入り口
初めて日本の外へ出たのは10代の頃。
イギリスの小さな田舎町だった。
教科書やテレビ、映画で見た知識しかなく、海外はとても遠い所にあると思っていた。
実際に遠かった。飛行機の中で半日弱を過ごし、初めて足を踏み入れる海外の地。
全てが違った。イギリスに立って、見ている景色、目に映る物全てが、日本と違って見えた。
日本人が少数派になり、周りは全てイギリス人。言葉は通じず、文字も全て英語 (当たり前だが) 。
何も分からず、コミュニケーションも上手く取れない。周りの人と上手く話せず、それが出来ている人はきらきらして見えたのに。それなのに、全部が新鮮でわくわくして見えた。面白かった。肌の色も目の色も、言葉も景色も、街のにおいも、全部違う。
今にして思えば、この時、自分の何かの扉が開いたのだと思う。
わくわくすることは?と聞かれたら、「訪れたことのない場所に行ってみること。」と答えるだろう。
このイギリスを訪れた経験が、旅や知らない土地を訪れることの楽しさを知る入り口だったのだ。
いつか、必ずまた訪れたい。
自分が初めて見た海外を、今の自分の目でもう一度、見てみたいのだ。