天官賜福⑳◆(鬼画舫と見君川)魔翻訳した感想と考察
今回は39章~40章について触れていきます。
武器庫見学後に極楽坊にて晩餐会がひらかれるところからです。
せっかく来てくれたのだから極楽坊の最上階で最高のおもてなしをするよと案内される謝憐。
鬼界の美しい女郎たちが次から次へと豪華な食事を運んでくれます。鬼市で売られていたような目玉のスープなどは出てきませんでした。
謝憐は鬼市へ向かう途中、青玄から『鬼市へ招かれた客が食事をしていると最終的に自分の死体を食べていることに気付く』というような恐ろしい話を聞いていたことを思い出してふと笑ってしまいます。
それを見た花城が「どうしたの?今日は楽しかった?」と尋ねました。
「楽しかったよ、鬼市は本当におもしろい場所だね!」と謝憐が言うと、花城は笑って「当然だ。この場所は三界の汚れだとか言われているけれど、実は誰もが密かに来てみたがる場所なんだ。神官が『鬼市に来たことがない』なんて言ったら確実に嘘だね。表向きは軽蔑しているふりをして、裏ではここでいろいろと怪しいことをしている。実に興味深いよ」と言いました。
天界でふたりの賭けの様子が中継された際も「花城はいつもは賭けに参加しないのに…」なんてことを呟いてボロを出していた神官がいましたもんね。
その時、女郎のひとりが酒盃を差し出してきました。花城はそれを受け取って「兄さん、一杯どう?」と聞きます。
謝憐は「茶で十分だ」と言い啜りながらふと顔を上げた瞬間、酒を持ってきた女郎と目が合い、女郎が色っぽくウインクを送ってきました。
謝憐は反射的に激しくむせてしまいます。その女郎とは、女性の姿に変身した青玄だったのです。
師青玄て本当におもしろい奴だよな!!ちなみにこのウインクしたシーンはアニメ版にもありましたので今回のサムネイルにしました。
女性姿の青玄は風情たっぷりに花城の後ろあたりに佇んでいます。
まさか青玄がこんな接触方法を取ってくるとは思わなかった謝憐は、花城にバレてしまわないかどうか内心とてもドキドキします。
幸いにも花城は謝憐にしか興味がなく周囲の美しい女鬼たちには一切注意を向けていません。
むせる謝憐の背を優しく叩きながら「茶を飲むだけでむせるなんて、いっそ酒に変えてみたら?」と冗談めかして言う花城。
なぜそこまで酒を飲ませたいのか。酔ってるところを見てみたかったんでしょうか。
謝憐が慌てて「いやいや、ただ修行の道において禁酒が必要なんだ!」と言うと、花城は「ああ…それは俺の不手際だったね。考えが足りず危うく兄さんを破戒させてしまうところだった」と酒をすすめるのをやめます。
すると何気なく花城が後ろを振り向きそうになったので、謝憐は急いで花城の腕を掴みます。
花城は掴まれた赤い袖越しの手を見下ろしながら、「どうしたの兄さん、何か言いたいことがあるならそんなに急がなくてもいいのに」と微笑みました。
もう振りほどくことはないんですね。初めて牛車の上で手を握られたときはあんなにテンパってたのに。
あのあと髪触られたり喉仏触られたりお姫様抱っこしたり血を吸ったり、いろいろなことがありましたからさすがに慣れた様子。
何よりここへ来る前の武器庫では楽しくなっちゃった謝憐に手を取って引かれてますからね。
焦った謝憐は「えっと……考え直したんだけど、一杯くらいならいいかなって」と答えます。
花城は驚いた様子で「でも兄さん、破戒しちゃうことになるんじゃ…?」と聞きましたが、「三郎と一緒なら破戒しても構わない!!」と答えました。
焦っているとはいえ大胆な発言をする謝憐。続けて「実は前にも戒律を破ったことがあるんだ」と話し出しました。
アニメ版だとここで、謝憐の修行において禁止されているのは【酒・色欲・怒り】で、酒に関しては呑まれなければ絶対にダメというわけではないという説明がありました。原作にはありませんでしたが…。別なところで出てくるんだろうか。
かわりに花城が興味深げに「それ(破ったことがあるもの)は酒の戒?それとも…」と意味ありげに笑っただけでした。
謝憐は慌てて「色戒はない!絶対にない。過去にも未来にも絶対にない!」と言います。花城は愉悦なのか不満なのかわからない眉のひそめ方をしました。
不満でしょうねぇ!!
