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「リアリティが違う」(TORGを紹介する①)
仕事などで、「あの人はなんでああするのかなぁ」と感じることってありますよね。そんなとき、私は「リアリティが違うから」と考えます。
その視点を自分に与えてくれたのは、テーブルトーク・ロールプレイングゲーム「TORG」をプレイしたことで得たのだと思っています。その意味では、人生に影響を与えたゲームであるともいえます。
リアリティ
2024年、「TORG」について説明する機会が4〜5回かありました。もう一度自分なりに言語化しておきたいと思います。
TORGは、「リアリティのゲーム」と言えます。TORGの”環境”(混乱を防ぐため、ここではルールブックにも表現として現れる、世界とも宇宙とも書けません)には、異なる複数の世界があり、世界にはそれぞれのリアリティがあるのです。
TORGの背景設定のベースを「リアリティ」を用いて表現すると、以下のようになるでしょうか。
「異なるリアリティを持った7つの世界(コズムと呼ばれます)が、同時にコアアース(地球)に侵略してきた。侵略者は、コアアースの一部に自身のリアリティを持ち込んでいる」
TORGにおけるリアリティは、魔法・社会・信仰・技術の4つの尺度(アクシオムと呼ばれます)と、World Law(世界法則)と呼ばれる決まりであらわされます。
例えば、「アイル」と呼ばれるファンタジー世界の魔法アクシオムは24、技術アクシオムは14です。地球(「コアアース」)は魔法9、技術が23です。「アイル」にジェット戦闘機やインターネットはありませんが、それは技術が進歩していないからでは無く、技術アクシオムが14と決まっているからです。
同様に、原始世界である「リビングランド」の社会は7、「コアアース」での社会は23です。「リビングランド」では、近代的な軍隊のような組織行動や戦術をとることはできません。ここで言う”できない”は、”そもそも、その概念が存在しない”のです。つまり、「リビングランド」で近代の組織行動がとれないのは、進歩が遅れているからではなく、"そういうところ(社会アクシオム7)だから"なのです。
北米大陸東海岸はリビングランドのエリアになったのですが、アメリカ軍はリビングランドの原始時代の軍に勝てません。現代兵器が機能しない(リビングランドの技術アクシオムは6、アメリカの装備は22〜23を要求します)し、前述の通り、戦術も「全員突撃」くらいしか理解できません。そして時間経過とともに、そこにある近代ビルは岩の塊になり、人々は原始人に変わっていくのです。
注意すべきは、ここでいう「変身」は肉体や所持品が変わるだけではありません。変身する人の「アクシオム」と「世界法則」も変化するのです。つまり、コアアースの人間がリビングランドに変身すると、人間ではあっても「リアリティ」が変化します。そうすると、それまでスマートフォンや自動車を使ってネット投資や交通ルールを守る運転などができなくなる、それらの概念も想像もつかなくなるのです。スマートフォン・自動車・ネット⇒技術アクシオムが、投資・交通ルール(・ネットも社会の要素があるかも)⇒社会アクシオムが足りないのです。
なお、地球上での侵略先と、侵略者のリアリティは、おおよそ以下の通りにになっています。
イギリス、北欧:ハイファンタジー世界 「アイル」
フランス、スペイン:サイバーパンク+中世暗黒時代+秘密警察による抑圧 「サイバー教皇領」
北アメリカ東海岸、西海岸、カナダ北西部、ユカタン:ハガードやバローズの秘境冒険・ロストワールドもの、密林、恐竜 「リビングランド」
エジプト、リビア、スーダン:1920年代のパルプアクションヒーローvs悪漢+古代エジプト 「ナイル帝国」
インド、パキスタン、バングラデシュ:ゴシックホラー 「オーロシュ」 (オリジナル版では東南アジア)
日本、朝鮮半島、中国:陰謀、企業による支配、ハードボイルド、侍、バイオテクノロジー 「パンパシフィカ」 (オリジナル版では日本「ニッポンテック」)
ロシア(ヨーロッパロシア、ウラル):実体を持ちサイバーパーツで強化したテクノデーモンが暴力と苦痛により支配する世界(ターミネーターの未来世界の支配者がテクノデーモンになったイメージです) 「サーコルド」 (オリジナル版ではロスアンゼルス)
以下のリンク先の「The World」の項にある「Cosms」を展開してみてください。地図で見ることができます。
可能性
侵略者の狙いは「ポシビリティ」(可能性)と呼ばれるエネルギーの略奪です。彼らは、いくつもの世界を侵略してポシビリティエネルギーを略奪してきました。さらに「地球(コアアース)」と呼ばれる世界を見つけ、侵略しようとしますが、コアアースはエネルギーが膨大であり、単独ではリスクがあり共同歩調をとることにしたのです。もちろん、彼ら同士はライバルなので出し抜こうとしています。ポシビリティエネルギーを集めて、侵略者を超越した存在であるTORG(トーグ)になるのが、彼ら侵略者の目的なのです。
ポシビリティエネルギーは、侵略したエリアにいる人々から(も)吸い上げます。「スティリー」と呼ばれるものを設置し、それを頂点とする3角形のエリア(「ゾーン」と呼ばれます)を作るのです。
上記のリンク先→「The World」→「Cosms」を参照してください。
そのゾーンは侵略者のリアリティになっていき、その中の人もモノも徐々に変わってしまいます。ゾーンには侵略者の自世界との連結を行う「メールシュトロームブリッジ」を置いて(落として)、それを通じてポシビリティエネルギーを吸い上げたり、軍隊を送り込んだりします。
侵略者のリアリティでは、それだけが”現実(まさにリアリティ)”であるわけですから、外から来た人は自分の現実を実現することができない(前述の自動車運転など)というわけです。
ところが、別のリアリティの下で自分のリアリティを実現する力を持つ者もいます(「(”現実”とは異なる)矛盾を起こす」と称します…原始世界での自動車運転は「矛盾してる」ですよね?)。
これを「リアリティ能力者」と称し、その力を使って侵略者と戦うのが、プレイヤーが操る「ストームナイト」です。
(続く)
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