貧しい日本、悲しいわたし
緩やかに貯金が減っている。
昔、親友が「セロリってね、食物繊維が多すぎて摂取カロリーよりも消費カロリーの方が多いんだよ!だからセロリしか食べなかったら実質緩やかに餓死するんだって〜マヨとかつければ大丈夫みたい!」
と何故だか教えてくれたのを思い出した。
私の貯金は、まるでセロリのようだ。
実家に住んでいた時は最強だった。今思えば、家賃も光熱費も食費も払わないなんて夢のような生活だ。
息をするだけでお金の貯まる生活だった。
引っ越して最初の数ヶ月間はそんなに減っている実感は無かったものの、半年以上経つと明らかになってくる。
ゴールデンウィークに旅行に行き、6月に冷蔵庫とマットレス(どちらも激安)を新調し、お盆に旅行に行き…
だからだ、支払いが多いからに決まってる。と思っても、それでもやっぱりお金が減っている事実には変わりない。
物を海外で作る仕事をしているから、余計に為替事情は耳に入ってくるし、働くことも大変だ。
なんでこんなに貧しいのだ。
なんでこんなに物価が高いのだ。
何でこんなに私の給料は低くて、上がらないんだ????
そんなことを急に考えたら、仕事中に心拍数がみるみる上がって集中できなくなった。
私のようにお金がなくて仕事に集中できない民がたくさんいるからこの国は貧しいわけ??(多分違う)
心が落ち着かなくて、焦って、なんか怖くなって帰りに蔦屋書店に行った。
ギンザシックスの中は、ハイブランドだらけで全てのお店で高級感が漂っていて、
ここでもまた「買える人いるん??」ってお金のことを考えてしまった。
自分が激貧民になった気分だ。
本屋に入ると売れ筋のところには「お金の稼ぎ方」やら「経済の本」やら「無駄を省く」やら、現実的でちょっと冷たく感じる本がたくさん並んでいた。
本屋に行くと、世の中のトレンドがわかる気がするのだけど、最近ずっとこんな感じで実用書ばかり見る。
こういうのも良いことだと思うけど、貯めるとか、削るとか、稼ぐとかに集中すると、やっぱり私は悲しくなってしまうから、目を背けてしまった。
お金に取り憑かれている時に限って私には、読みたい本が山ほどあり、秋に着たい服もたくさんあって、親しい友人の結婚式もある。
全部叶えたら、お金がボーーーーーンと吹っ飛んでいく。
楽しく生きるためにお金が必要だとは思わないけど、お金が無いとこんな風にお金に取り憑かれてしまって余計に貧しい。
別に、特別裕福になりたいわけでは無いのだ。
私の欲しいものなんて、全然高くない。
シャネルもエルメスもバーキンも、全然興味がない。
高級ホテルも高級レストランも、まあ人生の節目みたいな時になら行ってみたいかなってくらいで、
全然マックとかサイゼとかでいい。
息をするように欲しい物を手に入れて、好きなことをしていて、それで一年で30万円くらい貯金が増えてれば良いかなって思う。
何故それも叶わないわけ?なんで減ってるわけ??
こんなエッセイを書いてないでお小遣い帳でも付けなさいよ、って言われるかもしれないけど、
うるせー知らねえんだこっちはこの気持ちを発散してえんだ!って感じなわけである。
蔦屋書店にせっかく来たのに、本を買うことすら恐れ多く感じている私が読めるものなんて、
もうもはやアマゾンのプライムリーディングで読めるやつだけなのかもしれないって思ったらどんどん悲しくなってくる。
読みたい本を毎日メルカリで検索しては、だれも載せてないことを確認してうなだれてる。
さっさとここで買ってしまえばいいものを。買ったあとに、メルカリで売って元を取れば良い物を。
買ったらきっと、良い本だったぁ!売れない!とか言い出すのが私だ。
それならそれで良くね?って思ってきたけど、でも私にはお金が無いのだ。きちんと考えないといけない。
こうやって、貧しいと何もいろんなことがすぐに踏み出せなくなって本当に悲しくなる。
どんどん貧しい気持ちになる。
もうもはや、お金が無いのは本当に貧しいからなのか、気持ちが貧しいからなのか?
いったいどっちなんだい状態だ。
今の私は本も買えない貧しい女。貧しい気持ち。悲しい気持ち。
蔦屋書店で、入場無料の絵画展がやっていた。今の私には入場無料はありがたすぎて迷わず入った。
一枚の絵が、なんだか素敵で足を止めた。
じわっと温かい気持ちになってしばらく見ていた。
私はこうやって、美しい物を見てふわふわしたり、ちょっとの幸福を感じたりするだけで良いのに。
そのためにはお金が必要な時の方が多いのに。
いったい全体どうしたらいいんだ。
どんどん貧しくなる日本。
1億くれとは言わないから、心豊かに過ごせる世の中を作ってくれ。