過去は別として「未来にも絶対にない」なんて言われたら少し落ち込みたくなる気持ちもわかりますとも。
そして花城は「戒律が道に合わないのならそれは本来の自分ではないと思うけど、兄さんはどう思う?」と聞きながらまたもや後ろを向こうとします。
すると謝憐は瞬時に両手で花城の肩をがっしりと掴み、強引に前へ向けて「私は…!」と話し出したので、花城は掴まれたまま笑いながら「どうなの?」と促しました。
これ気付かれてません?
謝憐は戸惑いながら「なんだかちょっと………息が詰まるかんじがする」と答えます。それを聞いた花城は「それなら、外へ出て少し空気を吸わないか?」と提案しました。
これには謝憐も賛同して「すぐに出よう!」と立ち上がろうとしましたが「兄さん、しっかり座ってて」と止められます。
言い終わると同時に突然重力がなくなったような感覚に襲われます。宴会場そのものが極楽坊の最上階から投げ出されたのです。
大きな音とともに数十メートルもの高さから手前にあった湖へと落下し、数尺もの高さの水しぶきが上がりました。
揺れが収まると宴会場は画舫(絵のように美しい船)へと姿を変え湖の上をゆったりと進み始めます。ふたりの衣服は水に触れることはなく、酒器もひとつとして倒れていませんでした。
花城は謝憐に酒を注ぎながら「もう息が詰まらないでしょ?」と優しく微笑みます。
これ完全にバレてますね!
絶対にバレてますとも。だって画舫には青玄の姿はなかったですもん。謝憐の意識が自分の背後に向いてることに気付いたから、そこから切り離すようにして湖に飛んでったものと思われます。
俺に集中しろってことですか?
突然宴会場が空高くから吹っ飛んだ上に変身して今は湖の上を流れているので、謝憐は額の汗を拭いながら「ご…極楽坊って本当に不思議でおもしろい場所だね」と言うと、花城は目をぱちぱちさせてから得意そうに笑って「これくらいで驚かないでよ、もっとおもしろいものがあるんだ!いずれ全部見せるよ」と宝物を自慢する10歳児のように言うので、謝憐も思わず微笑みました。
居所と家の違いを話していた時は極楽坊のことを中身がないとか言ってたけど、おもちゃのようにいろんな仕組みを作って遊んではいるんですね。それも自慢できちゃうくらいのクオリティで。
あと、謝憐は花城のことを「少年のようだ」という感想を抱くことがとても多いです。それについてはもう少し深く掘りたいんですけどまだ先延ばしにさせてください。
それから、ちゃっかり謝憐に酒注いでないか?
【鬼画舫】は真っ暗な夜の水面の上で巨大な花灯のように漂い、川へと流れていました。画舫のまわりにも小さな花灯がたくさん浮いています。
その暖かな光に吸い寄せられるかのようにたくさんの鬼火が舞い、かすかな声で「乗せて、乗せて、」と言っていました。
謝憐が手を伸ばそうとすると鬼火たちは突然何かの指示を受けたかのように黙って一斉に散っていきます。おそらく花城の指示です。
あれは超度(成仏するため苦しみを和らげ導いてもらうこと)をされてない小鬼たちで、人を見つけると付き纏うがただの戯れに過ぎないこともあるから気にしなくていいと言われます。
でも手を差し伸べることは無駄ではないよと言う謝憐に、「兄さんは本当に優しいね。でもこの【見君川】には数えきれないほどの孤独な魂が彷徨っている。全部を救うことはできないよ」と答えました。
【見君川】とは鬼界と人間界の間で繋がっている川です。つまり生者と死者を繋ぐ川になります。この作品における架空の川なので実在はしません。
『見君』とは中国語で「あなたに会いたい」という意味だそうです。
見君川と聞いた謝憐が「なるほど、『日日思君不见君』か」と納得する場面もあるのですが、この『日日思君不见君』とは中国の古典詩や文学作品によくある表現で「あなたを日々想っているけど、あなたには会えない」というような意味になります。古典的なので日本でいうところの『君死にたまふことなかれ(どうか死なないでください)』という表現と似た使われ方をする文だと思います。
「誰も超渡してくれないなら、彼らはどうするんだ?」と聞く謝憐。
花城は「自分たちでやるんだ。川の上や道端をしっかり照らして、ちゃんと仕事を終えたら自然と解放されるよ」と答えます。
これははっきりとした記述がなかったのであくまで想像なんですが、もしかして鬼市ってそのための場所でもあるのかなと思いました。屋台で商売をする鬼や賭坊で取り仕切っている女郎、極楽坊で御馳走を運んでくれていた女鬼たちも皆ああやって自分で超度するために働いているのかもしれない。
