愛媛の絶景
7年前程まえに、愛媛の遊子水ケ浦の段畑(ゆすみずがうらのだんばたけ) へ行った。
小さな山の側面が段畑になっており、段の壁は石が積まれて壁になり、畑の部分には馬鈴薯が植えられている。
訪れたのは11月で、おそらくオフシーズン。
宇和島市内から段畑までの道のりは、ひたすらくねくね、くねくね。くねくねした山道を進んで行った記憶がある。当時は運転にそこまで慣れておらず、山の勾配に加えカーブだらけの道のりにハンドルを何度も切りながら、とても苦労したのを覚えている。今行けば、記憶よりは普通の道のりな気がするのだけれど。
小山の頂上に行くまでに、数人の観光客とすれ違う。思っていた程ひとはいない。小山の端の方にはじゃがいもを運搬する機械、ミニトロッコのような物が下から上に伸びていた。
11月とはいえ、場所は愛媛。
段畑を横に、山頂までの小道をひーひー言って、少し汗ばみながらも歩いていく。
歩いて10分程だろうか、小山のてっぺんに着く。そこからの景色は時間がたった今でも覚えている。目の前には小山に囲まれた瀬戸内海が広がり、青が輝いて見える。
海の手前には、養殖の網が縞縞模様のように浮かんでいる。今自分が登ってきた小道とじゃがいもの段畑、車を停めた駐車場が眼下に小さく見えた。
静かで、あたりは風の音と遠くに車の走る音が時折聞こえてくる。小高い所から地上、海面、空とぜんぶが見えて、鳥の鳴き声も耳の近くで聞こえるような感覚であった。
愛媛県は好きな県の一つだ。瀬戸内海とみかんと、穏やかな空気感が好きなのだ。瀬戸内海の海は何度見ても、見るたびに感動するが、この絶景には息を飲んだ。美しかった。
この景色を見てから、今もずっと、海の近くで暮らしたいと思い続けている。
この美しい日本の景色を見て、日本にもこんなに素晴らしい場所があるのか、と驚いた。
しかし、こんな素敵な場所であるのに、時期もあるのか観光客らしき人がそれほど居らず、こういう場所こそ、もっと広めてたくさんの人に見てもらうべきだ、と心の中で思ったのだ。
小山の麓には小さなご飯屋さんがあり、そこで愛媛名物の鯛飯をいただいた。土曜か日曜だったが、オフシーズンということもありお客さんはほとんどおらず、割烹着を着たおばあちゃん達が、数名で仕切っていた。
鯛めし、美味しかった。
コロナが落ち着けば、またこの感動を覚えた場所を再訪したい。また、鯛めしを食べに行きたい。
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