天官賜福⑯◆(賽の目と泰華殿下)魔翻訳した感想と考察
今回は34~35章あたりについて触れていきます。
前回鬼賭坊で謝憐と花城の手ックスにしか見えないサイコロの振り方講座を見せつけられ非常にいたたまれない時間がありましたが、まだ続きます。
さっき振ったのはカウントしないからもう一度練習しようと提案した城主にざわつく鬼たち。
この1回がカウントされないならいつまで続くんだ?今日の城主は本当に機嫌がいいみたいだな……などという声があちらこちらから聞こえてくるので、花城が左眉を軽く上げると女郎が「静かに!」と注意し、一瞬で静まり返ります。
花城は微笑み、謝憐の耳元でそっと励ますように「もう一度、どうかな?」と柔らかく囁くと、謝憐はなぜか少し頬が熱くなるのを感じながら「………いいよ」と答えました。
これサイコロの話ですよね?
そしてまたカラカラとサイコロを回し、蓋を開けるとふたつとも4の目です。
「どう?少し大きくなったんじゃない?」と花城が尋ねます。
謝憐は少し頷いて「うん………大きくなった」と答えました。
花城は優しく微笑みながら「とても上手だよ。続けて」と言います。
これサイコロの話ですよね?
そんな時、上方に吊られている郎千秋がとうとう見兼ねて「もう振るのをやめろ!どう考えても騙されてるに決まってる!」と叫びますが、下にいた鬼たちからサイコロを大量に投げつけられ、
「余計なことを言うな!今いいところなんだ!」
「お前は何もわかってない!」
「あの道長は城主の教えた通りにやってどんどん良くなってるじゃないか!」
と一斉に文句を言われたので言い返そうとした瞬間、突然声が出なくなります。数人の女鬼たちが千秋の腰帯をグイッ!と引っ張ったからです。
「もう黙ってな!これ以上くだらないこと言うならお姉さんたちがお前のズボンを脱がしちまうよ!」と脅しをかけてきたのでさすがの千秋もすぐに口を閉ざしました。ただ殴られるだけならまだしもズボンを脱がされるくらいなら死んだ方がマシだと判断したらしいです。
謝憐は小声で「………三郎」と声をかけますが、花城は笑みを浮かべ「奴のことは気にしないで。続けよう」と言います。
次に賭盅を振って開くと出た目はふたつとも5でした。
ここまで来たらさすがに謝憐も自分が騙されていることがわかっていました。(※花城は騙すというより謝憐を楽しませようとしていただけということにもちゃんと気付いています)
最初こそ真剣に花城の振り方を研究しようとしていたものの、4の目が出たあたりからはもう適当に身を任せているだけで何もしていないのに出た目の数が上がったのです。
真面目に学べば運気を上げることができるのかもしれないという希望を持ってしまったけれど、そんなものはやっぱりなかったんだということに謝憐は内心ちょっと落ち込んでました。
謝憐は人から何かをしてもらった時にあまり素直に喜べないところがありますよね。風信が888万功徳の借金をチャラにしてくれた時も、君吾が仙楽宮をプレゼントしてくれた時も、花城が運気を渡して勝たせてくれてる時も。
えっいいんですかぁ!?って喜んでおけばいいのに、それをしてもらったことによって発生した他のデメリットについて考えて毎回溜め息ついてるなぁと思います。
損得勘定しない人だからそうなるんでしょうね。損得で考えないのは謝憐のいいところなんですが、こういう場合は短所に傾いているなぁと思います。一長一短。
自暴自棄になり最後はもう投げやりに振ろうとすると、花城が「待って」と握った手にほんの少し力をこめて止め、「兄さんが負けた場合、まだどうするか決めてないよね?」と言ってきました。
彼が「兄さん」と呼んだのを聞いて青玄と千秋はなんともいえない表情を浮かべ、鬼たちは驚きすぎて頭を落としてしまう者まで居ました。