この作品における鬼とは霊のことでもあるので、霊は死者であり必ずしも悪霊というわけではありません。悪霊となってこの世にとどまり悪さをする者たちも当然いますが、そうではない鬼もいます。半月もそうですし。
そういった者たちがここで働いて超度するのかもしれないと考えると、花城が鬼市の領主をやっている理由のひとつくらいにはなるんじゃないかなと思いました。繰り返しますがあくまで想像です。
川辺には白い衣をまとい惨めな姿をした小鬼たちや、奇怪な顔の者たちが座り込み、遠くから流れてくる花灯をじっと見つめていました。彼らは親族からの音信を待っているようです。
時折夜風に乗って悲しげな泣き声も聞こえてきます。花城が手を振り鬼画舫は別の方向へ進みだしますが、あんなに悲しそうに泣いているのはなぜなのか謝憐は気になっていました。
花城は「たいしたことじゃない。夜の常だ。20年も思い人を待ち続けた小鬼が少し泣いただけだよ」と淡々と答えるので、「20年も?それは長すぎる…諦めて自分を解放した方がいいのに」と呟く謝憐。
しかし花城は「諦めないさ」と静かに言いました。謝憐はその声に何か深い意味があるように感じましたが、それが何かはわかりませんでした。
彼は800年選手ですからね。
もちろん人間にとっての20年はとても長いです。神官も鬼も寿命が長すぎてわけわかんなくなりますが20年はたしかに長い。ただ800年選手から見たらまだまだ「たいしたことない」のでしょう。
謝憐が「諦めて自分を解放した方がいいのに」と言ったセリフにはなんだか重みを感じてしまいました。あまり彼らしくもないセリフに感じますが、むしろ今の彼らしいともいえます。
楽なんですよね諦めるのって。人間諦めが肝心だとよくいわれますが、花城がそれを聞いたら「その”好き”ってたいしたことないってことだろ?」と菩薺観でかましてきたセリフを再び持ち出してくるのでしょうね…。
中元節(鬼界と人間界の境界線があやふやになる日)には人間からの花灯もよく流れてくるそうです。
花城は人間界にも信徒が多く居るのでここに流れてくる祈願花灯はほとんど花城へ向けられたものでした。ひとつ水面から掬い上げて「いっしょに見る?」と誘われ、謝憐は良くないとは思いつつも好奇心には勝てなかったので見ることにしました。
なんだそのおもしろ祈願は。
謝憐は「神に祈るときはもう少し上品にお願いされるものだが、君のところに来る願い事はあまりに率直すぎて驚くよ」と笑いました。花城も笑いをこらえつつ「まぁ俺に願い事をする連中なんて欲に忠実なもんさ」と肩をすくめます。
人を頼るより自分を頼る方がいいし、深い淵から這い上がりたいのなら他人に期待しても仕方がない。誰もが毎回助けてくれるわけではないという考えから花城は祈願花灯を普段ほとんど見もしないし放っておくそうです。
「君には信徒が大勢いるだろう?見捨てたら、彼らに“ご利益がない”なんて言われないか?」と謝憐は聞きますが、花城としては祈ってくれなんて頼んでないし勝手に祈られているだけだという主張でした。
そもそも彼は神様ではありませんからね。神官の場合は信徒が増えれば法力が増えて、供物が増えれば功徳(天界のお金)が増えるという仕組みなのでみんな必死になって信徒の期待に応えようとしますが、鬼はどうなんでしょうか。花城が富豪なところを見ると鬼もほぼ同じな気がしますが、法力に関しては絶境鬼王という時点で既にたんまり持っていそうです。
そもそも、あえて神ではなく鬼に祈願するのってどんな願いだろう?というのを考えてみたんですけど、ハッピーな内容よりダークな内容ならありえる話だなと思いました。
それこそ花灯で流れてきた「私より成績の良い者は皆死ね!」みたいなこともそうですが、自分をいじめてくる相手をこらしめてやりたい!とか、不倫相手を痛めつけてやりたい!とか。裴茗への呪いも花灯で流れてそう。
続けて花城は「御利益のあった奴だけが声を上げるもんさ。なかったとしても文句は言えないよ」とも言ってました。
「文句は言えないよ」というのは彼が鬼王だからです。鬼王に対して「ありがとう!あなたの信徒になります!」とは言えても「ふざけんなよ!なんの役にも立たねーなぁ!」とは怖すぎて絶対に言えませんよね。
