24時間テレビの子だっ!

娘と一緒にコンビニで買い物をしていたときのこと。
小学生くらいの男の子が、娘の顔を見るなり外へ飛び出していき、母親の手を引いて戻ってきた。
そして娘を指差し、

「ママ!見て!24時間テレビの子がいる!」

と、興奮した様子。

ご存知の通り24時間テレビにはよく、ダウン症のある人が登場する。
彼らの容貌は染色体の関係からか、非常に良く似ているので、男の子はきっと、娘のことをほんとうに24時間テレビに出た子だと勘違いしたのだろう。
私は、「この男の子、いい表現するなぁ〜、サインねだられたら娘に書かせちゃおうかな?」などと、感心していた。

ところが、男の子の母親は娘の顔を見るなり、ハッとした表情になり、
「いけません!帰りますっ!」
と、男の子の手をぐいぐい引っ張り、我々から離れようとしたのだった。
男の子は
「えー!なんでー?ぜったい24時間テレビに出てた子だよぉ〜!」
と、諦めない様子。
それでも母親は、
「いいのっ!時間がないんだから早くっ!」
と、男の子を引きずるようにして、出て行ってしまった。

私はなんだか、さびしく思った。
母親の気持ちはわからなくもないが、彼女のあの態度によって男の子が、
障がい者=アンタッチャブルな存在
と、思ってしまわないか心配だ。
そして、私のほうももっと気さくに彼に話しかければよかった。

「サイン、あげようか?」って。

そして、更にこう言えばよかった。

「これからも応援してね」って。

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