この「兄さん」呼びの文化は中国特有のものだと思うので私も何度か調べたんですけど、いまだにしっくり来てないところがあるので自信を持って説明することができないのですが、とにかく花城が謝憐に向けて言う「兄さん」には親しみや甘えが込められていると思われます。
中国では知らない人にも「兄さん」や「姉さん」などといった呼び方をするそうです。そこに特別な意味はないし普通に言うらしいんですけど、花城の言う「哥哥(兄さん)」は実の兄、もしくは年上の男性に対して言う言葉なんだとか。作中でも謝憐が青玄に水師の話をする際「君のお兄さん」と言った時の原文は「你哥哥」でした。
ただ賭坊に居る全員が「兄さんだって!?」と非常に驚いていた様子を見ると、特別な意味がないとは思えない響きがあったと思うんですね。
中には「城主があれだけよくするなんて、もしかして本当に実兄なんじゃ…?」と疑っている者も居たので、もしかすると賭坊で驚いていた者のほとんどは実兄という意味かと思って驚いていたのかもしれないです。
話を戻します。
たしかに自分が負けた場合なにを差し出すのか考えていなかった謝憐はその場で考えてみますが、宝も法力も何も持っていません。神官の寿命はとても長いので10年分差し出したところでたいした価値はないでしょう。
「私の持ち物で何か賭けられそうなものはある?」
「俺はなんでもいいよ。兄さんは何を持ってるの?」
「…実をいうと、今回持ってきたのは食べかけの饅頭だけなんだ……」
それを聞いた花城は思わず吹き出して笑いますが、笑い終わると頷いて「うん、いいよ。その饅頭にしよう」と言いました。
なんでもいいって言ったもんね。なんでもいいっていうかむしろ彼にとっては欲しくてたまらないものなんじゃないですかね。
この賭坊ではこれまで内臓、寿命、感情、能力などさまざまなものが賭けられてきましたが、饅頭ひとつはいくらなんでも(花城以外には)価値がなさすぎて前代未聞だそうです。
千秋は「俺の価値は食べかけの饅頭ひとつと同じ程度ってことか!?」と絶叫しましたが、青玄が鬼たちに紛れ込みながら「饅頭ひとつで何が悪い!!お前にとっては十分すぎるだろ~!!さっさと黙れ~!!」と野次ってました。
アニメ版だと千秋めがけてサイコロぶつけてる鬼たちに紛れながら風師扇をぶん投げて千秋の頭にぶつけることで黙らせてましたね。
師青玄って本当におもしろい奴だよな!!
「これが最後だ。緊張しなくていいよ」と言う花城に「緊張はしてない」と答えてサイコロを振る謝憐。出た目はやはり両方とも6でした。
何もしなくとも勝たせてもらえることがわかっていたからそりゃ緊張はしないでしょうね。ただ緊張はしてないのに花城と手が触れ合ってる部分にはほんのり手汗かいてたらしいですよ。
原作の謝憐は汗をかくことが割と多いように感じます。意外と新陳代謝がいいんですね。花城は鬼なので汗をかくことはないでしょうから、どっちの手汗かわかんないね~えへへ♡みたいな言い訳ができませんね。
謝憐はこれから初めて「手汗かいちゃうから手を繋ぐのが恥ずかしい」という経験をしていくことになるんですね…。べしゃべしゃになっても花城なら笑って許してくれると思うし、喜んで自分の手のひらに殿下の汗こすりつけるんじゃないですかね。
賽の目を見て花城は片眉を上げながら「おや、俺が負けたな」ととぼけますが、ここまでくれば観客の鬼たちも花城がわざと勝たせようとしていたことがわかっていました。その上で、
「城主は見事だった!彼が勝つまで続けるつもりだったんだ!」
「城主の教え方がうまかったから彼は勝てたんだな!」
「今日はサイコロの振り方を学べたぞ!目から鱗だ!」
などと大盛り上がりしています。ここは花城の信者しかいないんでしょうね。花城が何をしても何を言っても全肯定してますもん。
鬼たちの声を聞いて謝憐も思わず笑ってしまいますが、彼が笑うと花城も笑みを浮かべて赤い雲のような紗幕を軽く撫でました。えっちだ!
