![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/148286403/rectangle_large_type_2_0c58f89ad8dfc079d0d27da9c2062234.png?width=1200)
化学メーカー DXカオスマップ
はじめに
昨今、DX、DXとバズワード的に叫ばれていますが、世の中の製造業メーカーはどんなことをやっているのでしょうか。
そこで、私が一番なじみ深い化学メーカーの各社がどんなDX施策を行っているのか調査し、カオスマップにしました。
調査方法
調査方法は以下の通り実施しました。
調査対象は、日系化学メーカー 売上TOP10社にて実施(※)
DX施策確認方法は、各社WebサイトのIR情報等を参照
私の独断と偏見で部門ごとにグルーピング化
※下記ランキングよりTOP10社を選出
化学メーカー DXカオスマップ
カオスマップ
作成したカオスマップは以下になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1721742279635-yht41bhhTS.png?width=1200)
研究開発部門、サプライチェーン部門の変革に多数企業が着手
研究開発部門では、マテリアルズ・インフォマティクスが最もDX施策として実施されていました。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは、機械学習などのAI技術を用いて過去の膨大な実験や論文データを解析し、新たな素材や製品の創出や性能向上を劇的に効率化する取り組みです。
例えば、今までですとある製品を新規開発する(狙った性能を出す)ために様々な材料の組み合わせを、様々なプロセス条件の元で実験を行っていました。場合によっては何千、何万通りの組み合わせを地道に実験して、答えに辿りついていました。
MIを使用すれば、AIが過去のデータを基に最適解の候補を見つけ出すことが可能になります。そのため、実験を行う回数が圧倒的に削減でき、開発スピードを劇的に向上することが可能になります。
また、サプライチェーン部門では、データ共創をテーマにしたDX施策が多く取られていました。この辺も、石油化学を代表する川上・川中・川下へと材料・中間品・最終製品が流れていく化学業界において重要視されるテーマとなっているようです。
意外と少ないスマートファクトリー施策
意外だったのが、生産部門のDX化(スマートファクトリー化)をDX施策のテーマとして挙げているメーカーがそこまで多くなかった点です。
IR情報にあえて書いてないだけで、実際には施策が打たれている可能性も大いにあると思いますが、製品開発力や業界全体の最適化により重きを置いて各社取り組んでいることが浮き彫りになりました。
人材育成から見える全社を挙げて取り組む姿勢
カオスマップとは別枠としましたが、10社中8社がDX人材・AI人材の育成をDX施策として挙げており、そのうちの大多数が全社員を対象とした教育プログラムを用意していると記載されていました。
やはり、DXを成功に導く(=変革を成し遂げる)には、ITやOTの知識が豊富なだけでなく、業務プロセスを深く理解していなければならないと考えている企業が多くなってきていることが分かりました。
おわりに
今回の調査より、化学業界のメーカー各社では、DXにより何を成し遂げていくかのビジョンがより具体化できてきており、そのために全社的に取り組む土壌ができつつあると感じました。
今後、化学業界のDX事例の深堀や他業界における調査を実施していきたいと考えています。