃太郎伝説と違って、こちらは多くの要素が取り入れられた屈指の名作と言えます。
ファミコン版はやらなくていいでしょう。そちらは詳しくはbiim兄貴の動画でも見ておけ!(睡眠BGMに最適だよ!)
さて、では各要素ごとに論評とまいりましょう。古いゲームだし多少のネタバレは上等だろ(屑)
ストーリー 10/10
はい、10点満点です。ぷるぷる!ちがうよ!ぼく懐古厨じゃないよ!
なのでいかに新桃太郎伝説のストーリーが優れているのかねっとり解説しましょう。
一応続編なので桃太郎はレベル40で始まるわけですが・・・何かいきなり月に行って敵の幹部にボコボコにされて覚えた術とレベルを全部吸い取られて最強装備は全部剥かれて素っ裸にされて地上のおじいさんとおばあさんのもとに着払いされます。サキュバスでもここまでしねえぞ。
未プレイでも衝撃的なオープニングで掴みはバッチリです。
その後犯罪者の屑スリの銀次、金太郎、浦島太郎、夜叉姫、えんま大王、あしゅらといった桃電で見慣れたレギュラーたちを仲間に加えつつ、鬼ヶ島を目指します。
その道程でたびたび桃太郎の前に立ちはだかるのが・・・
そう、カルラです。昔のJRPGファンの間では三大悪役と語り継がれる存在がいます。人によって中身が入れ替わることもありますが・・・FF6のケフカやDQ5のゲマ、そして新桃のカルラがそうだと言われています。
新桃太郎伝説はこのカルラがすべてと言ってもいいくらい話を面白くしているのです。畜生過ぎて。ではここでカルラの悪行を並べてみましょう。
花咲か村の桜を全部燃やし尽くす
桃太郎を倒し損ねた鬼を自らの手で粛正する
桃太郎たちを玉手箱を使ってジジイにする
ダンジョンの仕掛けをこの上なく難しくする上に邪魔する
村に氷柱の雨を降らす
「金はいいものだ、とっとけ」と10000両くれる(マジでくれる)
前作で改心した鬼を騙して桃太郎と戦わせる
出世のためにウソをついて味方を失脚させる
仲間を世界中にバラバラに吹っ飛ばす(特に回復役の浦島がしばらくいなくなるのがマジで痛い)
桃太郎の城から仲間を誘拐・拉致して人質にとる
ついでに夜叉姫も巧みな交渉術で人質にとる
桃太郎は要求を呑むも、結局みんな火あぶりにする
「火あぶりにしたのは桃太郎だ」と吹聴する
村一つを血の海に沈めて滅ぼす(村人が全員断末魔をあげながら死ぬ)
人魚たちを拷問した上で虐殺する
最重要人物であるかぐや姫を崖から突き落として殺す
そのせいで世界が血の海に沈む
月の民の血を取り込んで変身しラスボスと化す
・・・ヤバくね?
シーザーが裸足で逃げだすくらいの悪行をテンポよくこなしていく様は感動すら覚えます。徐々に悪行のスケールが上がっていくのもリアル。
話を進めていくと、桃太郎と鬼が対立しているという構造に見えますが、本来、前作で桃太郎は鬼を改心させているのです。それがなぜまたこうなっているのかというと、はい。ぜーーーーんぶカルラのせいだよ。
カルラが自身の出世のためにウソをついて鬼を扇動して人間と争わせているんですね。すがすがしいほどのクズです。
なぜ鬼がコロっと騙されるのかというと、鬼は決してウソをつかないという性質があるので、みんなカルラを信じてしまったのです。つまり、カルラは唯一ウソをつく鬼だったんですね。
このカルラの加速する悪行を見せられるプレイヤー側はどんどん燃えてきます。最高の悪役は物語の最高のスパイスなのです。よって満点です。
キャラクター 8/10
喋らないが背中で語る桃太郎
圧倒的攻撃力とデバフを担う熱血漢の金太郎
回復とバフを担う心優しい浦島ちょっと弱いけどかわいい夜叉姫
他にも多くの仲間キャラがいますが、メインはこの4人でしょう。
しっかりと役割分担がなされており、オリジナルの童話のイメージにも合っていて、バランスよくいいキャラをしていると思います。
あしゅらも強いし技がイチイチかっこいいので浦島と入れ替えて使う人も多いでしょう。
牢獄にとらわれた前作ラスボスのえんま大王を命をかけて救出し、仲間になるシーンは激アツです。しかも元ラスボスなだけあってしっかり最強なのも素敵。デフォで二回行動どころかバグを使えば無限行動すらできちゃう。
味方にしたら弱いパターンは萎えますからねえ・・・
バトル 8/10
新桃太郎伝説はバトルもかなり工夫されています。
まず、「どの鬼にも個別に独特の能力がある」というアイデアがすばらしいです。ステータスを上げたり下げたりしただけのザコはいないということですね。どの鬼も個性的で、一匹一匹が印象に残ります。
味方サイドも、
・桃太郎は仙人から術を習得
・金太郎はレベルアップで相撲技(HPを消費)を習得
・その他多くのキャラはレベルアップで多種多様な術を習得
・一部キャラは特殊能力を発揮
と多岐にわたっており、戦略の幅が広いです。
中盤以降、仲間が増えたら金太郎たちをクビにして色物で進めることも可能になります。全く使えないヤツから最強クラスのヤツまで十人十色です。
特にましらは「ピアノのキーボードを操作する」という他に類を見ない能力なのですが、うまく使えば最強クラスに強いという面白キャラです。
また、雑魚もボスもかなり強く、いかに限られたリソースでダンジョンを乗り切るかが面白さのポイントになります。レベルアップすると技が全快するのですが、このタイミングを計りながら進めていくのが大事です。
桃太郎の鹿角という、技全快の状態から三回だけ使える全体会心をいかに使いこなすかで難易度が激変することでしょう。
戦闘中におともにきびだんごをあげることで、毎ターン確実に行動してくれます。特にキーコは浦島が分身したんかってくらい強く、キーコにきびだんごをあげることでボスの難易度がだいぶ下がります。
中盤以降技全快のアイテムが簡単に買えるようになるので、以降道中は鹿角ゲーになりますがね。それをヌルゲーとみるか快適とみるかはプレイヤー次第。
システム 4/10
新桃唯一にして最大の弱点はシステムが悪いことに尽きます。
まず、キーレスポンスが悪い。ここが常にストレスが溜まるところです。これだけでー4点はあるくらい酷い。
フィールド・ダンジョンでの歩みが遅いこともストレスですね。特に竜宮城は超クッソ激烈に重いです。
道具袋と装備の管理がわかりにくいのもマイナスポイント。装備のために道具袋を空けたり持ち換えたりが面倒です。
総評 80点
良いところ
ほんわかした世界観にドス黒い描写を叩きこんでくるところが最高
敵と味方が個性豊かで飽きない
カルラという希代の悪役で評価爆上げ
戦闘バランスがほどよくシビアでGood
悪いところ
キーレスポンスが極悪
エンカウント多め
道具と装備まわりのシステムが不親切
歩みの遅さがストレス
ストーリーとバトルの面白さは独特なものがあります!キーレスポンスの悪さが相当に足を引っ張っているのが惜しいですねぇ~
もしスーパーファミコンのゲームをやる機会があったら確実にオススメしますことよ!