「私が勝ったので、お願いしてもいいでしょうか…」と謝憐が言うと、花城は相変わらず謝憐を見つめたまま笑みを絶やさず、目も動かさずに軽く手を振ると郎千秋が降ろされました。
見すぎ。
もうずっっっっっと見てる。日本人だったら失礼に値するレベルでガン見してる。
すごくないですか?いくら大好きでもそこまで人のこと見つめられないと思うんですけど。たまに居ますよね。目が合っても絶対に逸らさないタイプの人。
本尊見せるのめちゃくちゃ迷ってたんだからなおのこと最初はそわそわしたり目が泳いだりしてもよさそうなのに、最初からずっっっと見つめてるんだもん…謝憐じゃなかったら怖がってますよ。
郎千秋はパッと解かれたせいで高所からすごい勢いで落下した音がしたので、謝憐は急いで駆け寄りますが千秋はなんの問題もなく軽やかに1回転して立ち上がり「大丈夫です!ありがとう!」と答えました。
そうしてようやく紅幕から出てきて全員の前に姿を現した花城。
謝憐だけが彼は本尊だと確信していますが、他の者たちは青玄含め、本尊ではなくいつもの偽皮の中のひとつだと思ってるみたいです。
「城主、また新しい姿に変わったのか?」
「この新しい姿かっこよすぎてやばい!死にそう!」
「死にそうってなんだ、とっくに死んでるだろ腐れ婆!」
といったような会話がされてて賭坊内は大変賑やか。
謝憐は花城に向かって何か言おうか迷いますが、花城の態度は謝憐のことを知らないフリをしているような、していないような、なんともいえない曖昧な態度だったので何も言わずに「ありがとう」とだけ言って、郎千秋には「ここを離れましょう」と言い背中をぐいぐい押して歩き出しました。
しかし数歩進んだところで花城に呼び止められ「賭けの品は置いていかないのか?」と言われます。
一応この勝負は謝憐の勝ちだから郎千秋を返してもらったはずですが、花城の言い分としてはその前にサイコロを振った分があるとのこと。
謝憐が「僭越ながら私が~」と出た時よりも前に、青玄の提案で小さい目が出ることを祈りながら振った時に両方6の目が出てしまったことがありましたよね。あれの話をしてるそうです。
き、汚ねええ~~~~~!!!!
なんて奴だ…てことは紅幕の前で「兄さんが負けた場合はどうするの?」と聞いてきた時にはもう貰うつもりでいたってことですよ!負けたらっていうかもう負けてるから貰っていいよね?ってことじゃん!汚ねぇな血雨探花ぁ!!
謝憐は外でえっちな女鬼に絡まれたときもそうですが、この数百年で厚顔無恥な部分がものすごく強くなってしまったというのに花城の前だけではその厚い面の皮がぐにゃぐにゃになってしまってうまく顔を作れないらしいです。
期待を込めて待っている花城に、躊躇いつつも謝憐は食べかけの饅頭を手渡します。もう冷えてて固くなってるよ…とひとこと言っておきますが「大丈夫。気にしないよ」と言われます。
そりゃ気にしないでしょうね。大事なのはそこじゃなくて殿下の食べかけという部分なのだから。
「では……もう行くね?」と言う謝憐に、花城は少し残念そうな顔をしながらも「もう行くのか?……まぁ、いいだろう」と、今度こそ引き止めませんでした。
謝憐も今度こそ振り返らずに賭坊を出ていこうと思っていたものの、数歩進んだところでなんとなくまた振り返ってしまいました。すると花城と目が合います。
花城はまっすぐに彼を見つめ、その手にはさっきの半分残った饅頭が。軽く投げ上げ、謝憐を見つめたまま一口かじりました。
謝憐はまるで自分が噛まれたかのように驚いて心臓はドキドキと鳴り、郎千秋を引っ張り外へ飛び出しました。
官能小説か?
