voyage:running through the flames.
2019年12月8日に急逝したJuice WRLDの「新曲」ー “Righteous” が発表された。
彼が亡くなって以降、EMINEMのサプライズリリースアルバム“MtbMB”に収録された“Godzilla”や、G Harboのアルバムの表題曲でもある“PTSD”など、彼が生前にコラボした未発表曲がジワジワとリリースされていたが、彼自身の名義で新曲が発表されることはなかった。
つまり“Righteous”は、彼が亡くなって4ヶ月ちょっと経って、ついに正式に発表された遺作である。
この曲の歌詞に含まれる“意味”を胸に、
私たちはこの苦しい時期を「前向きに生きる必要がある」かもしれない。
・ネガティヴをポジティブに変える
悲しいことに、彼がLAの自宅スタジオで録ったこの”Righteous“を、彼が生きている間に聴くことは出来なかった。
この曲が彼の遺作になってしまったことを残念に感じる人も少なくないだろう。
しかし、私は彼が亡くなってから初めて発表された曲(※feat.参加曲を除く)がこの”Righteous”で良かったと思った。
数多くの未発表曲を抱えたまま急逝したJuice WRLD。
レコード会社や彼の身内がこの曲を“推した”であろう理由は、“これぞまさにJuice WRLD”と言えるような「ネガティヴをポジティブに変える」要素がこの曲に含まれていたからに違いない。
Takin’ medicine to fix all of the damage
この傷を修復するために薬を飲み込むんだ
My anxiety the size of a planet (Yeah, ooh)
だって俺の不安は惑星みたいに大きいから
Holes in my skull, over time
時間が経つにつれ、頭蓋骨には穴が何個も空いて
My heart’s over ice (Whoa)
俺の心は氷に覆われるんだ
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When it’s my time, I’ll know
我を取り戻せば、きっと気付くんだ
Never seen a hell so cold
「こんなにも寒い地獄は見たことがなかった」って
Yeah, we’ll make it out, I’ll know
あぁ、俺たちなら出来るさ、なんだかそんな気がしてるんだ
We’ll run right through the flames, let’s go (Go)
俺たちはこの炎を走り抜けられるってさ。さあ行こう
※歌詞はsublyricsより引用。
素早い和訳本当にありがとうございます。
遺作“Righteous”の歌詞には、
精神的に不安定な状態だった彼が、その「氷に覆われた身体」で「寒い地獄」を走り抜ける
つまり、“Juice WRLDがキャリアを通じて最も伝えたかった「ネガティヴをポジティブ変える」というメッセージ”が含まれている。
そして更に“Righteous”に含まれたメッセージは、Juice WRLDという“若き才能”が、頻繁に口にし、生涯におけるテーマに掲げていた「999」という数字が持つポジティブな意味にも重なる。
2018年にMTVのインタビューで、背中に刻んだ「999」のタトゥーの意味について尋ねられたとき、彼はこう答えたそうだ。
“999 represents taking whatever ill, whatever bad situation, whatever struggle you’re going through and turning it into something positive to push yourself forward”
—— 999は、どんな病気でも、どんな悪い状況でも、あなたが経験している困難を乗り越えて、それを前向きな何かに変えて、自分を前進させることを表しているんだ。
※** 「999」は「666」の逆数であり、666は「獣の刻印」や「悪魔の数字」として知られている。つまり、666(=自分にとって悪い状態)をひっくり返し、ポジティブな状態に変える**ということ。
このように、彼の死後、「遺作」という形で届けられた“Righteous”には、彼が日常的に伝えてきた永遠のテーマ「999」が掲げられていることが分かるだろう。
まるですぐそばにいるような、優しく透き通った声でリリックを刻むJuice。
GodzillaやPTSDを聴いても尚、どんなトリビュートを見ても何となく気持ちに区切りがつかず、未だに彼の死を嘆いていた自分だったが、
この“Righteous”を聴いて「999」のマインドを思い出し、(この悲しい気持ちに)一区切り付けられたような気がする。
亡くなる前にも後にも、彼に助けられるなんて。
少し情けない気もするが、彼が掲げていたテーマを思い出して、そのメンタリティを継承してこれからも、1日1日を大切に生きていこうと思う。
Juice WRLDの声は優しい。
見上げた空を包み込むような優しさ、
それは青空のように透き通って綺麗で。
いつまでも心の中にいてほしい。
僕達はきっと、ずっと、彼の心を離さないだろう。
彼の音楽はこれからもずっと、
僕達の心を掴んで離さないだろう。