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心地よいローカル線。名鉄 蒲郡線を撮る。
のんびりしていて、雰囲気の良い、どこか懐かしさも感じる、そんな街を走る赤い電車。
名鉄蒲郡線の2両の列車が、三河湾沿いに、東から西へ走る。
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西浦駅を出ると、進行方向左側の車窓が開け、海が現れる。
海との距離はそんなに近いわけではない。少し坂を上った高いところからの車窓。蒲郡線で私が一番好きな車窓であり、蒲郡線で毎回楽しみな区間。路線のハイライトだ。
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毎年、春になると名鉄線を撮りに行く。いつのまにか自分のなかで、青春18きっぷを使い、兵庫から愛知まで貧乏旅をすることが恒例となった。2022年に引き続き、今年も蒲郡線に乗りに来た。2023年4月。すでに桜は見ごろを過ぎていた。
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どこか写真を撮れそうなところはないかと歩いていると、夏みたいな雲があることに気が付いた。毎年4月後半になると、夏の過酷さを忘れた私は「夏過ぎる…」と心の中で思う。そして今この記事を書いている、私のような夏にいる人間は、「まだまだ春だよ」とツッコミを入れる。
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のんびり散歩をしていると、歩いてきたおじさんに声をかけられた。おじさんも写真趣味なようで、近くに止めてあった軽トラからカメラを持ってきて、写真を見せてくれた。
ローカル線を撮っていると、優しくしてもらえることは多い。ここもまた、そういう優しい地域の一つだった。
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蒲郡線はここ20年、利用客の減少が続いている。2019年までの25年で、輸送密度は3割減。今の倍の客が乗っても赤字だという。2008年に名鉄は「これ以上の維持存続を図ることは困難」と表明。廃線の二文字がちらつきながらも、地域と名鉄側の協議により、2025年までの存続が決定されている。
2022年には西浦駅の駅舎が解体された。その他の駅でも、これまでに経費削減の取り組みの一環で、駅舎解体などがなされてきた。
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蒲郡線の走る風景を見ると、私を含めた多くの鉄道ファンは心を打たれ、「また来よう」と思う。決してマニア的に人気が高い路線というわけではないのに、訪れた人の心には残る、不思議な路線なのだ。
マニアとして長く残していてもらいたいと思う路線なのだが、そんなことを年に1, 2回しか乗りに行かない私のような客にいう資格はないだろう。
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森の中を走る列車を撮る。この近くに、小さな駄菓子屋がある。店に入ると、元気なおじいさんが出てきた。
「電車を撮りに来たの?」
カメラを首にかけていたので、すぐに分かったらしい。蒲郡線では2022年春から、「白帯車」の復刻車が運転されており、それなりに鉄道ファンも訪れているらしい。
店内は昭和な感じだ。チューインガムとビッグカツをレジに持って行く。店内の雰囲気とは対照的に、PayPayやauPayに対応していたのには驚いた。
店の名前は「川口屋」だ。
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この小さなガーター橋は、カメラを持つ人の足を止めさせる。建物同士の間を、高いところを走る赤い電車がすり抜けていく。奥には海があり、「エモ」という言葉がぴったりだ。
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西に走り、蒲郡駅から28分。終点の吉良吉田 (きらよしだ) 駅に到着した。改札を通って西尾線の列車に乗り換えることができる。蒲郡線は現金のみのワンマン列車であったが、ここから名古屋方面へはICカードも使えるし、車掌さんもいる。
ザ・ローカル線という風に感じるが、列車の本数は多いほうだ。普通のローカル線は1時間に1本とか、2時間に1本とかそんなだけれど、ここは1時間に2本。まだ乗りやすいし、撮りやすい。名鉄は良心的だなと思う。
2025年以降の蒲郡線はどうなるのか。それだけが心配だ。私にできることは、沢山乗りに行ってお金を落とし、たくさん蒲郡線の姿を記録することくらいだ。
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