雨女の君 // 230521四行小説

 雨はあまり好きではない。太陽が翳ると自然と気分も落ちるし、湿度が高いと髪が言うことを聞かないから。
 君は雨女で、いつもいつもめでたい日にこそ雨を連れてきて、僕は「またかよ」と呆れてしまう。けれども傘の下で君は楽しげに「まただよ」と笑うから、仕方ないかという気にさせられた。
 いつもいつも君はめでたい日に雨の中で笑っている。だから、今では雨を見ると何かめでたいことが起こるのでは無いかなんて思うようになって、今日も言うことを聞かない髪を撫で付ける。

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