未来の標準アーキテクチャ? Unified Namespace(UNS)とは?
はじめに
私が製造業DX(というかシステム化)において一番大事だと考えていること。それは「標準化」です。いきなり脱線ですが、日本において製造業DXが進まない原因の一つは標準化があまりにもされていないことだと考えています。
その話は後日するとして、最近製造業DXの標準となりうるシステム構成は何なのかと考えており、海外の潮流を探るべくYoutubeを探りまくっていた時、「Unified Namespace(以下、UNS)」という言葉を発見しました。
今回は、UNSとは何なのかについてまとめたいと思います。
Unified Namespaceとは
概要
UNSを一言でいうと、ERP~センサー(IT~OT、全社システム~現場設備)のデータを階層形式かつリアルタイムで参照可能な統合データ空間だと解釈しました。現状、ちゃんとした定義づけがされているわけではないようです。
ちゃんと知りたい方は下記の記事及びYoutube動画を見てみてください。
ISA-95との関係
IT/OT統合やシステム間のデータ通信において、よく話題に上がるのは「ISA-95」です。
「ISA-95」では各システムを階層分けし、それぞれの階層にて機能を定義し、階層間にて通信を行うようにして、全体としてデータを共有できるようにします。この手法を用いると既設設備に対しても影響を最小限に抑えてシステムの統合を可能にできます。
しかし、データが各階層ごとに渡って共有されていくため、データにリアルタイム性が欠ける点や上手く設計しないとどの設備の何のデータ化が分かりづらくなってしまう点にデメリットがあります。
これに対し、UNSでは基本的には「ISA-95」の階層構造は維持しつつ、階層全体にまたがる統合データ空間を構築し、各階層から直接データをパブリッシュすることにより、リアルタイムに目的のデータを取得できるものになります。
プロトコル
UNSで使用されるプロトコルは、MQTTが挙げられています。今まではよくOPC-UAを使用されてきましたが、OPC-UAでは1対1の通信を前提としているため、拡張性に課題があります。
MQTTを使用することにより、UNSがブローカーとなり、各階層からパブリッシュされたリアルタイムデータをUNS経由で簡単にあらゆるシステムが参照できるというメリットがあります。
OPC-UAもMQTTのようなPub/Sub形式に対応するべく、OPC-UA Sparkplugという通信規格を公開しており、UNSで使用できるようになるかと思います。(既に使用可能?)
セキュリティ面
セキュリティ面についてはIT/OT関係なくアクセスできるデータ空間となるため、かなり考慮が必要になるかと思います。この辺は調べ切れていないので後日追記していきたいと思います。
おわりに
UNSの思想については、とてもシンプルにデータを共有できるようになるため、製造業DXに対して効果を発揮しそうだと感じました。しかし、セキュリティ面や規格化の有無など不明点も多いため、引き続き調べていきたいと思います。
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