神官の場合はたったひとりの信徒でも期待に応えられなければボロクソに文句を言われてしまうので苦笑いする謝憐。ついでにいくつかまともな祈願内容を覚えておき、花城の代わりにいずれ叶えてあげて評判を稼ぐ手伝いをしようと決めました。
「三郎、君のあの鬼賭坊は開いてどのくらいになる?」と尋ねる謝憐。
花城は「結構前からやってるよ。どうして?………もしかして兄さんは、鬼賭坊のやり方は危険だからいっそ手を引くべきだと言いたいんだろう?」と当ててみせました。
続けて「自分があと10年長く生きるか、敵が10年早く死ぬかを選ぶなら迷わず後者を選ぶのが人間だ。鬼賭坊のような場所が一軒増えたからといって悪が増すわけでもなければ、減ったからといって善が増すわけでもない。俺がこの場所を管理しなければ、誰か他の奴が管理するだけだ。それなら俺の手で管理した方が兄さんも安心なんじゃないか?」と言います。
謝憐はよく考えてから「君の言う通りだ。余計な口出しをしてしまった」と答えると、花城は笑って「余計なんてことはない。兄さんの親切な心に感謝する」と返しました。
ド正論すぎる。
人間の善悪の心はこの世がどう動こうが善だけに転ぶことはないし悪だけに転ぶこともないと思います。仮に鬼賭坊を閉鎖したとしても第2,第3の鬼賭坊が作られて別の管理者が主催するだけです。
この日の賭け勝負も相手が花城でなければ最終戦で賭盅の中のものを殺されていた可能性が高いし、ついでに謝憐の服も全部脱がされてしまったかもしれません。(観客の鬼たちは謝憐が負けるたびに服を1枚ずつ脱ぐことを提案して盛り上がっていたので花城にキレられています)
そう考えると鬼賭坊が公平を保つには絶境鬼王の花城が城主を務めることがたしかに最適解だと思われます。郎千秋が手を潰した人間の男が娘の寿命を賭けたことに関しては私はいまだに納得していませんが。
謝憐はいちばん肝心なことを忘れてはいませんでした。
改めて「それで、サイコロの目を操るコツって何かあるの?」と尋ねます。下弦月使が入っていった部屋を開けるためには何がなんでも運を上げるしかないのです。
「あるさ。ただ運が良ければいいんだ」
「じゃあ賭坊ではやっぱり私をからかっていたんだね?」
「どんなことがあっても俺が兄さんをからかうなんてことできないよ。運っていうものは確かに掴みどころがない。でも努力で培えるものでもあるんだ。もっとも、それには時間がかかるし誰もができるものではないけどね」
花城の運が良いのはやはり何かしらの修行を積んだからなんですね。
中元節の日に謝憐と少年三郎が出会った際、謝憐の悪運を三郎の幸運が上回って私はひどく感動したものです。20年想い人を待ち続けてる鬼火を見て「諦めないさ」と呟いた花城の気持ちを改めて考えると苦しくて泣きそうになります。
謝憐が「じゃあ、私はその“できない側”だね」とため息をつくと、「兄さんがどうしても勝ちたいのなら、即席の方法がひとつあるよ。手を貸して?」と自分の右手を差し出す花城。
本当に触れることに対して抵抗なくなったな。
謝憐は特に何も考えず差し出します。花城が少し微笑みながらその手を握りました。
そうしてふたつのサイコロを投げ出すとコロコロと転がり、出た目はふたつとも6でした。
これはただの法術ではなく運気の受け渡しだそうです。運気も法力と同じで分け与えることができるとのこと。
花城の手は冷たくないけど温かみもないそうです。
てっきり冷たいものだと思ってました。彼は鬼だから…。
亡くなっている方の身体って正直ぞっとするほど冷たいです。氷とどっちの方が冷たいかみたいな話ではなく、感覚で生き物とは認識できない冷たさというか。初めて触った時は本当に怖かったのを覚えています。
だから今後謝憐と花城が抱き合うような機会があったとしても、花城の身体があのぞっとする冷たさだったらどれだけ抱きしめても謝憐は苦しい気持ちになってしまうんじゃないかとずっと心配でした。なんの心配をしてるんだ?と言われたら本当にそうなんですけど…。
人と人とが抱き合うのってぬくもりを感じられる気持ちよさが理由のひとつだと思うんです。でもいくら抱きしめても相手の体温が冷たいままだったら、私ならきっと耐えられません。触れるたびに相手が生者でないことを痛感して悲しくて大泣きしてしまいそう。
だから花城の手が温かみはなくても冷たくもないというのはすごく安心しました。精巧な偽皮を作れる彼なら体温すらも偽ることが可能かもしれませんが、とにかく謝憐がせっかく抱き合っても悲しい気持ちになってしまわないことがよかった!
