ポストコロナは次代のロスジェネ量産?
あまりセンセーショナルな事は書きたくないのですが、今後数年間はウィズコロナ→ポストコロナへと移行していく過程で、かなり経済的なダメージが膨らんでいきそうな気がします。
すでに経済的ダメージは各業界で表面化してきていますが、恐らく今後もボディブローのように日本経済をむしばんでいく可能性があります。
JALやANAが新卒採用中止を発表しました。現状内定を出している人を除いて、全て中止です(一部の障がい者およびパイロットを除く)。これは、一人航空業界だけの話にとどまりません。
JR各社は新幹線利用客の減少により、株価が過去5~7年来安値で推移していますが、今後採用活動に影響が及ぶ可能性もあるだろう、と20.315は見ています。
人を乗せる空運、陸運に直結するホテル、旅館などの大手の宿泊施設も状況は似たり寄ったりだと思われます。もちろん、中小の施設はもっと苦戦、否、苦悩していることでしょう。
アパレル業界や外食業界では、店舗閉鎖のニュースが飛び交っています。
街角やモールなどから店舗が消えていくのです。ということは、テナントを管理したり売買する不動産業界にも影響が及びます。
店舗需要にダメージが及ぶと、テナント料金や地価の下落に繋がります。ただでさえ、リモートワークに移行したり、ワーケーションが推奨されるご時世ですから、都心の物件は空室が目立つようになり、ますます値段が下がります。
IT業界のみならず、いろんな業界でオフィス縮小の動きも見られます。
乗る人が減り、泊まる人が減り、買い物する人や外食する人が減る。「移動」に関連する消費が、この3月以降著しく減少し、店舗やオフィス需要も減退してきているわけです。
こうして様々な業界で相対的に仕事量が激減しているため、いろいろな企業で「人減らし」が大きな課題になってきています。それは、リーマンショック以上のインパクトを持つものでしょう。
7月28日に放送された「ガイアの夜明け」を見た方もいると思いますが、JALの戦略子会社ZIPAIR(LCC)にこの春中途入社したCAの方が登場していました。3児の母で長年の夢だったCAになった努力家の女性ですが、今回のコロナショックで初就航が遅れ、7月になっても新たな減便に直面して「先行きが不安になる」と呟いていましたね。
こうした負のスパイラルがどこまで進むのかは、誰にも予想できません。
そういった過程は、人間心理に「将来への不安」を想起させるので、消費行動の抑制にも繋がる可能性もあります。特に日本は、慎重(または心配性的)な国民性ですから、「将来への不安」が頭をよぎると消費抑制や貯金・貯蓄に走る傾向が強い。こうした状況下で「投資」行動をとる人は多くないでしょうね。
消費抑制は、さらに様々な業界の売上減少へ波及していく恐れがあり、景気はどん底へと突き進む可能性すらあります。
採用停止や雇用停止から、今後は、従業員の総数を減らす雇用調整=リストラが主流になるかもしれません。
以前、就職氷河期世代をロストジェネレーションと呼んでいましたが、2020~2023年が次のロストジェネレーションになる危険性もある、と20.315は考えています。
現下の状態は、ロスジェネを生み出してしまうのでしょうか?
