写真 //211202四行小説

 写真を撮ることが好きだったのは、自分の記憶に自信がないからということもあったのだろう。写真が一枚あるだけで、それを手掛かりにずるずると結ばれた縄のように思い出も引きずり出される。
 全てを永遠に覚えて置けるほど万能では無い私たちは、思い出すことすらも思い出さない。だからこうして大事な記憶の一部をフィルムに切り取り、未来の私のために片隅に貼っておく。

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