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②物流業界との出会い、事業を成功に導く3つのValues

渡辺:会社やプロダクトについてお伺いしていきます。前回も少しお話頂きましたが、物流に興味があったということで、どういうきっかけで興味を持つようになりましたか?

高柳:僕は学生時代バックパッカーをやっていて、家を2〜3か月空けていました。その時、空けている日本の家に家賃5万円発生して、インドなどを周る時は一泊100円以下で泊まって、そこの差分にとてもストレスでした。なぜ家に住んでいないのに家賃5万円が発生するかというと、テレビやベットなどの家具家電が有るからです。それをトランクルームのようなところに預けられれば良いなと思いましたが、当時見渡したら(トランクルームのようなサービスが)ありませんでした。

社会人になってそういうサービスをやりたいと思っていましたが、ビジネスモデルなどを描くことも出来ずに、実現できませんでした。しかし2015年にサマリーポケットやMinikuraというサービスが出てきて、「僕がやりたかったやつだ」と思いました。チャプターエイトという会社に入るしかないと思い、チャプターエイトで働きつつ、サマリーポケットにも入りました。サマリーポケットさんには副業禁止と言われましたが、なんとかお願いして。チャプターエイトには、本当にやりたいことなのでやらせてくださいと言って、双方に了承を得て入社しました。

サマリーポケットチームに入ってやったことが、UI・UXの改善やBizDebでした。倉庫のオペレーションなどは寺田倉庫さんから出資を受けていたので、すごく改善できる。UIも優秀なチームだったので改善できる。でも全体のUXを改善できないボトルネックがあって、それが何かというと物流だったんですよ。クロネコヤマトさんのオペレーションに則るしかなく、全体のUXとしてはここがボトルネックとして改善できず、物流はとても偉大だなとそこで気づいたんですね。そこで、物流は偉大だ=好き、興味がある分野に変わったというのがタイミングですね。

-とても面白いですね。当時一番最初にやっていた事業は、今やっているTODOCUサポーターとは少し違う観点のプロダクトでしたよね。

高柳:一番最初は再配達を減らすことをコンセプトにしていたので、直接的なサービスですね。再配達はなぜ起こるかというと、受け取れないから起こる。僕自身も朝早く出かけて、夜遅く帰ってくるので荷物を受け取れないことがあったので、その体験から「お金を払ってでも夜に届けてくれれば良いんじゃない?」と思い、夜間配達サービスを一番最初に出しましたね。受取人さんからお金を貰うモデルですね。

-直感的に都会などには良さそうな気がしますよね。ずっと働いていて夜間しか無理な人などに向けて。

高柳:一定のユーザーは集まりましたね。ニーズはあるなということが分りました。

-当時の泥臭いエピソードなどの思い出はありますか?

高柳:当時は、ビラ配りをとてもやっていましたね。渋谷の街で「夜間配達はじまりま~す」みたいな感じで(笑)そしたら、有名な会社の方などに応援してもらえましたね。
夜間の配達サービスなので、夜間待機していました。

-当時、しっかりと寝ていました?

高柳:寝てはいましたね。夜間は1時までやって、その後寝るみたいな感じでしたね (笑)

-とても大変ですね。最初の仲間集めはどうやっていたんですか?

高柳:新卒時代の友達や、働いたことがある方を中心に集めました。学生時代でバイト一緒だった人、もともと一緒に働いたことがあったエンジニアなどそういう方に声をかけました。

-その時は何人くらい集めてプロダクトを作ったんですか?

高柳:一番最初のプロダクトの夜間配達に関しては、高校時代の友達にチャットボットを作ってくれない?とお願いしました、無料で(笑)

-面白いな~。その夜間配送サービスからピボットされたということで、ピボットされたときの思い出話はありますか?どういう感じでピボットされましたか?

高柳:実はピボット前提で作ったサービスが夜間配送サービスだったんですよね。夜間配送サービスのロゴは位置情報のロゴになっていて、それも前提としてやっていました。なぜ夜間配達サービスでやったかというと、夜間配達サービスは成功するのではないかという思いと、僕たちも物流やってることを言いたかったので、物流業界に受け入れられるような物流銘柄を作りたいという、この2つの気持ちで夜間配達サービスをやりました。もう次にやるサービスは決まっていてピボットする前提で作ったので、あまりピボットの意思決定をしようというのはなかったですね。

-物流業界の本丸に差し込む前のエントリーとしてやっていたということですね。

高柳:物流業界に提供するサービスをと思っていたので、物流業界のアンテナをはることや、物流業界のコミュニケーションをするためのツールとして、物流会社にシステムを売るためと言うと少しきつそうだったので「僕らは物流会社です」という営業ツールとしての側面がありますね。そこで(物流業界の)ネットワークが広がりましたね。

-実際に展開している3つのプロダクト、TODOCUサポーター、TODOCUクラウド、スキマ便、それぞれのご紹介して頂いてもよろしいですか?