こんなことを書くと、総悲観論になってしまいますね。
何か明るい話題、景気のいい話はないかなと探してみると、ないわけではありません。
企業業績から見る景気の状況
第一四半期の業績が出揃い、2020年3月期の予想を出す企業も出始めていますが、想定通り、第一四半期は「土砂降り」の大赤字を出している企業も多いですし、期末も「新型コロナの影響がこれ以上でないと仮定」した業績見通しになっています。
「そんなアホな、新型コロナの次の波が来ないわけないやろ」
とも思いますが、どれぐらい大きな波になるか誰にも想像できない以上、やむをえません。
ただ、そんな中においても、「凄いやん!」と喝采したくなる企業もあります。
2020年7月29日現在、過去10年間で最も高値を更新している企業(ファンド含む)45銘柄を見てみましょう。※日本経済新聞のサイトから。
45社のうち5社がホームセンター関連です。上からDCM、コーナン商事、ケーヨー、アークランドサカモト、ニトリの順です。
緊急事態宣言の際、ホームセンターへの営業自粛要請をどうするかでもめていましたが、結局見送りとなった経緯があります。営業自粛見送りは、結果的に効果絶大だったことがわかります。実際、20.315も緊急事態宣言中に近所のホームセンターに行きましたが、まさかの「駐車場満車」でした。
誤解を招くといけないので付記しておきますが、ホームセンター各社とも、3密回避策を講じて営業努力していたことも奏功しています。
過去10年来高値45銘柄のうち、次に目立つのがスーパーマーケットやドラッグストアの業界です。上から順に、神戸物産、ヤオコー、マキヤ、カワチ薬品、ウェルシア、コスモス薬品、ライフコーポレーションの7社です。
近年のドラッグストアはスーパーマーケットに限りなく近づいていて、通常の食品類はもちろん、総菜や弁当まで売っているところもあります。すごもり消費といわれますが、こうした小売業は今後も伸長していく可能性がありますね。
ホームセンターも、ライフケア商品を揃えていますから今後も期待できそうです。
そのほかの企業を見ても、食品、化学、電気機器、サービス、ITなどありますが、いずれもこのコロナ禍の中、食生活、ライフケア・ヘルスケアにうまく適合した企業ばかりです。
これから就職や転職を控えている方は、このあたりも押さえておくといいかもしれません。ただし、今現在よくても3年後、5年後もいいかどうかはわかりません。10年後は、全くわかりません。
短期的悲観から中期的楽観へ
今、消費が盛り上がっている(結果的に消費者に支えられている?)業界も、景気後退局面では消費者の財布のひもが固くなると(今ならチャージが減ると?)経営が厳しくなるところが出てくるでしょう。
今後、あらゆる業界で再編が始まるのではないでしょうか?
どのような企業も、経営(または売上)規模に応じた体制への最適解を求めるでしょうから、M&Aを模索したり、銀行が主導的に誘導するケースも増えるでしょう。
すでに、株価が相当低迷しているケースがあるので、世界的にはM&Aが活発になってきています。
合併や吸収等が増加すれば、従業員のリストラもまた自ずと増えます。
こうした潮流は、縮小均衡をめざすものです。「短期的悲観」とはこうしたケースということになります。
何か、打開策はあるのでしょうか?
残念ながら現状では、これといった打開策は見当たりません。
これは日本のみならず、各国も同じです。
唯一あるとすれば、ワクチンが開発されて「もう大丈夫」と国民が安心できる状況が生まれることです。しかし、ワクチンの開発は相当時間がかかるといわれています。
たったひとつだけ、ワクチンが開発されるまでの当面の処方箋があります。
ネットメディアなどでは噂されていますが、「消費税減税を標ぼうした、衆議院解散、総選挙」です。10月あるいは来年1月から1年間、消費税を5%に戻す。あるいは、思い切って撤廃!
1年間あればワクチン開発も見えてくるでしょうし、治療方法も多様化して「新型コロナは脅威ではない」という状況になるかもしれません。
もちろん、これは賭けですね。
でも消費税が減税されれば、消費者の行動には大きなインパクトがあると思います。安倍政権も、これで任期までもちます。
やるなら、今でしょ!
これが実行されれば「短期的悲観」は最小限に食い止めることができるかもしません。感染防止策をとりながら、空運や陸運にもお客様が戻ってくるでしょう。
ZIPAIRのCAの方に、任務が少しづつ増えていくことを祈るばかりです。
次代のロスジェネを生まないように、できるかもしれません。
何だかんだいっても、日本の消費者は「お得」に敏感な民族なんです。
ちょっと脱線しますが、例の「COCOA」(接触確認アプリ)のダウンロード数が伸びなくて厚労省も困ってますね。こういうものこそ「ダウンロードしたら、もれなくマイナポイント5000P!」とマイナンバーカードと連動させればいいのに、と思うんですが・・・。
いずれにしても、「短期的悲観」がワクチン開発や治療法の確立で短期で過ぎれば、次の「中期的楽観」が必ず来ると20.315は信じています。
※写真は全て20.315が撮影。本文とは直接関係ありません。
※本文内容は、あくまで個人的見解です。
※投資はあくまで自己責任でお願いします。