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8月がきた、小池定路を読もう。
小池定路をご存知だろうか。
紆余曲折を経て現在は4コマやBLで活躍しており、ローテンションながら全体に漂うあたたかく優しい雰囲気や丁寧な心理描写が魅力だ。
今回は小池定路先生の作品について語りたい。
ざっくりプロフィール
3月14日生まれ(Wikipedia調べ)。北海道出身・東京都在住。
1999年、アボガドパワーズより発売されたアダルトゲーム「終末の過ごし方」の原画で商業デビュー(当時の名義は小池江里加)。2003年にアボガドパワーズを退社してからはイラストレーターとしても活躍しており、2007年にはライトノベル「大正野球娘。」のイラストを担当した。「魔法少女チキチキ」以後は主に漫画家として活動している。
作品紹介
コミックスが発売されている作品をご紹介。BL作品はタイトルの前に○をつけてます。
魔法少女チキチキ
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月刊コミックラッシュにて2007年10月~2011年10月連載。コミックスはJIVE版(1巻のみ)と竹書房版(上下巻)があり、最後まで読める竹書房版がおすすめ。紙の本は品切れだけど電子書籍なら買えるはず。
ごく普通の大学生・相沢良行の家にある日突然現れた魔法少女・チキチキ。なんやかんやあって良行の家で居候しはじめた彼女が良行サークル仲間や街の人々と交流したり、まれに魔物と戦ったりする様子を描く。
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チキチキの母親は短命で、父はそれをわかっていながら結婚した。父の気持ちがわからないチキチキは、古本屋店主に尋ねる。
店主さんに思い入れがあるのもあり、かなり印象的だったやりとり。
今回紹介する作品の中では最も古いが、後の作品にも引き継がれる雰囲気の良さや短いページ数で物語をまとめあげる能力の高さはこの頃から片鱗が見える。ほんわかとドタバタコメディを足して割ったような、ハートウォーミングなショートコミックだ。
父とヒゲゴリラと私
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2011年2月から2018年11月にまんがくらぶにて連載されていた、小池先生の作品では最も連載期間が長い4コマ漫画。全7巻。愛称は父ヒゲ。
兄・総一と兄の娘・みちる親子の家に、弟・晃二が同居することからこの物語は始まる。
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ちょっと変わった三人暮らしは明るくにぎやか。晃二とみちるが対等に張り合う様子や、総一のマイペース具合が微笑ましい。
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兄嫁・みゆきは物語が始まる前に亡くなった。この作品の根底にあるのは喪失からの再起で、時折シリアスなエピソードが挟まれ作品の雰囲気を締めている。みゆきの生前のエピソードはフリーダムなものが多く、湿っぽくなりすぎないのが大きな特徴だ。
みちるが通っている幼稚園の人々や総一の同僚達など、周囲のキャラクター達もそれぞれ個性的でいい人達ばかり。
とにかく笑いと泣きのバランスが絶妙。楽しく読んでいたはずなのにいつの間にかうるっときて、じんわり心に染みる作品。
ゴーゴーダイナマイツ
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2013年3月から2017年1月、まんがライフMOMOにて連載。全3巻。
新任教師・白鳥うめ子が母校でチアリーディング部復活を目指すところから始まる部活もの4コマ。
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主人公の赤根梨子は母親に女の子らしく育ってほしいと思われており、髪型や私服も母の趣味。しかし本人はいわゆる女の子らしい遊びなどには全く興味がない。母に勧められたピアノではなく隣の空手道場にこっそり通い始めたが結局母にバレ、空手は辞めてしまった。
他の部員達も、スポーツやダンスをそれぞれの事情で辞めている。
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1巻後半からは男子部員も加わり、6名で演技披露を目指していく。回ごとのテーマや大きな目標がわかりやすく、しっかりまとまっていて読みやすい。
登場人物の女子比率が比較的高い作品なので、あぼぱ時代や大正野球娘。の印象が強い方におすすめ。男女問わずカラダネタがちょくちょくあり、そこで読む人を選ぶかも?