高柳: TODOCUサポーターは、個人の配送員の方たちの配送が効率化するためのサービスです。これはアプリで、今8000人くらいに使われているサービスです。
TODOCUクラウドに関しては、全体的に物流会社さんが基幹システムを持っている場合、基幹システムに届くTODOCUクラウドを繋げて、TODOCUサポーターを物流会社さんの配送員さんに使って頂くためのサービスです。TODOCUというのは受取ユーザーさん向けのサービスで、受取ユーザーさんの在宅や不在、置き配依頼をすることなど、受け取るときにチャットでコミュニケーションをして、受取が今より便利になるサービスですね。
スキマ便に関してはまだまだPOC段階ではありますが、ギグワーカーの能力を活用して、元々人材不足のマーケットに対してギグワーカーというソリューションをもってきて、僕らがラストワンマイルをやるというサービスになっています。

-TODOCUサポーターで配達効率化のナレッジを貯めて、それを初心者の人でも配達を出来るようにするのがスキマ便という、一気通貫したプロダクトラインナップですよね。
一方で、ベンチャーの時期に複数のプロダクトを一気にやるというケースはあまりないかと思いますが、そこに対しての想いはありますか?

高柳:色々な方から絞った方が良いとご意見は頂きます。確かに絞ったほうが良いですが、実は絞るとダメなロジックもあり、スキマ便で何をやっているかというと、TODOCUサポーターを使って配送しているんです。
なので、TODOCUサポーターを使うことで自分たちで手触り感をもってプロダクト開発に携われるので、すごく効いているんです。配送員としての勘所が分かるんですよね。TODOCUサポーター、TODOCUクラウド、TODOCUは、全部一貫したサービスで1つのプロダクト「TODOCU事業」なので、実は3個作っているようで、1つのプロダクトということです。3つが揃うことで、物流業界にインパクトを与えられるサービスになっていますね。

-ある程度腹落ちしてやっているということですね。

高柳:そうですね。もちろん分散するリソースに対しての思いはありますが。

-社員の方や組織についてお話を伺っていきます。Valuesを定められてると思いますが、これを定めようと思ったタイミングやどうやって決めたかを教えて頂いてもよろしいですか?

高柳:定めようと思ったタイミングは、1年前フルのメンバー6人集まっていて、「そろそろ行動指針や僕らの大事にするものを言語化したほうが良いよね」となったのでそのタイミングでやりましたね。どう決めていったかというと、合宿をして皆で「207株式会社(以下「207」)はどういう会社だっけ?」ということを挙げたり、「207が勝つために大事にしないといけないものはなんだっけ?」などを書いて壁に貼ったりして、それをグループ化して一番大事にしているものを3つに絞った結果が今のValuesです。

-その3つのValeusにコメントを頂けますか?

高柳:1つ目が、「Speed with quality」ですね。これに関しては、ベンチャーが勝てるところはスピードしかないと思います。でも、クオリティ7割は担保しようという形です。スピードだけだと雑にならざるをえないので、あえて「Speed with quality」でQualityを担保することを意識しようということを書かれていますね。


2つ目は、「Be open」というValuesでこれには2つ意味があります。1つは僕らはフルリモート・フルフレックスで働いているので、みんなが自律的に動かないと厳しいところがあります。そこで、自律的に動くためには情報をフルオープンにして各自が判断できる状態にする必要があると思い、会社からのオープンや、個人間のオープンをしていくことによって自律性が担保出来るのではないかと思いました。もう1つは、個人間の信頼を醸成したいなという思いがあり、信頼は前提としてオープンなマインドがないと醸成できないので、その意味を込めて「 Beopen」にしました。僕達はプライベートの情報などもオープンにしていますし、極論GPSの情報もオープンにしています。

-中々そこまでオープンにする会社はないですよね。

高柳:そこはすごく振り切っていますね。業務委託の報酬以外はフルオープンにして、センシティブですが人事の情報などもオープンにするチャレンジをしています。

-高柳さんの投資家とのミーティングもslackのチャンネルに流れていて、誰でも見られますからね(笑)衝撃的でしたね。3つ目のValuesは?

高柳:「3S」ですね。先生と生徒とサイエンティストの「S」をとっていて、先生というのはアウトプットをする方、生徒はインプットする方、サイエンティストはデータに基づいた判断をする方です。アウトプットとインプットを最大化して、データドリブンで判断しましょうというValuesです。

-僕もずっと働かせていただいていますが、3つ目のサイエンティストの観点が入ってるところを忘れていました(笑)

高柳:いつも侑さん(渡辺さん)がやってくださっているRe:dashの整理などの、データドリブンのところは重要な所だと思っていますね。

-Valuesの浸透を促すために何かやってることはありますか?

高柳:簡単なところでいうとValuesスタンプというものを作り、見える化しています。行動に対してスタンプを押しています。あと強烈的に推し進めているのが、「Be Open」で積極的に開示することですね。オフィスでのミーティングも録音したり、言いにくいことでも断りをもって公開したり、人事のことなどもオープンにしています。

-正社員のフィードバック面談も見られるので、あれはまた衝撃的でしたね(笑)それが自律性につながって、仕事のクオリティがどんどん上がっていくのが良いですよね。

高柳:皆の情報が分かるので、この人はこういう状況なんだというのも可視化出来て、複雑性が無くなりやることも明確になりますし、今後も推し進めて大事にしていきたいと思いますね。

-この「Be Open」の透明性が人数が増えても浸透し続けるのか、個人的に注目ポイントかなと思っています。


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