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ネイチャーフィールドⅩ~生命体観察マガジン(昆虫)2020・07 その11
ネイチャーフィールドXの番人かつ変人の、20.315です。
7月に入っても中々晴れませんね、梅雨前線は日本列島に停滞したままで至るところで災害が起きています。謹んでお見舞い申し上げます。
ネイチャーフィールドXにももちろん7月に入り、昆虫相にも変化が訪れています。冒頭の写真は7月上旬、カナブンがカマキリに狙われている瞬間を撮影したものです。
この写真から、2つの事柄が発見できます。ひとつは、カナブンが飛来してきていることから、ネイチャーフィールドXにも夏が来たという事実、もうひとつはカマキリが幼体→こどもに成長してきているという事実です。
カマキリの体長はおよそ5センチほど。あと1カ月もすれば翅もしっかり生えて、立派な成虫になることでしょう。
でも・・・。
写真をよく見てください。カナブンの大きさとカマキリのこども、どう考えても、カマキリがカナブンを捕まえるには、カナブンが大き過ぎます。言い換えれば、カマキリが小さすぎます。
「おいカマキリ、それはちょっと無謀ちゃうか?」
と20.315は傍から問いかけました。
案の定、5分後には、カマキリも捕食するのを諦めて移動してしまいました。やっぱりね。
↓ タマムシ、発見!!
まるで生命体とは思えない、翅が虹色の光沢を放つタマムシ。美しい。
が、よく見ると、翅に2つの裂傷があります!!
「どうしたん、その翅、何で傷ついてるん?」
と聞きましたが、もちろん返事はありません。蛹化(ようか=幼虫から蛹になる様子)した際に傷ついたのか、蛹(さなぎ)から脱皮した時に傷ついたのか、脱皮したのち体全体が乾燥して完全変態を成し遂げた後に傷がついたのか、それはわかりません。
この堅い上翅(じょうし)の裂傷から、これは脱皮した直後についた傷ではないか、だとしたら、このタマムシは飛べないのではないか?と彼の不安が20.315にも伝わってきます。
予想は的中しました。見ていると、上翅を広げて飛びたとうとするのですが、下翅もうまく広げられず、飛びたてません。何度もトライするのですが、やはり飛ぶことはできず、やがて植物の葉から転げ落ちてしまいました・・・。
タマムシは成虫後、約1カ月で短い生涯を終えます。このタマムシは、一生飛び立つこともままならず、おそらくこのままお亡くなりになるでしょう。あるいは、別の昆虫に捕食されて一生を終えるでしょう。そもそも、食事ができるのかどうかさえ不明です。
彼の運命を変えることは20.315にもできません。これが自然の摂理です。
ネイチャーフィールドXで、激しく生い茂った各種植物を刈り取っていたら、今度は漆黒の甲虫を見つけました。
「ん?なんだこの虫は、大型のゴミムシか?」
と思って捕まえてみると・・・
↑ ノコギリカミキリでした!
カミキリ類の中でも、ゴマダラカミキリやゴマフカミキリなどは比較的おとなしい種なのですが、こいつは違います。図体や触覚が大きいのですが、とにかく動き回ります。従って、静止しているシーンの撮影ができず、思わず手で掴んでから、撮影にこぎつけました。上下に写っているのは、作業手袋をしている20.315の親指と人差し指です。
いや~、まさかノコギリカミキリと出会えるとは思いませんでした。
いうのも、このノコギリカミキリは、主として針葉樹を好む種です。ネイチャーフィールドXには、一本だけ針葉樹が生えています。それは槙(まき)なんですが、胴回り直径1.5メートル、高さ約20メートルの巨木です。食材は針葉樹に限らないので、朽木がたくさんあるネイチャーフィールドX内での生育も可能です。ノコギリカミキリは、この槙を餌にしているのでしょうか。
それにしても、ノコギリカミキリを発見したのはラッキーです。20.315にとっても実は初めての体験なのです。ネイチャーフィールドX、最高!
↑ タケトラカミキリ。
こいつはすでに5月下旬からネイチャーフィールドXにたくさん存在していたカミキリです。体長1センチ程度のスマートな体型で、とにかくすばしっこく飛び回る身軽なタケトラカミキリ。
その名が示す通り、体表面がトラ模様となっていて、かつ乾燥した竹に棲みつく習性があるカミキリです。
ネイチャーフィールドXはもともとバンブーフィールドと言っていいほどの竹林でしたから、当然の結果ですね。
現在、生きている竹はほとんどありませんが、朽ちた竹なら無数にあり、タケトラカミキリたちにとっては楽園みたいな環境でしょう。
↑ こちらは、マメコガネちゃんです。かわいいですね!
人間など外敵を察知すると、後脚をピンと天に向けて伸ばすクセがありますが、その様子も微笑ましく、とってもかわいい。
こどもなら一度は捕まえて手に取ったことがある甲虫の代表格ですね。
でも!
USAでは農業の典型的な害虫とされ、「ジャパニーズ・ビートル」と呼ばれて敵視されているので、20.315的には「なんでやねん!」という気持ちです。こんなにかわいい昆虫なのに。
とはいっても、我が国日本でも農作物の害虫として対処されているので、「かわいいでちゅね~」とかいってたら農家の方から怒られそうです。
↑ コクロコガネ。
広葉樹を好む、中型のコガネムシです。大きさは1.5センチ程度、カナブンとマメコガネの中間あたりの体長です。
そんなにたくさん見つかる種ではないのですが、ネイチャーフィールドXにはケヤキやクヌギなど広葉樹の木々が生えていますから、コクロコガネにとってもいい環境なんでしょう。
最後に、外見はとても美しいゴミムシを紹介しましょう。
↓ スジアオゴミムシです。
名前こそゴミムシとついているので、ちょっとかわいそうなんですが、頭と胸がこんなに銅色の光沢があって、上翅にきれいな縦縞模様があるのに、ゴミムシって、こりゃ名称変更してあげた方がいいんじゃ・・・。
ご覧ください、この美しさ。ゴミムシといえども、それはオサムシ科アオゴミムシ亜科に属しているので、オサムシ類といって差し支えないでしょう。
オサムシ類は美しく綺麗な種も少なくないので、コレクターも存在しています。故・手塚治虫氏がオサムシ収集家としてペンネームまで「おさむし」にして「治虫」としたことはあまりにも有名なエピソードですね。
このスジアオゴミムシもとにかく動き回ります。撮影するのが大変で、やっとのことで捕まえることができました。後ろ脚を握って、ようやく撮影に成功!
ただし、何度もいうようですがオサムシ類はとにかく臭い!
ので、撮影し終えたらすぐに逃がしました。バイバイ!
※撮影は全て20.315、場所も全てネイチャーフィールドX。