ふたりは夜遅くまで無邪気にサイコロを転がして遊び、やがて鬼画舫はゆったりと極楽坊へ帰っていきます。
互いに「おやすみなさい」と告げると花城は謝憐に部屋をひとつ貸して去っていきました。
少し座って休んでいると、ふいに外から「殿下……太子殿下…」と声が聞こえてきます。
謝憐が戸を開けると、勢いよく飛び込んできたのは女性姿の師青玄。
忘れてた。
入るなり地面に転がって男の姿に戻り、胸元をおさえて「息が! 息ができない! お母さん!僕はこの服に締め殺される!」と苦しそうに叫んで、透けた衣装を身にまとった大男が地面で狂ったように自分の着ているチューブトップやコルセットを引き裂いていました。
師青玄て本当におもしろい奴だよな!!
彼が出てくると安心します。酸いも甘いも苦しいも悲しいも全部吹き飛ばしてくれる風師青玄大好きだよ…!!!!
「風師殿、元の服に戻ればいいのでは…」と呆れながら言う謝憐。
青玄の言い分としては夜中に真っ白な道衣を着ていたら的にされるようなものなんだからバカじゃなきゃ無理だろ!とのこと。それ全身真っ白な謝憐さんに言います?
とはいえ女性の衣装をビリビリに引き裂いたものを着ている男の方がよほど不審者極まりないです。彼は身長186㎝の大男で、アニメ版で見た限りでは顔にそぐわず意外に体格がよくて筋肉ムキムキなんですよね。謝憐がパッと見では華奢に見えるせいもあって並ぶとなおのこと雄々しく見えます。
青玄には不満があるようです。どうやら彼は謝憐が【極楽坊】に連れていかれたと耳にして、名前からしていかにも不埒な場所だと思い込み命懸けで助けに向かったというのに、そこには美しい女鬼達に囲まれながら花城と仲睦まじく酒盃をかかげている謝憐が居たのでたまげたそうです。
続けて、「絶境鬼王なんてどう考えても忙しいはずだろ?でも何もかも放り出して君と夜の湖で語り合ってるんだからすごいよなぁ。それに引きかえ、私はどうだ?おばさんや小娘たちに捕まって顔の手入れだの、屈辱的な格好でこそこそ動き回って、こんな大犠牲は初めてだよ!!」と肩をすくめました。
その格好は好きでやってるんでしょうが。
郎千秋は外で待機しているそうです。
青玄は懐から1枚の符を取り出しました。符には血のような赤で羅盤が描かれており、羅盤の針は符を回すたびに方向を変えます。千秋が持っている符と対になっているそうで、この符を持っていれば千秋がどこにいてどのくらい離れているかがわかるそうです。緊急の時にはこの符を引き裂けば相手のそばに瞬時に移動できるとのこと。
これは呼応羅盤符といって鬼界のものです。天界の法宝はここでは効きにくいので現地(鬼市)で買ってきたとのこと。
無駄な買い物じゃなかった!!
ごめんね青玄…無駄なものだけ大量に買い込んできたとか言って…使えるものもちゃんと買っていたんだね…
千秋が絶剣芳心を妙に気にしていると話す青玄ですが、謝憐はわざと聞き流して青玄を仕女像の前まで連れて行きました。
花城から借りたふたつのサイコロを大皿へ投げ入れると両方6の目が出ます。この運は先程花城が貸してくれたものであるにもかかわらず、それを使って今は花城の秘密を探ろうとしていることに後ろめたさを感じる謝憐。
自分の推測が外れて正直に謝罪する機会が得られることを望むばかりでした。
今回はここまでにします。
見君川が個人的にすごく好きでした。
幻想的な光景が目に浮かぶようで、切ないけどそこがまた美しさを引き立てているような、ちょっと胸が締め付けられるような。アニメ版にはなかったストーリーなのでぜひ映像で見たかった。
鬼になって姿形が変わってしまっても、大切な人が自分を想ってくれていることを期待して何十年経っても毎晩川で泣きながら待っているだなんて切なすぎます。
日本でも灯篭流しというイベントがありますが、正直頭お花畑で「綺麗~!」という感想しか持ったことがありませんでした。でもあれも本当は『死者の魂を弔う』という意味のある行事なんですよね。
これからは灯篭を見るたび流れていく先を見つめてしまいそうです。
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