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つらつらと。

前回はこちらです。↓

毎日の出来事や日々の暮らしや思うことを書いています。時々ですが。

先日20日、かつて愛した猫の月命日。
何かお供えをしてやりたいな、とバスに乗る。

車窓の風景はすっかり秋に変わっていて、それでもまだ咲いている朝顔など夏の名残の花が通りのフェンスに咲いているのをぼんやり見つめたりして。

今は彼、R氏と一時的に離れて暮らす私にはやはり街の喧騒が似合うのだな、とも考えたりしたり、それでもやはりちゃーちゃんのワクチンが済んだらまた彼のうちに戻ろう、とも考えたり。

本当に田舎で暮らして仕事をしたりは大変で、まして、運転免許はあるけど自動車を持っていないとなると田舎に暮らすと買い物一つもひとりでは不自由する。

少し前、いや、ずっとずっと前に脱サラして田舎暮らし、ペンション経営とか自給自足の生活をする人たちがたくさんいてブームみたいになっていたけど。

街に暮らして長いとやはりまだこの年齢、クルマ無しで公共交通機関利用なら街を拠点にしていた方が便利なんだな、って思う。

折に触れ、私の発言を曲解してR氏は、「住んでるところを馬鹿にしてる」って言ったけど。馬鹿になんてしていない。のどかできれいな場所で自然豊かで良いところだから。ただ、私には不便で不自由なだけで悪いなんか言ってはいない。

全く関係ない話しになるけど私には娘がひとり、いる。
転勤族のご主人と息子ひとり、毎年のように引っ越しを余儀なくせねばならない。都会も田舎もへったくれもない家族だっているわけで。

マンションにいると娘の暮らす家に近い。歩いて10分かからない。自転車なら3分でついてしまう。彼女のご主人、つまりは義理の息子が転勤するまでは私には娘や孫に何かあったときや、私自身の先の病でまた手術だ入院だ、ってなった時に母娘とも近い方がいい。

そんなこと考えてぼんやりしていたら目的地に着いてしまった。
あら、ここにも意地っぱりで負けず嫌いな朝顔が咲いている。

寒くないの?と話しかけて写真を撮る。まわりには田んぼの稲穂。そろそろ刈り取る時期がきている金色の稲穂が頭を垂れている。

R氏のうちまでバス停から徒歩15分くらいか。この辺りは夜は真っ暗になる。街灯はほとんどない。

R氏は時折、マンションを訪ねてくる。そのまま泊まることが多い。昨夜もこっちに泊まっていった。

20日は夕方までに家を掃除してベッドのシーツやベッドパッドがまだ夏仕様なので冬物の寝具を引っ張り出して取り替えた。

あ、ダブルベッドってこんな大きかったっけ。先週はかけ布団だけは厚手の羽毛布団に変えたけどな、そういえば私が入院する前に変えた布団カバーのままだったな、あの人、一人きりで、ひとりぼっちであのままの布団で寝ていたんだ、と思うと胸が締め付けられた。

…これから寒くなるというのに。

彼は最近また、釣りを再開したからこないだは釣りたての生きたイカをマンションに持って来てくれた。モイカ、と呼ばれるイカ。

お刺身にして。他に買い物した魚を足して、イカメインの海鮮丼をマンションのキッチンでこしらえた。ゲソはバター焼きにしていただいた。丼の器などはなかったので大きめの白い器を急いでDAISOで買い、ご飯を炊いて。

一人より二人がいい。

………。     ごめんなさい。
声にならない声で枕に謝る私がいる。

かつての愛猫のために好物だったものと新しいお水を供えて手を合わせたら自然に私は素直になれた。

パジャマや夏の敷布を洗濯して彼のズボンやシャツにアイロンをかけて。

ダイニングのカウンターには私の分のランチョンマットもいつものコップもおかれてある。

また声にならない声で謝る。

待っていたらカラカラ、と玄関が開いて    ただいまーと声がする。

あ、お帰り、と返してから持って出る冬物の一部を見ている彼に支度できてるの、と笑うと、また多いね、と笑い返してくる。

ルドルフ・ツヴァイ(彼のクルマの名前)に荷物を積んで、途中、スーパーに寄り買い物をしてたらいきなり、あ!と思い出したようにゴミをまとめるのを忘れたという。

夕飯も一人より二人がいい。

もちろん小さなマンションのダイニングは立派なキッチンとは比べ物にはならないけれども彼がきているだけでちゃーちゃんは嬉しそうだ。
お腹を見せてヘソ天。そして頭をコツコツ、しっぽを巻き付けたり歓迎アピールが止まらない。

入院して。退院して。今はたまに通院しているけれど。

マンションにいると病院には近いし娘とも近いけど。

一人より二人がいい。

いろいろ言い争いもするけど話し相手がいる、っていいな、ってR氏は言う。

ケンカのあとはさみしいけれどやっぱり一人より二人がいい、って思いながら枕をならべて休む。もちろんちゃーちゃんも一緒に。

朝起きたらもう7時を回っていた。
また寝坊した。コーヒー淹れてあげられなかったな、悪かったな、と反省しながらテーブルをみたらアイコスがポツリとある。

忘れて仕事に出かけたのだな、忘れんぼさん、とクスッと笑い、次は朝寝坊しないようにしないと、と彼の吸殻を捨てながらカーテンを開けた。今にも泣き出しそうな重たい雲の空。

帰ろう。落ち着いたらあの人のところに。あの人も一人より二人がいい、ってきっと思っているはずだから。

………うちの中で鈴の音やカシャカシャする音がするのよ、ちゃーがいる、って俺、思うんよね。

さっきの電話での会話。
意地っ張りなあの朝顔は彼にそっくりだな、と寒い夜に隣のちゃーちゃんをひとりで撫でている。

       ゆー。

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