猛スピードで駆けてひっそりとした路地に逃げ込むと、青玄もすぐに追いついてきて合流します。
鬼賭坊で無鉄砲に飛び出した千秋を叱る青玄。しかし千秋は「俺が行かねば代わりに誰かが止めたのか?」と言うので、青玄は「それはそうなんだけど…」とモゴモゴします。
千秋はふと謝憐の方を見ると「さっきは本当にありがとう!あなたが三度も飛昇したという太子殿下か?すごいな!」と純粋に言います。他の神官たちならば「三度も飛昇した」というワードは皮肉でしか使いませんが、千秋からの「すごい」は偏見がなく心からの言葉でした。
この日の血雨探花について謝憐は本尊だと確信しているけれど、あれもきっと偽皮だと話している青玄と千秋には本当のことを教えませんでした。
教えなかったのは優しさだと思います。花城のコンプレックスですから、謝憐以外にはあれが本当の顔だと知られたくないはず。約束を守り誠意で見せてくれたわけですから謝憐もふたりだけの秘密にしたんだと思います。
とにかくまずは火竜嘯天の術を使った者についての情報を集めなければならないので、3人は手分けして調査をして12時間後に再集合することになりました。
青玄は早速調査に出かけたので千秋も行こうとした時、謝憐が「太子殿下」と呼び止めます。千秋が振り向くと、謝憐は笑顔を引っ込めて慎重に彼に向って深々と頭を下げました。
千秋は驚いて「なんで俺に頭を下げるんだ!?」と慌てて謝憐の体を起こそうとしますが、結構な力をかけているのに少しも動きません。謝憐は怪力太子ですからね。
礼を終えてからようやく体を起こした謝憐は「ありがとう」と言います。千秋はますます混乱しますが、謝憐が感謝したのは旧仙楽皇城の亡霊を成仏させてくれたことに対してでした。
郎千秋が飛昇するきっかけだったと青玄に教えてもらったことがありましたね。死の街と化してた旧仙楽国の亡霊数万体を何年もかけて成仏させてくれたと。
千秋は「そんなことは感謝されるようなことではない」と言いますが、謝憐は罪(呪枷)を背負っており法力がないので成仏させることができなかったのだそうです。自分にできなかったことを千秋がやってくれたと。
成仏させるには法力が必要なんですね。成仏というか原文だと『超度』という言葉が使われていて、死者の魂を生者が導いて救う行為だそうです。恨みや未練を抱いてこの世にとどまっている魂を救済するってかんじかな?半月関で半月が目指していたのもこれだったのかもしれない。
あと、法力って人間にもあるんですね…?てっきり鬼と神官にしかないのかと思ってました。飛昇前の千秋がやり遂げたってことは人間時代の話なので、法力を持つ人間もいるってことなのかなぁ。
郎千秋は納得して頷き「あなたにはそうしたい気持ちがあったが、力が足りなかったということか。それで恥じることはない。あまり聞きたくはないかもしれないが、あなたの言う『旧皇城』は後に『蒼城』と名を改め永安国の領土となった。あれは俺の民だ。俺が彼らを超度するのは当然のことじゃないか?だから気にするな!」と言って調査に出発していきました。
元気で明るくまっすぐな千秋の背中を見送り謝憐も心が軽くなったようです。
旧仙楽国民を「俺の民」と呼ぶのなら、元々永安国民である裴宿のことももう少し気にかけてやってほしかったな…。
翌日、3人は再び合流しましたが誰も成果は得られていませんでした。
青玄だけは鬼市で奇妙なものを大量に買い込んでましたが多分どれも無駄なものだと思います。
千秋がずっと顔色を悪くしながら自分の体を袖まで裏返してまさぐって、「大事な物を落としたんだ、おそらく昨日の賭坊だ!戻って探してくる!」と言い飛び出しそうになったのを青玄が慌てて止めながら「待て待て!昨日落としたものが今日まだあると思うか?なくなったなら仕方ないさ、私が新しいのを買ってやるから!」と言います。さすがの財力。
新しいのを買ってやるからと言われたことには「ありがとう風師殿、でもあれは大事なものだから…」と答えていたので郎千秋って本当にいい子だなと思いました。もしこれが慕情だったら「なんでも金で解決しようとするな!!」ってブチギレてますよ。
千秋が失くした物は【護身符】でした。子供の頃に邪気を祓うため使っていたものです。
青玄は「護身符?お前みたいな王族は天子の気で守られてるから、私のような平民だけが邪気を祓うんだと思ってたよ」と皮肉っぽく言いましたが、頭からつま先まで宝物で飾られている青玄を見て、謝憐と千秋は特にコメントせず無視したそうです。
王族(本物)が目の前にふたりもいるのにそれ以上に王族っぽいブルジョワファッションしてますからね。
師青玄て本当におもしろい奴だよな!!
