この家と4人の過去に、いったい何が?
20年前。4才のジェミを助けるため、4才のきいろが強盗をやっつけて、現場にいあわせた4才のアクとキャンが、事件をかくした顛末。
「知らない人んち(仮)」第3話 謎解きアイデア
今をさかのぼること20年前……きいろ、ジェミ、アク、キャンの4人が4才のとき。この家が、まだ児童施設ひまわりだったころ、強盗が押し入った。
ナイフ片手の、強盗が押し入った部屋が、今の【暗室】。
そのとき、部屋(現在の暗室)で遊んでいたジェミに、強盗がナイフを突きつけて金銭を要求。子供たちの悲鳴を聞いて飛んできた竹田先生。おびえて泣き叫ぶ、きいろ、アク、キャン以下、ひまわりの子供たち(ゆきりぬ、きりたんぽ、えみりん、前川歌音、頓知気さきな、佐藤菜月)
強盗にナイフを突きつけられて、火のついたように泣く、人質のジェミ。「ここは養護施設だ。金はない!」……訴える竹田先生だが、興奮する強盗は聞き入れない。逆上した強盗は、ジェミにナイフを突きたてる。
そのとき……間一髪。きいろが、オモチャの水鉄砲を撃って、強盗の目をくらませた。
不意を打たれた強盗は、すべって、机の角に頭を打ちつけて、血を流して死んでしまった。
竹田先生は、意図せず、犯人を永久に成敗したきいろを守るため、また児童施設ひまわりを守るため、(自己の監督責任を回避する、無意識の保身のためもあり)、完全にこと切れている強盗の死体を、部屋(現・暗室)の押し入れの、【オモチャ箱】に入れて、土をかぶせた。
理科の実験のようにして。
あれから20年。強盗は、今では骨にかえっている。その骨がまだ、捨てられず(遺棄されず)、暗室の押し入れのおもちゃ箱に、今も眠っている。児童施設ひまわり閉鎖のあと、竹田先生がこの家に住んで、朝夕、弔いの念仏をとなえている。
不幸な事件の現場に居合わせた、きいろ(とっさに水鉄砲を撃ってジェミを救った行動力が、心に闇をかかえる結果となって、記憶喪失を発症。4人の中で、まっさきに、児童擁護施設ひまわりを出たきいろ。あまりに重い心を背負いつづけ、成人したきいろ)。遅まきながら20年たった今、事件を明らかにし、現場に居合わせた4人それぞれが、暗い過去を清算し、4人それぞれの【未来】へ進むため、ジェミと協力し、事件現場へ戻ってきた。
きいろの決意を聞き、きいろと2人、勇気を胸に事件現場へ戻る決心をしたジェミ。危うく強盗に命をとられそうになった被害者にして、きいろに殺人を犯させてしまった自責の念をかかえるジェミは、2度と思い出したくない過去に、再び向き合う。
また現場の目撃者にして、竹田先生を助けて=泣いてすかして、竹田先生を動かして、事件を隠した(ないことにしてしまった)アクとキャン。仲間のきゃんとジェミを守るため。なにより、自分たちの家=児童養護施設ひまわりを守るため。4つの子供でも、自分の家を守る本能は強い。自分たちの家は、自分たちで守る意識の強かったアクとキャン。血の繋がった家族でないからこそ、仲間同士の連帯は強く、家の意識も強かった。
とりわけアクは、強盗を前に、おしっこを漏らしただけで、ブルブル震えて何もできなかった自分を、今も責めている。水鉄砲を撃った、勇気あるきいろを羨む気持ちを、今も抱えているアク。子供時代から、きいろが好きだったアクの複雑な気持ち。
そのアクを、子供時代から愛慕しながら、言い出せないキャン。アクの心が自分にないことを知りつつも……アクが今も、(大人になってからも)きいろに心をよせていることを知っていながら、そのアクをひそかに愛しつづける、いちずなキャン。キャンは、子供時代からきいろと大の仲良しだったが、恋敵としてのきいろを恨む気持ちを消せない。
ジェミはジェミで、心ひそかにアクを恋して、アクいちずのキャンとは、ライバル関係にある。
きいろはきいろで、子どもながらに、アクに想われていることを知りながら、素直になれず(はずかしさもあって)、アクをキライなフリを装ったまま、大人になった。
大親友のジェミとキャンも、ひまわり時代から、アクを恋していることを知っているので、なおさらだ。きいろは、アクに好かれる幸せに飛びあがることなく、心苦しい気持ち、やましい気持ちを、4つの頃から、ずっとずっと、かかえてた。
だから、ジェミとキャンに、「アクが好きなの」……打ち明けられたきいろは、2人を応援するフリをして、自分も「アクを好きだと」は言わなかった。
自分のほんとうの気持ちを、どうしても言い出せなかった、きいろ。友だち関係を、こわしたくないから。ジェミもキャンもアクも、大切な、大切な、きいろの家族だから……ひまわりで、ずっとずっと、幸せに暮らしていたかったから…………
ジェミもキャンも、そしてただ一人の男性アクも、この純粋な同じ思いを共有していた。
そんな4人が(恋の四角関係)、強盗事件をきっかけに、さらに、ねじれた関係になる。
自分たちに罪はないのに、強盗事件に巻きこまれ、成人後も、それぞれの重い苦悩にさいなまれる、善良な被害者4人。
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