若旦那はザンネン。
![](https://assets.st-note.com/img/1722433865572-V5UfrtpMHJ.png?width=1200)
2019年2月から2021年5月まで、まんがくらぶ→まんがライフで連載。全3巻。ニコニコ漫画で3話まで試し読みできる。
小さな商店街が舞台の町おこし4コマ。中心的な人物は過去のトラウマから人と目を合わせて離せない主人公・榊しのぶと、偶然お茶屋さんにやってきた大学生・日ノ出晴太郎、しのぶの妹で彼氏とラブラブな榊風子の三人。
担当さんから「このビッグウェーブに乗りたまえよ」と言われたのですが(※そんな言い方はしてない)、ジャンル違うしどうなんだ…、と思いつつも1巻発売の時に上手く宣伝しきれなかった悔いがあるのでアップしておきます。
— 小池定路(8/8単行本発売) (@koike_sadaji) July 31, 2020
『若旦那はザンネン。』1話 1/2 pic.twitter.com/aYgPQR83T4
1話で話の方向性を見せてくることが多い小池先生の作品の中ではスロースターター。本格的に物語が動き出すのは3話から。
個人的にはお茶屋さんの外・商店街にも世界が広がってからの話が好き。舞台が舞台なのでお茶に関する豆知識もあり、読み終わったらきっとお茶を飲みたくなる。雑誌でカラーだった所がちゃんとカラーで読める電子書籍版がおすすめ。
○日々、君
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2019年6月~2021年7月までpixivコミック・まんがライフ女子部→BamB!で連載。初の商業BLであり4コマ漫画。全2巻。pixivコミックで3話まで+描き下ろしエピソードが読める。
と言うわけで、まだ読んだこと無いわー、と言う方はお暇な時にでもどうぞ。
— 小池定路(8/8単行本発売) (@koike_sadaji) July 28, 2020
『日々、君』1話 1/2 pic.twitter.com/RskG9OLKJ4
家事スキルゼロの脚本家・蓮野さとるが大学の後輩・日暮いつきに家事手伝いのバイトを頼むことから始まる、無自覚両片想いBL。ふたりがゆっくりと距離を縮めていく様子に自然と頬がゆるむ。
4コマで培われた1本1本オチをつけつつストーリーを進める能力が遺憾なく発揮されており、萌えとしんみりと笑いのバランスが見事。対比やコマ内のキャラクター配置など演出に磨きがかかっている。2巻の60-61ページには痺れた。
実は完結告知が一番ショックだった作品。使っている電子書籍サイトの初動がよさげだったのもあり、もう終わっちゃうのかとしばらく落ち込んだ。
ブログには続編……というか合間のお話が掲載されている。気になった方はそちらも是非。
○キラキラしても、しなくても
![](https://assets.st-note.com/img/1722434051244-STjCH9WaR0.png?width=1200)
8月8日上下巻同時発売予定の最新作。2022年5月~2024年5月、webアクションにて連載。公式ハッシュタグは「#キラして」。
恋に希望が持てないゲイ男子の話(1/4) pic.twitter.com/h8yTh6ExUq
— 小池定路(8/8単行本発売) (@koike_sadaji) June 11, 2022
生きづらさを抱えた男子高校生たちの青春を描く、今回紹介する中で最もシリアスなオムニバスもの。まだ発売前なので詳細は控えるが、今まで発表された作品にある要素がたくさん詰まった集大成的な作品だと思っている。
先に紹介した第1話の他、webアクションや作者の公式X(旧Twitter)で一部のエピソードが公開されている。
【9/15追記:キラして感想記事書きました】
さいごに
今回紹介した作品は、キラしてを除きすべて竹書房から出版されている。
つまり竹書房の日キャンペーン対象なのだ。この機会にぜひ読んでほしい。
キラしての発売や準備中だという新作発表を楽しみに、この記事を終えようと思う。
画像引用元
魔法少女チキチキ
表紙:Amazon
本編画像:上巻 P.158
父とヒゲゴリラと私
表紙:Amazon
本編画像:1巻 P.20、2巻 P.5
ゴーゴーダイナマイツ
表紙:Amazon
本編画像:1巻 P.32、P.93
若旦那はザンネン。
表紙:Amazon
日々、君
表紙:Amazon
キラキラしても、しなくても
表紙:Amazon