千秋の護身符の話はアニメ版にはなかったので私にはまだ護身符を渡した人物がわからないのですが、なんだか謝憐ぽい空気があります。
護身符と聞いて驚いていたし、子供の頃の千秋が法師に言いつけされていた内容についても意味を理解していたし。これで謝憐じゃないわけがない状態。
『夢の中に現れてお告げをする』というのも神官くらいしかできないと思うんですよね。慕情もよくやるじゃないですか。不細工に彫られた神像が気に入らないから作り直せって文句言う時に。
ただ時系列的に謝憐は追放されて放浪している間でのことだから、神官というより元神官なのに夢の中に現れるなんてことが可能なのかどうかがあやしいところです。法力もないし。
長年持っていた護身符なら今はもう効果がなくなっているはずだから、それでも取りに戻る必要あるかな?と謝憐が聞きますが、ずっとお守りとして持っていたものだから失くしてしまうと何か悪いことが起きるんじゃないかと思って落ち着かないと言う千秋。
謝憐は少し考え込んでから「それならいっしょに取りに戻ろう」と言ってくれました。
あ、好き…って思っちゃった。たぶん花城が心酔したのも殿下のこういうところですよね。海より深い優しさと大きな愛ってかんじ。風信と慕情がいろいろあっても結局謝憐のことを気にしちゃう理由もここにありそう。
ただどのみち賭坊には戻らなきゃいけなかったらしいです。
探している神官についてなんの情報も得られなかったので、これ以上深く探るのであれば鬼王の屋敷に行くほかありません。しかしその場所すらもわからないので、屋敷を探るにしても結局今ある唯一の手掛かりは鬼賭坊しかないんです。
どうせ戻るんだからついでに護身符も探そっか!ということであれば青玄も納得してくれました。
なんか、青玄は謝憐より年下とはいえよっぽど金も人望も法力も持ってる上に任務経験も多いはずなのに、ここでは謝憐に主導権や決定権を委ねて自分は『お手伝い』に徹しているのが偉いなって思いました。元々お手伝いで来たとはいえどこかで先輩風吹かしたくなっちゃうのが人間の性(さが)だと思うんですけども。扶揺のことじゃないですよ。
とはいえこの任務の責任ごと謝憐に丸投げしているわけじゃなくて、何かあった場合は自分の責任だと彼なら言うでしょうし、コミカルな役柄だけど意外とちゃんと冷静な目も持ってるんだなぁって。さすが天庭で『立ち回りがうまい』だけのことはある。師青玄ていい奴だよな!!
3人が鬼賭坊に行くと、前日同様この日も花城が遊びに来ている様子。
ただでさえ花城が鬼賭坊に来るのはめずらしいことなので、2日連続で来ているのはもっとめずらしいそうです。待ってるんでしょうねぇ殿下を!
(前日に小間使いが「城主は最近急に賭坊に興味を持ち始めた」と言っていたので私はてっきり7日前から来ているんだと思っていましたが、最近というか前日に突然興味を持ったってことだったんですねきっと。魔翻訳のデメリットです)
賭坊の階段の前で謝憐はあるものを見て凍り付き、足を止めます。
賭坊に出入りする者たちは笑顔の仮面をつけていますが、階段の上には対照的に涙を流す悲しげな仮面をつけた黒衣の人物がいました。
その人物が振り返り、目が合った瞬間謝憐は寒気を感じます。
青玄が「どうした?」と声をかけますが、謝憐は「なんでもない。君たちは外で待っていてくれ。私が中を探ってくる」とひとりで行くことにしました。
ゆっくりと階段を上り黒衣の人物に近付き、やがてすれ違いましたが依然として心の中の寒気は消えませんでした。
その時、黒衣の人物が賭坊に向かって「鬼市の主、花城にお目にかかりたい」と申し出ます。普通の客ならば鬼王の名を口にすることすらできないので多くの鬼たちが驚き黒衣の人物に注目しました。
賭坊から女郎が出て来て「城主は本日、外の客にはお会いしません」と答えたので、ならば自分も会えないのかと謝憐は不安になります。
しかし女郎は謝憐を見ると深々とお辞儀をして「どうぞお入りください。お待ちしておりましたわ。もう待ちきれなくてとても心配しておりました!」と言いました。花城は謝憐に会うために2日連続で賭坊に来たということですね。
わけもわからないまま女郎に押されて賭坊の中に押し込まれる謝憐。
その瞬間、外から黒衣の人物が「稀世の品を持参した。鬼市の主、花城にお目にかかりたい」と再び声を上げました。
彼の目的はなんなのか。そして「稀世の品」とはなんなのか。謝憐はとてつもない胸騒ぎがしながら大広間へと歩を進めました。
・・・えっ誰~~~~!?
ここまでで綺麗にぴったりと35章が終わったところなので、キリもいいですし今回は終わります。
この黒衣の人物というのはアニメ版には出てこなかったので一体何者なのか私にもさっぱりです。本当に誰?
次回へ続きます。